773 3分待ちます
すみません。前回、移動する描写が抜けていました。
以下になります。
―――
「複数回数、使用可能だよね?」
「間違いない」
というわけでコンテナにAUⅢでロケットを接続。作業に入るのでした。
「よし、向かうぞ」
「うん!」
―――
ほんとすみません!
~~~
『*はい、マイルズに伝えたいんですが、こっちの世界にいますか?*』
「待ち給え、この通信は傍受されているのだろう、作戦を言って大丈夫なのか?」
『*暗号で通信します。地球の暗号ですが、最近は地球も銀河連合の暗号技術を使ってるらしいので、そうそう解析できないはずです。マイルズはこっちの世界にいますか? ベクターの世界にいたりしませんよね?*』
「ああ、こっちの世界にいる。今はUSSFの所有戦艦に乗っているはずだよ」
『*ありがとうございます。じゃあ通信を切りますね*』
スウとユタが通信を終えたところで、ヴィクター・ハリソンのスマホが揺れた。
「ん――軍用メッセージか? 軍用メッセージにスウ君からとは珍しい」
スウが初めてヴィクターが自分に会いに来た時に教えてもらったメッセージツールで、情報を送ってきたのだ。
「なになに、マイルズ・ユーモア中尉に伝えてほしい?」
ヴィクター・ハリソンは、スウのメッセージを読むと、ニヤリと口の端を吊り上げた。
「さすがスウくんだ」
◆◇sight:鈴咲 涼姫◇◆
コンテナロケットが打ち上がっていく、あそこには100人の子供が乗ってる。
宇宙空間で、地球の軍人さんたちと、銀河連合が共同でキャッチしてくれる。
アリスやみずき、アレックスさんや、エレノアさん、マリさん、柏木さん、スケさんなどなど猛者たちが絶対に守ってくれるから、大丈夫。
私は、作戦があるから、まだ上がれない。
「惑星が、転位前に移動し始めた時の嵐すごかったねぇ」
いきなり重力が消えたら大変なことになるので、ゆっくり移動してから転位してきたんだよね。
「ああ、凄まじかったな。見たこともないような嵐だった」
私は、暗い夜空を見上げながら、まだ収まらない突風に髪を押さえながらコーレルリヒに向き直る。
「――コーレルリヒ、ありがとう。貴方のお陰でAUⅢをゲットできたから、100人の子供をみんなポルピリオンに移動できて助けられたよ」
「問題ない」
私は、緑のAUⅢの足元でコーレルリヒにお礼を言っていた。
AUⅢを駐機しているここは、砂浜だ。小さな島で、周囲には青い海が広がっている。
そろそろコーレルリヒとはお別れだろうか。
コーレルリヒは亡命したりする気はないらしい。あくまで、ベクター側の軍人なんだって。
私はお礼を言われて照れてるコーレルリヒに軽口を叩く。
「ふふっ、耳が赤いよ」
「子供を酷い目に合わせるのは、性に合わんだけだ」
コーレルリヒが空を飛んで、白んで行くコンテナロケット見上げた。
ちなみにあのロケットも、私が強奪した。
というか、コンテナとロケットエンジンを強奪して合体させたもの。
空には青が広がっている。輝く太陽――じゃないか、恒星は頂点辺り。
ふと、コーレルリヒが〈時空倉庫の鍵byベクター〉を開いて、中から――カップ麺?
「腹は減ってないか? そろそろ昼だ」
「えっ、別に――」
遠慮しようとしたんだけど、カップ麺を見たことで、私は食欲が湧いてきたらしく。
お腹が「くぅ」と鳴った。黙れ、我がハラワタ。
コーレルリヒが破顔する。
「はっはっは! 遠慮するな」
ヤカンが〈時空倉庫の鍵〉から出てきた。あれ? こっちの〈時空倉庫の鍵〉も持ってるんだ?
沸騰した状態で時間のない空間に仕舞ったのだろうか、湯気が出ている。
「醤油とカレー、どっちにする?」
「じゃ、じゃあ、カレーかなぁ」
まるで文化の違う世界でも、カップ麺の定番は変わらないんだね・・・・やっぱり、同じ人間なんだなって気がする。
コーレルリヒが目元を和らげて、カレー味を渡してくる。
子供にもだけど、本当に優しい笑顔をする人だ。
「よし、なら俺は醤油だな!」
「これ、ラーメンにお湯入れて、3分後に〈時空倉庫の鍵〉に仕舞っちゃ駄目なの? できあがりを入れたらいいじゃん?」
「はっはっは。お前らしい。――だがバカを言うな、スウ。この待っている時間がいいんだろう? 3分間、空腹を耐えることで、より旨く感じるのだ」
「ほんっと、コーレルリヒは不器用だなぁ・・・・。――でもまぁ、空腹が最高の調味料なのは認める」
二人でAUⅢの足に座って、3分待つ。
私は、AUⅢの右足で、おすまし。
コーレルリヒはAUⅢの左足で、片膝立ちで肘をついていた。
二人、静かに水平線に視線を向けたまま、波のささやきに耳を澄ましていた。
「スウ」
「なに?」
「子供を見捨てられないとか、――お前だって、不器用ではないか」
「ほ、ほっといてよ」
「だが、お前は――いい女だ」
「ふぁ!? ―――な、なに!?」
いちいちアンタ、突然だし、直球なんだよ!
コーレルリヒが、私の顔をじっと見た。
「顔は地味だがな」
「い、言ったな!? ―――ついに口にしたな!?」
その直球はデッドボールだ!
私が〝殴るよ!? のポーズ〟をしたら、コーレルリヒが楽しそうに口元に手を当てる。
「結婚するなら、お前のような女に限る」
「く、口説いてんの!?」
私は顔面から火炎放射するけど、コーレルリヒは気にせず、急に海に視線を向けてから目を細めた。
「――だが、次に合う時は、敵同士だ」
「あ・・・・」
自分の顔が、急に冷えるのを感じた。そうして俯く。
「・・・・うん」
スマホが、ピピピと時間を知らせた。
「食うか」
「・・・うん」
二人で「はふはふ」しながら、麺を啜りました。
縮れてもつれた麺は、ちょっとだけ、苦い味がした。




