784 リアトリス派との最終決戦が始まります
女の子だった――小さな。
なんだか現実感のない感じで、まるで幻のような女の子だった。
そんな子が宙に浮いて、飛んでくる。
彼女はマザーグースの側面にくると、両腕を広げた。
本当に綺麗な子だ、完璧に計算されたような美。
ギリシャの彫刻が動いているみたい。――人造の完全美って感じ。
「やあ、スウちゃん、はじめまして」
「は、はじめまして」
「ボクの名前は、リアトリス。名前くらいは知ってるよね? 連理演算器だよ」
「・・・・貴女がリアトリス?」
この子がリアトリス・・・なんだか希薄な存在感だなぁ。
「ボクの目的、わかるかな?」
「なんとなく」
私が答えると、リアトリスは両手を胸に当てて、なにかを慈しむような表情になった。
「そう。ボクの目的はね、大好きな旧人類達の復活――」
「でも、そうしたら銀河連合のデータノイドさんたちはどうなるの・・・」
「偽物じゃない、彼ら」
「・・・貴女・・・・なるほど、そういう」
「そして、旧人類の復活には特殊な印石が必要なのよ。それはもうおびただしい数が必要。――だから勝手にマザーMoBを人間に戻されては困るの。でもプレイヤーには、旧人類が復活し始めているという秘密を守るため、いてもらわないといけなかった。――けれど、秘密がバレた今、もうプレイヤーは要らない。計画の邪魔になるだけ。というわけでプレイヤー達にはいなくなって貰うわ」
「勝手な理屈を・・・・」
「ボクは別に貴女達を呼んだわけでも、頼み事をしたわけでもない。だから、勝手と言われる筋合いはないよ」
「私はアイリスを人間に戻します・・・」
「本当にプレイヤーは邪魔ね――特に君。その意思の強さも、力の強さも!!」
リアトリスの下、巨大な顔の口から、またなにか出てくる。
バーサスフレームだ。
私は艦内に通信。
「マイルズ、惑星に〖無敵〗いける!?」
『いや、フッ化水素の大気だぞ。即死級らしいぞ!?』
――あ、そうか。
『それに、惑星が破壊されたら大変なことになるぞ・・・』
「それは、マザーグースの次元折りたたみで逃げようと思う」
『・・・・ボクはまたブルーテイルをロストか』
「マザーグースにも転移補助装置があるから、逃げられるよ」
『むむっ』
しかしリアトリスがほほえんだ。
「いっておくけどパレイサクでやったのは知ってるからね。〖無敵〗で惑星の自転を反転なんてさせないよ。これだけの質量を反転させるには、大地に直接触れないと駄目でしょう? だけど、パイロットスーツを脱いで手を出すのはオススメしないわ。――この惑星の大気の組成は、触れただけで即死級だから」
「でも、マイルズは〖毒無効〗だし」
『お前は、本当に容赦ないな』
『スウさんが鬼畜です』
『ひどい話だ』
なんか、マイルズとアリスとリッカに呆れられた。
「甘いよ。そんなの警戒済み。マイルズ・ユーモアさんは常に〈臨界黒体放射〉が狙っているから、注意すると良いよ」
「う・・・〖無敵〗は駄目か」
リアトリスが、広げた両腕から、自分を抱きしめるように動かした。
「スウ。なぜ強い君がいない時に、地球とのゲートを封鎖しなかったと思う? 地球とのゲートはいつまでも封鎖できるわけじゃない。君を始末しなければ意味がない。――さあ、決着をつけましょう。プレイヤーさんたち。そして―――スウ!!」
言ったリアトリスが左腕を縦に振るった。刹那、レーザーの様な物が伸びて、マザーグースが真っ二つになった。
「えっ、――ちょ!! 全員退艦!! 急いで!!」
艦砲射撃のために、リアトリスに側面を向けていたから、真ん中からバッサリ。
すでにプレイヤーはバーサスフレームに待機していたんだろう。一斉にマザーグースから出ていく。
『空母イクトミ、出るから、取り付け!!』
『ティンクルスターも出ます!! 収容している時間はないのでどこかを握ってください!!』
「アリス、リッカ、私達も急ぐよ!!」
「は、はい!」
「これはちょっと不味いな!」
私達も格納庫へ、ジープで走る。
「イルさん、怪我した人はいない!?」
『*ピーーー*』
駄目だ、イルさんが故障してる。
私はマイクで艦内に呼びかける。
「怪我した人はいませんか!! 〖再生〗します!!」
って、戦艦の胴体が分かたれた部分に来た。
ここはジープじゃ進めない。
「二人共!! 〖飛行〗!!」
「はい! 〖飛行〗」
「応!! 〖飛行〗!!」
私達は飛んで向こう側へ。
って、誰か倒れて気を失っている。
クレイジーデイジーさんだ!!
「大丈夫ですか!!」
私は駆け寄って〖再生〗。
「・・・ん・・・ぁ」
意識が戻らない。私はクレイジーデイジーさんを、お姫様だっこ
「パイロットスーツに破けた場所はない・・・?」
外はフッ化水素の地獄だから・・・肌が触れたら死んじゃう。
私はクレイジーデイジーさんの体を確認。
あ、破れてる!!
危ない所だった。私は〈時空倉庫の鍵〉から、銀色のテープみたいなのを取り出して、破れた部分に貼る。応急処置だ。
そしてクレイジーデイジーさんを抱きかかえて、飛ぶ。
「いそげ、いそげ――!!」
すると、
『娘たちよ』
『我ら、ここに』
サンライト・ショーグン・ゼロ・カスタムと、ルミライト・ダーリン・インフィニティ・カスタムが飛んできた。
流石、意思を持った特機。
「ありがとうございます。サンライト・ショーグン・ゼロ・カスタム!」
「ナイス、ルミライト・ダーリン・インフィニティ・カスタム!!」
アリスとリッカがそれぞれ、自分の機体に乗り込む。
『スウ殿も我の手に』
『いや、我の』
なんか取り合いされてるけど、とりあえず近い方のルミライト・ダーリン・インフィニティ・カスタムの手に乗る。
そうして私も、アイステイルを呼んだ。
『あっ、スウさんがリッカの方へ』
『カッカッカ』
なんかアリスとリッカが、プチ内乱してる。




