802 用事
◆◇sight:三人称◇◆
『やっぱりお前達か、』
アリスとリッカがとんだ先に潜んでいたのは、金と銀の豚のような機体だった。
『トゥイードルダ、トゥイードルテ』
リッカが言うと、トゥイードルダと、トゥイードルテが、アリスとリッカに通信を入れて来た。
『どいて』
『どいてほしいの』
アリスが低い声で尋ねる。
『なぜですか』
『スウを殺しに行くわ、防衛機構と戦ってるときに不意打ちすれば、勝てるかもしれないわ』
『スウでも殺せる可能性があるの』
アリスが、「ざわり」としたオーラを纏う。
『私が自分の親友を殺すと言っている人間を、通すと思いますか?』
『お前らだけは通さない。散!』
アリスとリッカは、機体を分離して、金と銀の武者とナイトのような機体に分かれた。そうして金と銀の豚のような機体達に立ちはだかる。
『貴女達にとって、スウは大事な人?』
『貴女達にとって、スウは大事な人なの?』
『そうですよ!』
『ああ!』
アリスとリッカの返事に、トゥイードルダとトゥイードルテが返す。
『私達は、スウに大事な人を殺されたわ』
『殺されたの』
『なら、貴女達にスウさんを殺されたら、わたし達がどんな気持ちになるか分かるでしょう・・・』
トゥイードルダとトゥイードルテは、機体の中で首をふる。
『それでもスウは殺すわ』
『殺さないといけないの』
『大切な人とは、ハンプティ・ダンプティの事ですか? スウさんは彼を救おうとしていましたよ?』
アリスの言葉に、双子が目を瞑る。
『これは私達のケジメなの』
『ケジメだからやるの』
『貴女達のケジメに、スウさんを巻き込まないで貰えますか?』
『関係ないわ』
『関係ないの。私達がやりたいからやるの』
『・・・問答無用ですか』
リッカが、唸るような低い声を出す。
『問答ができないならば、お前らはここで畜生のように、死ね』
『問答ができないと言うなら、わたしは貴女方を物言わぬ者として、屠りましょう』
リッカのルミライト・ダーリン・ゼロが宇宙で回転する。
『消えた!?』
『消え――』
リッカの機体、ルミライト・ダーリン・インフィニティ・カスタムは鏡のように輝く黄金の機体。元から宇宙では見えにくい。
それがリッカの消える動きをしたのだ。常人には、まるで見えないだろう。
リッカの〈ハイパー・ソードリボルバー〉が、トゥイードルダの黄金の機体、トゥルッフを凪ぐ――が、
『ちッ! ――なんて硬い機体!』
分厚い装甲が〈ハイパー・ソードリボルバー〉の一撃を弾き返す。
『そう、トゥルッフとトゥルウィスの装甲は抜けない――当てても無駄』
『それは・・・・どうだろうな! 立花放神捨刀流――』
リッカが黄金のトゥルッフを袈裟斬りに、斬りかかる。
『刃衣!』
言ってリッカが剣に体当たりしようとした――かつてダンジョンで黒・ティタティーのパイロットスーツ、シルバーセンチネルを抜いた技だ――だが。
『っと・・・・〈ハイパー・ソードリボルバー〉は両刃だ・・・』
技開始寸前で、停止した。
『トゥイードルテ、敵は放神捨刀流を使ってるみたい』
『放神捨刀流? ハンプティ・ダンプティの?』
『なるほど、そっちも知っているのか』
『刃衣――剣に体当りして威力を上げようとしたのね』
アリスのサンライト・ショーグン・インフィニティが、銀色のトゥルウィスに突撃。
『ならば――!』
手にした火縄銃のようなものをトゥルウィスに押し付け――
『〈臨界黒体放射〉です!』
閃光を放つが――トゥルウィスの白銀の塗装を剥がしただけ。
塗装が剥がれた部分から覗く、黒い何か。
『――まさか、黒体ですか!?』
『そう。トゥルッフ、トゥルウィスには銀河連合から手に入れた黒体塗料が塗られているの』
『・・・・熱武器無しで、その装甲を抜かないといけないって訳ですか――では、合体してパワーを上昇させましょうか・・・』
『よし、わたしメインで合体するぞ、アリス!』
『はい!』
『こっちも合体する』
『合体するの』
アリスの黄金の機体が鎧パーツになって、リッカのルミライト・ダーリン・インフィニティが纏う。
『『ルミライト・ムシャリッカ・ゼロ推参! ∞翔ける0な私達の可能性は無限に広がり、征く先は誰にも決められない!』』
トゥルッフとトゥルウィスが合体すると、相撲取りか、山のようなイノシシ顔のメカになった。
武器は、ナギナタらしい。
『『トゥルッフ・トゥルウィス――最強の猪の魔物なの!』』
『なかなか、ノリが良いですね』
アリスが不敵に言うと、トゥイードルテトゥイードルダも不敵に返す。
『そっちが名乗りを上げるなら』
『こっちも名乗りを上げるのが礼儀なの』
アリスは思った――「この子達とは気が合うんじゃないか?」と。
『やっぱり止めませんか・・・・わたし達、仲良く慣れると思うんです』
『それは無理――ハンプティ・ダンプティは私達の生きる意味だった』
『生きる意味を奪われたら、奪った人に仕返しする以外、生きる意味がないの』
『そんな悲しい生きる意味・・・・スウさんに仕返しを終えたらどうするんですか――本当になにも残りませんよ!?』
『死ぬわ』
『死ぬの』
『なんで!?』




