808 これでいい
スコルがレーザーを放った。
「熱武器など、今更バーサスフレームの前に――いや!?」
マイルズの長年の勘が、〝躱せ〟と叫んだ。
急いでレーザーを躱すマイルズ。
見れば、
「レーザーの下に実弾!? ――とことん食えぬヤツだ」
オレンジ色のAUⅢが拳を突き出す。
その腕をもう片腕で支える。
「ロケットパンチか――一度見た暗器は通用性ないぞ」
オレンジ色AUⅢが拳を開いた――指先から、機関銃!
「んなっ!」
アダマンタイトの盾で機関銃を防ぐが、5つの機銃全ては防ぎきれず、被弾。
シールドが砕けた。
『読まれているのがわかっているのに、同じ攻撃をするわけ無いじゃないですか!』
「――こいつ、以前の暗器を囮に、新しい暗器を・・・!」
嘲笑う様に言って、迫ってくるスコルのAUⅢ。
左腕を突き出すオレンジ色のAUⅢ。
左腕が飛んでくる。
「今度はロケットパンチか!」
◆◇sight:スコル・ハティ◇◆
わからなかった、感情が。
だから色々試した。
犬を殺してみた。
猫を殺してみた。
人を殺してみた。
なんの感慨もなかった。
敵に撃墜された。何の感慨もなかった。
「大丈夫か! スコル!」
目が覚めると抱きしめられていた。白い髪の美しい人だった。
――誰だっけ?
「生きてます」
「よかった! ――本当に、よかった!」
なんでこの人は、こんなに必死なんだろう?
でもわかる。一つだけわかる。
自分は恐らくこの世界にいらない。
だから逆に、必要なのは、こういう人なんだ。
この、地獄みたいな世界に差し込む光は、この人なんだ。
◆◇◆◇◆
『僕はコーレルヒ先輩を超えてしまった――そうさせたのは、お前だマイルズ・ユーモア!』
言いながら、スコルはふと思った。
自分は怒っているのか? と。
これが、怒り?
「そうやって、全てを他人を軸にして考える。気に入らないな」
『だが、事実です! 〖アポートⅩ〗来い、隕石群』
「――何ッ!?」
スコルの周りに現れる、無数の隕石。
『射手座A*の重力で回る隕石群だ! 躱せるものか!』
凄まじい速度で迫る隕石群。
『光速の1%にも達する隕石を、躱せるものか!』
「甘いな――ブラックホールの重力に囚われていたということは、その隕石はすでに熱されていて、〝熱に極めて弱い〟! ――〈臨界黒体放射〉!!」
隕石たちを蒸発させるマイルズ。
飛散プラズマは、アダマンタイトの盾で受け止める。
『なるほど隕石程度では倒せませんか。――なら、〖アポートⅩ〗 ブラックホール・ジェット! ――熱以前に、衝撃に機体が耐えられないでしょう!!』
だがこれもマイルズには来ることがわかっていた攻撃だった、すでに回避に入っていたのでなんとか躱す。
マイルズはここからジェットを連発してくることを予測。
だから、使った。
「奥の手だ・・・。入れ――」
マイルズは、目を閉じ、彼女を思い出す。
「――ゾーン!」
何度も放たれるブラックホールジェット。
だが、ゾーンに入ったマイルズには、当たらない。
『躱すのか!? なら、これでどうです!! 〖アポート〗! マイルズ・ユーモア!! 次の攻撃は、躱せませんよ!』
〔この時を待っていた〕
『来い! 〖アポート〗降着円――』
「〖無敵〗!」
『盤!! ――な・・・』
逆流する、恐るべき衝撃。
輝く回転が、スコルを襲う。
光に呑まれる瞬間に、スコルは思った。
(猫さんは、預けてきたから大丈夫ですね。・・・・これで良かったんですよね? コーレルリヒ。向こうで、また――)
◆◇◆◇◆
アリスとリッカに迫る、7つの機体。
『『――どのみち、7つとも斬り伏せてしまえば、同じ!』』
黄金の武者が宇宙を駆ける。
『な、なにこれ、あの2人、強くなったわ・・・』
『武装? スキルなの?』
『お前達、明鏡止水の域に達してないのか?』
『ならば、わたしたちの敵ではありません!!』
アリスが、またたく間に分身を1つ撃破。
『幸い、本体よりは柔らかいですね』
リッカも〈理合の境界〉で、迫ってくる2機のナギナタを受け止めた。
『トゥイードルテ、トゥルッフとトゥルウィスの合体の利点はパワーと、膨大な質量による力押しだわ。だけどこの2人には力押しは通用しない』
『わ、わかった。分離するの』
トゥルッフ・トゥルウィスが、トゥルッフとトゥルウィスに分離する。
すると、分身たちも2つに分かれて、全部で12体になった。
『そう来ますか』
『アリス、こっちも分離して相手しよう』
『了解です。――散!!』
アリスたちも、サンライト・ショーグン・ゼロと、ルミライト・ダーリン・インフィニティに分離する。
『一掃しますか!』
『よし』
アリスとリッカが二手に分かれて、敵の群れを斬り捨てていく。
『つ、強いわ、本当に強くなってるわ!』
『変身をする人間なんて、反則なの!』
『しかし、この数は少し面倒だな』
リッカが、〈時空倉庫の鍵〉から取り出したペンダントを握る。
すると、ルミライト・ダーリン・インフィニティの頭上に巨大な波紋が浮かんだ。




