807 生き残るべき人間
『ああ、あの子も〝わかってしまう〟力を身につけましたのね』
『ル・・・ルジェルナも、そう』
『それでも、あの娘にわたくしが勝てなかったのですから、セカンド・ゾーンでしたっけ。あれは本当に禍々しいものでしたわ――おっと、敵母艦が来ましたわね。プレイヤーのみなさん、道を開けなさい! 囲んでフルボッコにしますわよ!!』
敵母艦へ、一斉に攻撃が集中していく。
光が収束していく。
次々と小さな太陽が敵母艦を飲んでいく。
だけど、中央からリーサル・ハーピィが生まれ始め、みんなが被弾し始めた。
『こ、これはきつい!!』
『みんな全力を出せ!! 迫ってくるザコより母艦だ!! 母艦を先に潰せ!!』
不味い、敵母艦が思った以上に硬い。
『被弾しすぎた、空母イクトミ転移、撤退する!』
私、もしかして失敗した!?
心配になった時だった、プリティ・ギルティちゃんの勇ましい声。
『撤退は待ちやがれ!! ――お前ら、私がいるのに死ねると思うなよ!?』
プリティ・ギルティちゃんが、車懸りの真ん中に何かを投げた。
そしてそれを、巨大な長銃で狙撃。
広がる閃光。閃光が車懸り全てを包み込んでいく。
『くらえ!! ――〈ヒーリング・ボンバー〉ァァァ!!』
一瞬にしてみんなのバリアやシールドが回復。
おそらく全員のバリアやシールドのメーターが、一気に満タンになったんだろう。
『こ、これは! 凄まじい隠し武装!!』
『初期に貰った機体からずっと乗り換えしてこなかったからな、超効果な特殊武装をこっちは持ってんだ。プリティ・ギルティさんを舐めんな!! 可愛くてごめ~んね❤』
❝これは可愛い❞
❝許される可愛さ❞
❝最カワ❞
『こちら戦艦スーパーギャラクティカ、核を撃ち込む!! 注意せよ、核を打ち込む!!』
◆◇◆◇◆
『マイルズ・ユーモアァァァ!!』
「来たか、スコル」
オレンジ色のAUⅢがマイルズに迫ってくる。
「〖マッピング〗! ――やはり伏兵を忍ばせていたか!!
背後からドローン。
「お前は暗器使いだと知れているからな――正面からなぞ付き合わんぞ!!」
マイルズが4機のドローンを撃墜。
『コーレルリヒは、死ぬべき人ではなかった!!』
「甘ったれるな、侵略者が。これは戦争だ!!」
『あの人は、冷たいベクターの世界を、少しだけ優しくできる人だった! まだ役目が有ったんだ!!』
「だがアイツは危険すぎる!!」
『戦争が終わる寸前だったんだろう!』
「作戦がうまくいくとは限らん――それに今のお前のように、未だゲリラ的に襲いかかってきているベクターもいる!」
『こちらの世界では、優秀な軍人がリーダーとなり政治でも引っ張っていくことが多い。僕はあの人を世界大統領にして、補佐し、あの人のできない汚れ仕事を引き受ける筈だったんだ! お前が殺したのは、撃ったのはそういう存在だ!』
スコルが何かを取り出す。
「お前を庇ったんだろう!!」
『少なくともお前なら、コックピットは避けられたはずだ』
「残酷な侵略者どもが、慈悲を求めるな!!」
『彼は違った!! ――チェェェェストォォォォ!!』
「コーレルリヒの形見の結晶励起刀だとでもいうのか!」
『そのとおり! お前にこの一撃で、一矢報いる!!』
「貴様のことだから、何か暗器を――やはりっ!」
マイルズの背後に機雷ドローンがいつの間にか有った
「薩摩の初太刀は外せ」を実行すると、機雷の餌食になる罠だ。
だからマイルズは、〈励起剣〉で受け止める。
マイルズの〈励起剣〉が叩き折られ、機体まで真っ二つになる――ということはない。
『――っち!』
「お前程度の一撃は躱すまでもない! 暗器に頼った戦い方のお前の一撃は、弛まぬ努力により完成されたコーレルリヒの攻撃の鋭さには遠く及ばない! コーレルリヒをこれ以上汚すな。アイツは満足して死んでいったし、沢山の子供幸せにした。そしてアイツならこんな卑怯な手は使わずまっすぐ来る!」
『あの人は、世界に必要だったんだ。それをお前が殺した!! お前のせいで、お前のせいでぇぇぇ!!』
「世界を優しくしたいと言っても、やはりベクターだな。自分がやりたいことを押し付けるばかり――変えるべきはそこからだ! たとえコーレルリヒをリーダーにしたとしても、その精神が変わらなければ、何も変わらないさ!! まずは、お前から変わってみせろ! 世界を変える権利――いや、力がある奴が、なぜ自分も変えられない?」
『マクロとミクロを同じにするな!!』
「同じさ」
『同じじゃないさ!!』
スコルがコイツには近づきたくないとでも言うように、距離を取る。
『ただの1軍人が、政治をとやかく』
「これでも、大統領が飛び級させた将校なんでね。戦略(政治や外交)から考えている」
『兵が考えてどうするんですか!!』
「ボクの所属する軍では、いくら上官でも、非人道的な作戦や、国際条約に背く作戦を行うなら、一兵卒でも拒否する義務がある――考える義務がある」
『とことん相容れませんね―――だがどうせお前は、ここで死ぬ!!』




