776 戦います
◆◇sight:鈴咲 涼姫◇◆
『衛星軌道から追って来た敵はここに来れない、今のうちに・・・・』
マイルズが人型形態にして飛び立つと、赤ウィンドウの通信が入ってきた。
『スウ、マイルズ!!』
この声は・・・・。
『コーレルリヒか!』
「・・・うん」
『ボクもいますよ』
スコルもいるみたい。
コーレルリヒが、ウィンドウの向こうで真剣な表情になる。
『丁度いい、2対2か――今回は1対2などということはしないぞ』
コーレルリヒ、2対2で丁度いいとか・・・・真っ直ぐすぎるんだって。
「マイルズ気をつけて、コーレルリヒとスコルが組むと、ルジェルナより強いらしい」
『・・・・ほう』
『決着を着けるぞ!』
コーレルリヒが叫ぶけど、
「ねえ、コーレルリヒ! 私、貴方と闘いたくない!」
いい人だもん、この人!
『問答無用ッ!!』
「・・・・やっぱり、そうなるよね・・・」
コーレルリヒだもんね。
私は目をつむって、息をゆっくりと吐く。
「・・・・マイルズ、操縦の権限を、私に」
『了解、スウに操縦の権限を移譲――火器管制はまかせろ』
「ありがとう」
私は飛行形態のまま上昇を開始。
コーレルリヒと、スコルが後ろを付いてくる。
ウィンドウの向こうのマイルズが、疑問の表情になった。
『ん? ――なんだ、この動きは』
「縦型のサークルファイト」
『ふむ・・・・。――なるほど』
合体状態なら、アイステイルとブルーテイル――2機分の推進力が使える。
翼も4枚だ、速度も上昇力も圧倒的にこっちが上。
白いAUⅢとオレンジ色のAUⅢが飛行形態で追いかけてくるけど、追いつけるわけがない。
そして追いついてこれないなら、やがて、
「ダイブ&ズーム!」
私はコーレルリヒの白いAUⅢを撃ち下しながら、急降下。
「コーレルリヒ! 退いて!!」
『そうはいかんっ!』
コーレルリヒの白いAUⅢが一瞬人型になって、スコルって人のオレンジ色のAUⅢを掴んだ。そして飛行形態に戻る。簡易合体!?
不味い、あっちもこっちと同じ加速と上昇力を手に入れた!
――いや、アクティブアクターの方が加速は上だ・・・・!
私は、どうするか、素早く考える。
「な・・・・なら、〝マラソン〟しよう。あっちの燃料が尽きるまで、逃げ回れば・・・・」
燃料切れで退いて貰えれば、コーレルリヒと戦わなくて済――
『スウ! 油断をするな!!』
一瞬、いい考えだと思考に沈んだ私は、マイルズの警告で現実に引き戻される。
――人型形態になったコーレルリヒのAUⅢが、トンボの構えで眼の前!!
私は、ギリギリ〈励起翼〉でコーレルリヒの繰り出した結晶励起刀の雲耀の位を〝受け止めた〟。
「しまっ!!」
コーレルリヒの「受けたら胴体毎、真っ二つにできる」という言葉は偽りじゃなかった!
アイステイルの〈励起翼〉が叩き折られた!!
翼が1枚減ってしまった!
「だ、駄目だ、コーレルリヒは〝マラソン〟なんかで撤退させられる相手じゃない! 油断すらできやしない!!」
コーレルリヒが叫ぶ。
『スウ、戦いに集中しろ! さもなくば、死ぬぞっ! ―――俺は、たとえお前が相手でも、手心は加えんッ!!』
「・・・わ、わかったよ、コーレルリヒ。――ここからが、私の本気だ・・・ッ!!」
私は、歯を閉じて、鋭く息を吐く。
ベクターの訓練シミュレーターでであったアリス達のデータをシミュレーションで利用されないように、データベースは全部念入りに潰してきた。
だから今、コーレルリヒを殺してしまうと、コーレルリヒは復活できない。
――いや、できたとしても・・・・それは今のコーレルリヒじゃない。
それでも・・・・。
「入れ――」
『来い!!』
「――ゾーン!!」
私は、スーパー・ブルーテイルを上昇させ、雲に入る。
・・・・本気で戦わないと、私が、死ぬ! アリスやみずきを泣かせはしない!
コーレルリヒとスコルが追いかけて、雲に入ってくる。
『雲、だと? スウ、何を企んでいる』
ごめん、コーレルリヒ。
ここはもう、私のテリトリーなんだ。
「〖マッピング〗」
『〖マッピング〗』
マイルズも使ったみたいだ。
これで、コーレルリヒからは見えないけど、私達からは見える。
「マイルズ! 〈臨界黒体放射〉を」
「ラジャ!!」
私は、煙幕状の雲で、本来は見えない相手を〈臨界黒体放射〉で撃つ。
コーレルリヒのAUⅢに直撃した――恐らくバリアだろう、光って砕けるのが見えた。
通信からコーレルリヒの嬉しそうな声が返ってくる。
『なるほど、流石、策を弄する! ―――いいだろう。――〖未来視〗! ・・・そこか!!』
あっ、コーレルリヒもチートスキルを持ってた!
私が、未来で何かを撃ってくる位置を察知したんだろう。弾丸を置き撃ちされてる!
さらにスコルにも情報を共有したのだろうか、進行方向にオレンジ色のAUⅢ――の下半身だけ!?
下半身の機関銃を躱すけど、上半身はどこ!?
『スウ、上だ!!』
火器管制役のマイルズの警告!
「不味い、ダイブ&ズームされてる!! ――三択ブースト、シールド!!」
コックピット内に何度も響く振動――スーパー・ブルーテイルが被弾。シールドが砕けた!
アルハナを呼んでシールド回復――って、アルハナがコーレルリヒに真っ二つにされた!!
「くっ、強い・・・・! この2人が組むと、本当にルジェルナより強い!!」
『今です!! コーレルリヒ!! トドメを!!』
スコルの大声が、通信から漏れてきた!
スコルがドッグファイトで翻弄して、コーレルリヒが接近して必殺の示現流で仕留めるって感じか!!
『上から、雲耀の位を叩き込んでください!!』
「情報漏洩してるよ!!」
私は上から来るコーレルリヒを・・・・。
あれ? ――来ない!?
首筋に冷たい感覚、第六感の耳鳴り!!




