813 彼女がたちふさがります
「――そうだ、命理ちゃんは元気?」
「えっ、あっと・・・・」
どうしよう、記憶と思考を失って廃人状態なんて言えるわけないし・・・。
すると、アリスが微笑んだ。
「大丈夫ですよ」
「あー。おう。命理なら、お前を笑顔で迎えてくれるぞ!」
「えっ、ちょっ、アリス、リッカ!?」
そんなこと言って大丈夫なの!?
すると、アリスが私にも微笑んだ。
「本当に大丈夫ですから、安心して下さい、涼姫」
「安心しろ」
い、意味がわからない――どいういうことなの!?
「よかった。・・・・じゃあ、ここで頑張って起きてるから、あとはお願いね―――涼姫」
「まかせとけ―――っ!」
世界が、切り替わった。
「あっ!」
『ふうっ』
『もとに戻ってきたか』
「やっぱり2人もあそこにいたんだね」
『いました。やっぱりアイリスさんは、私の幼い頃にすごくにてました――ダンジョンで見た時も思いましたが』
『だなぁ、ミニアリスがいるのかと思ったぞ。わたし等ビックアリスしかしらないからなぁ。胸以外』
『おだまりなさい、ミニっ娘』
『その罵倒は初めてだ』
青い蝶が揺れて告げる。
『無限の可能性が1つに収束し始めている』
青い蝶がジルコンのようになって、砕けた。同時、防衛機構0もジルコンのようになって、砕け散った。
「!?」
『な、なんですか急に』
『び、びっくりさせるなー!?』
そして声が聞こえたんだ。
『涼姫、こっちだよ』
「あっ! 呼ばれてる! 行ってくる!」
『涼姫ちゃんだけですか?』
『むむっ』
「そうみたい?」
『付いていきますけどね』
『一人にはさせられないわな』
というわけで、私達は声のしたほうへ進む。
さらに後ろには、プレイヤーと銀河連合兵士さんたちがゾロゾロ付いてきてる。
『戦いは終わりなのだ? デュランダルの勇姿をもっと見せたいのだ』
『オメーは黙ってろ。スっちーだけが呼ばれたんだって?』
プリティ・ギルティちゃんお怒り。
すると、香ナイトさんと、鳳ヘプバーンさんが返す。
『らしー』
『なにが待ってるんだろうなぁ』
ブラックホールから吐き出された、螺旋に輝くジェットが見えてきた。
遮光フィルターを掛けても、まだ眩しい。
さらにブラックホールが吐き出したジェットが周りに広がったガス雲があり、かなり高圧だ。
地球の大気より強いガス圧がある。
1万人を超えるプレイヤー達と、おおよそ1Gの場所を進む。
すると、前方からなにかがこちらに飛んできているのが見えた。
それは、バーサスフレームの様だった。
私はマザーグースのデッキのモニターで、それを見て気づく。
「十六夜テイル・・・だ」
私の言葉に、アリスが驚く。
『えっ? ――あっ、え!? 本当に十六夜テイルです!! でっかい十六夜テイルです!』
十六夜テイルの物らしき通信が入ってくる。
『こんにちわ、プレイヤーさんたち』
通信ウィンドウに写った顔は・・・、
「アイリス」
『これが大人のアイリスさんですか? ――というかもう、わたしにそっくりじゃないですか』
そっか、過去の夢を見た私以外、プレイヤーは誰も、アイリスの顔を知らないのか。
『私はアイリスのMoBの部分』
「なるほど」
『スウちゃん、貴女に提案があるわ』
「うん」
❝スウたん名指しかぁ❞
❝まあ、ここまでクリアしてきたのほぼスウたんだからなあ❞
多分、私が、昔々に約束したからだと思う。
『スウちゃん。――私はアイリスの写し身。アイリスの精神の一部を持ってきてMoBにした――ラスボスみたいなもん。――鷹森部長や、沖部長みたいな感じかな。MoB名はアイリス』
「なるほど」
『MoBアイリスに、人間に戻りたいみたいな気持ちはない――ただアイリスに近寄る者を拒むだけ。そういうMoB』
「その言い方だと、本物のアイリスは人間に戻りたいと思ってるんだね」
『まあね。そんな私は、スウ、貴女に戦いを挑むよ。断れないよ? 断ったら、このアイリスの精神の一部を連れて私は銀河の外へ旅立つ。貴女が負けた場合もね』
「・・・断らないよ――。私はアイリスを起こすから! ――それに、アイリスも、ちょっと私と戦いたいと思ってるんでしょ?」
『そう。この一騎打ちはアイリスの望みでも有るんだよね』
「分かった、勝つよ。勝ってアイリスを助ける」
ウィンドウの向こうのアイリスがニヤリとした。
『スウちゃんは、私に本当に勝てるかな?』
「勝ちますよ」
『自分を信じてるんだね――信じるなんてのは、思考停止だよ。自信過剰じゃなきゃ良いけどね』
一番大事なのは信じることだって言ってたくせに。すでに舌戦を始めてるな?
「勝ちます―――なんとしても!」
『一応、こっちはスキルを使わないわ。使おうと思えば、この銀河に存在するどんなスキルでも使えるから』
「例えば?」
『ヤバイの代表は、どんな願いでも叶うスキルとか』
「そ・・・それは」




