803 放神捨刀流
『私達が生きていたら、貴女達が私達みたいに復讐しないといけなくなる』
『復讐はいけないの』
『復讐が、いけない事だって分かってるなら!』
『私達は正義の味方じゃないの。やりたいことをやる人間なの』
『アリス、無駄だ――彼奴等は狂ってる。冷静に狂ってる――狂っている事が当たり前になりすぎて、静かに狂っている』
『安心して、私達は人間じゃないわ。アイリスの生み出したMoB。――そして、リアトリスたちにとっての実験動物』
『実験動物なの』
『実験動物!?』
『なるほど、それでか・・・・可哀想に』
リッカが憤る。
戦いは止まらない。両者とも相容れない理由があるからだ。
そうして、リッカは迷わない。
だが、トゥイードルダが提案してくる。
『ねえ、どいてくれたら良いものをあげるわ』
『いいもの?』
『成田 命理よ』
『は? 命理は、今、ハイレーンの病院のベッドの上だぞ』
『違うわ。成田 命理の記憶と感情――それを私達は持っているわ』
『なっ!?』
『・・・・そ、それは』
『ハンプティ・ダンプティに託されたの』
『か、返せ!!』
『どいてくれたら返すわ』
『どけるわけないだろう!!』
ルミライト・ムシャリッカ・ゼロとトゥイードルテと、トゥイードルダのトゥルッフ・トゥルウィスが接近。
『力ずくで奪う!!』
ルミライト・ムシャリッカ・ゼロが、抜刀術の姿勢から、
『立花放神捨刀流――天燕!!』
立花放神捨刀流、最速の技を放つが、
『放神捨刀流――天矢取り』
相手は、小手を切り落としに来る。
どんなに疾い技を放っても、こちらの技の動きを利用し小手を狙われてしまうと、自分から相手の攻撃に接近していく形になり、到達時間で負けてしまう。しかも相手はリーチの長いナギナタ。
リッカは小手を切り落とされる寸前でハイパー刀マグナムを回転させて、敵のナギナタを弾いた。
『――確かに、放神捨刀流の太刀筋だ!』
トゥルッフ・トゥルウィスが、ルミライト・ムシャリッカ・ゼロの腰を指さす。
『そう。そして、そっちのもう一本には、鞘より短い小太刀がはいってるのね』
『相手が放神捨刀流なら、技が読め読めなの』
『――ちぃっ』
みずきが、「完全に読まれている」と舌打ちをした。するとアリスが、
『みずき代わりましょう! みずきをメタってくる相手なら、わたしの方がいい』
選手交代を、提案。
『わかった。任せる! 散!!』
瞬時にサンライト・ナイトアリス・インフィニティに変形。
『サンライト・ナイトアリス・インフィニティ見参! 0掛ける∞な私達は何者でもなく、その可能性は誰にも決められない!』
トゥルッフ・トゥルウィスの合体に別形態はないので、変形したりはしない。
『貴女はどこの流派?』
『――日本剣道ですよ』
『・・・・ただの剣道家なの? ――ただの剣道家が放神捨刀流に勝てるとでも、思ってるの?』
『わたしを格下だと思うなら、来てみなさい!』
サンライト・ナイトアリス・インフィニティが、〈ハイパー・ソードリボルバー〉を大上段に構える。
『上段の構え?』
『しかも、西洋剣で?』
トゥルッフ・トゥルウィスがロケットエンジンを唸らせ、膨大な質量の機体を真空で加速させる。
『『下がるの! 貴女じゃ私たちには勝てないの!』』
『面ェェェェェェン!!』
『『タイミングも読めないの!? 今振り下ろしても、私たちには届かないの!!』』
トゥイードルダとトゥイードルテが嘲笑う。しかし、
『隙あり!! ――〈凶暴なる技巧〉!!』
サンライト・ナイトアリス・インフィニティの腕が伸びた。
『『えっ!?』』
『ロボットの戦いを、人間の体でする剣術と同じように考えては駄目ですよ!! ――〖重力操作〗!!』
〈ハイパー・ソードリボルバー〉が、トゥルッフ・トゥルウィスの脳天に叩き込まれた。
『弾数は少ないですが、〈ハイパー・ソードリボルバー〉は、〈ハイパー刀マグナム〉より威力が高いんです!』
見事にめり込む〈ハイパー・ソードリボルバー〉。
『アリスを舐めたな? バーサスフレームで戦うとな、わたしは、アリスにまだ3度しか勝ったことがないんだよ。立花放神捨刀流の師範代に勝てるわたしでもな』
しかもアリスには、『他人の隙が見える』ギフトがあるのだ。〖透視〗で、トゥイードルダと、トゥイードルテの隙も、しっかり見られていた。
『た、確かに。トゥイードルダとトゥイードルテは、お姉さんのこと、ただの剣道家なんてって、舐めてたの』
『これで終わりじゃないですよ!』
〈凶暴なる技巧〉の腕が、トゥルッフ・トゥルウィスをの頭を掴む。
そして振り回しだした。
中のトゥイードルダとトゥイードルテが、ジェイクされる。
『きゃぁぁぁ!!』
『やめるのぉぉぉ!!』
『その機体、装甲は確かに外は強固のようですが、中の貴女達はどうです!?』
アリスが不敵に言うと、トゥイードルダとトゥイードルテの目の色が変わる。
『『ほ、本気を出すの!!』』
『本気?』
そんな物があるのかとアリスが訝しがると、トゥイードルダとトゥイードルテが呟いた。
『『〖分身〗』』
『ぶ、分身!?』
トゥルッフ・トゥルウィスの姿が、本体も合わせ、7つになる。
『スキルですか!!』
『そう、トゥイードルダのスキルよ!!』
『そう、トゥイードルテのスキルなの!!』
分身が〈凶暴なる技巧〉の鎖を切ろうとしたので、アリスは慌ててトゥルッフ・トゥルウィスから手を離した。
リッカが〈理合の境界〉で、1つの分身のナギナタを受けた。
『実体のある分身!?』
『また物理現象を無視するスキルですか!』
アリスが文句を言うと、リッカは静かに言う。
『まあいい。――入れ、アリス』
『・・・ですね』
アリスとリッカ、2人の声が重なる。
『『入れ―――明鏡止水!』』




