785 禍々しいモノがでてきます
私が話しかけると、クレイジーデイジーさんが目を見開いた。
「スウちゃん!? なんであーし、スウちゃんに抱っこされてるの!?」
「気絶してたみたいなんで、抱いて連れてきました」
私の背後で爆発音。
振り返ればマザーグースが何度も爆発している。
さよならマザーグース――文化祭の記憶とともに。
エンジンとかに火が付いたんだろう。光崩壊エンジンなんて恐ろしいものだけど、破壊された時にとんでもない爆発を起こさないように設計されてる。
それでも結構、大爆発が起きる。
「あ、ありがとスウちゃん・・・・あーし死ぬ所だった。テセウス処置してないから・・・・」
「テセウス処置は、オススメはしておきます」
「・・・う、うん。今度やっとく。さっきはゴメンね」
「いえ、問題ないですよ」
やがて飛んでくるアイステイル。
「〖飛行〗の印石あげるんで、自分の機体まで飛んでいけますか?」
私は〖飛行〗の印石をクレイジーデイジーさんに渡す。
「あっ、大丈夫。あーしも〖飛行〗は持ってるから。キューピィから手に入れたんだ。〖人化〗ももってるし」
「なるほど、じゃあ、飛んで行けますね」
「うん。もうちょっとこうしてたいけど、邪魔だもんね。またね」
「はい」
クレイジーデイジーさんが「バルクこーい」と言って飛んでった。
見ていると、追加装甲や装備でゴリゴリマッチョな機体がこっちに飛んでいていた。
バルクが切れてる。
私もアイステイルに乗らないと。
私がアイステイルに向かった時だった。
「乗らせないよ」
リアトリスが、アイステイルの方へ突進。
えっ、破壊するつもり!?
――不味い!!
『やらせません!!』
弾丸みたいな速度で飛んでくるリアトリスを、アリスがバリアで止めた。
私は急いで飛んで、アイステイルに搭乗。
って、洗浄隔離区画から出られない! ――洗浄が長い!! 警報がなって、ドアのランプが赤になってる。
フッ化水素のせい!? ――早くして!?
アリスが押さえてくれてる間に!!
『汚染が危険域です』
ランプが黄色になった。これが青になったら出れるんだけど・・・・。やっと緑!
「ねえ!! まだなの・・・!?」
アリスから通信が来る。
『スウさん、まだですか!? コイツ強い!!』
「ごめん、アリス! 洗浄がまだ終わらない!!」
『は、早く・・・』
私がその場で足踏みをしていると――やっと青になった!
私はワンルームを走って、コックピットに滑り込む。そしてイヤーギヤを装着。
『脳波接続開始。バイタルオールグリーン。スタンバイOK』
とっとと出発!
ダッシュボードの上に、イルさんが「ポン」と現れる。
そうして、紳士のお辞儀。
「あっ、イルさん。良かった!」
『ドローンは故障してしまいましたが、わたくしの本体は、アイステイルに搭載されていますので』
「なる! じゃあ、行くよ相棒!!」
『はい!!』
エンジンの出力を上げると、アリスの悲鳴が響き渡った。
見れば、リアトリスが右手を振り下ろしながら、まるでお辞儀でもするかのように体を曲げている。
サンライト・ショーグン・ゼロの腕が切り離されている。
「アリス!!」
リアトリスが、右腕を左サイドへ。まるで納刀でもするようにして、続いて抜刀――コックピットを薙ぐつもり!?
「させるかァァァ!!」
私は〈汎用バルカン〉を連射。
リアトリスがアリスへの攻撃をやめて、上空へ逃げていく。
「イルさん、〈臨界黒体放射〉!!」
『イエス、マイマスター』
リアトリスが舞うように振り返って、左手を突き出す。
リアトリスの前に現れたバリアが、アイステイルの〈臨界黒体放射〉を防いだ。
閃光が止んだらリアトリスはすぐさま反転、逃げていく。
バリアで防いだってことは、熱武器が効くのか。黒体がないんだな!
私は〈臨界黒体放射バルカン〉を連射するけど、全部躱される。
リアトリスが、光みたいな速さの攻撃を躱していく!
「流石に一筋縄ではいかないか・・・! 的が小さすぎるし!」
私が考えていると、リアトリスが何か腕をクロスさせた。
嫌な予感!
私は回避機動に入る。
リアトリスが腕を広げると、周囲に何百本というビームを放った。
何人かのプレイヤーが、光に貫かれる。
私は冷や汗を拭った。
「っぶな・・・!」
周りを見れば、アリスとリッカはバリアで防いで無事。サンライト・ナイトアリス・インフィニティに合体している。
『こ、このビーム、黒体を抜けてくるぞ!! 脱出する!!』
どこかのプレイヤーさんの忠告。
「黒体を抜けるレーザーか――もしかして、物体を溶かして発射する、ビームタイプ?」
リアトリス・・・・面倒な相手!
空母も、ビームを食らって8隻ほど轟沈している。
空母に乗っていたプレイヤーが、バーサスフレームで出てくる。
さくらくんも、緑色のフェアリーテイルで出てきた。
「出てこい、ミガ」
リアトリスが言うと、リアトリスの本拠地の口のような場所から、なにかが出てきた。
巨大な――ドクロの顔をした肉塊?
腐った肉塊にハエが群がり、肉を啜っているような、グロテスクで嫌悪感を覚えるようなバーサスフレームだった。
バーサスフレームから、通信が聴こえていくる。
ウィンドウは真っ黒な画面で、電子ノイズのような者が走っている。
『*イタ、イ・・・タス、ケテ・・・タスケ・・・テ*』




