767 アンサーします
惑星の山間部に視界が変わった。
AUⅢの翼は戻ってきている。
そして山間部の上空に浮いていたのは――ボンバーヘッド。
あの機体を持っている中で、恐らく最強の人が相手だろう。
そして、ボンバーヘッド乗り最強といえば・・・。
「スケさんが相手ですか」
私の疑問に答えが返ってくる。
『すまん!!』
ああ、やっぱり。この声はスケさんだ。
「ちょっとキツイですね・・・」
『すまん!!』
「――じゃあ行きますね」
『すまん!!』
ボンバーヘッドは確かに良い機体。ハンマーヘッドの正当上位互換機として、速さと、上昇力、良好な応答速度を持つ機体。
返ってAUⅢは人型形態が強い。その代わり飛行形態が弱い。つまり上昇力でも、速さでもボンバーヘッドには勝てない。
初めてだな、強い人を飛行機としての性能が低い機体で相手するの。
スケさんが上空へ飛んでいく。
私は一応、付いていこうとするけど、やっぱ無理だ。引き離される。
機関銃を撃ってみても、簡単に躱される。
スケさんは上空で反転。
『すまん!! ダイブ&ズーム!』
やっぱそうだよね。
地球の戦闘機なら絶望的な状況だけど、バーサスフレームや、アクティブアクターだと少し話が変わる
人型があるからだ。
これ豆なんだけど、ダイブ&ズームは人型で対処できる。
なんでみんなやらないか・・・ダイブ&ズームしてくる人が少ないからだと思う。
まぁ、ルジェルナが前にちょっとやろうとして来たけど。
私はアクティブアクターを人型にして、急降下してくるスケさんを攻撃。
流石、人型は攻撃を当てやすい。
さしものスケさんも芯を捕らえた攻撃を延々と続けられると、躱しきれないで被弾する。
そうしてこちらの下に抜けていく訳だけど、その時もこっちは撃ち続けられる。
『やるな! スウ!』
「ダイブ&ズーム破れたり!」
『ならば!』
スケさんが上空へ登っていく。
そうしてそのまま撃ってきた。
流石に、人型の弱点を突いてきたか・・・。
人型形態はとにかく飛ぶのが苦手、高い場所を高速で移動されると、なかなか当てにくい。
偏差が特にキツイ。偏差は視界に表示されるけど、表示されている偏差通り動いてくれるような甘い人じゃない。
再び上空に抜けていく、ボンバーヘッド。
「素直にドッグファイトするしかない!」
私はAUⅢを飛行形態にして、急上昇。
スケさんも急降下してきた。
そしてそのまま、二人で相手の後ろを追うように円を描きながら戦いになる。
ドッグファイトの基本、サークルファイトだ。
今までは私の機体が速すぎて、この状態にさせて貰えなかった事も多い。
なぜかって、速い側が必ず勝つから。
このまま追いかけ合っていると、速度の速い方が徐々に相手に追いついて、後ろを取る。
今回は、元々速い上に、高い場所から急降下して速度を得たスケさん。元々遅い上に人型にして速度を捨てた私の戦いなわけで、圧倒的に速いスケさんが後ろを取ることになる。
私は、彼を追い越しさせないといけない。
スケさんが後ろから撃ってきた。彼が追いついて来て、私が射線に入ったんだ。
私はスケさんの弾丸を、バレルロールで躱す。
これで追い越ししてくれればいけど。
駄目だ。ただの宙返りで無効化される。
こっちから撃たれないからって宙返りなんて単純な機動選んでくれて・・・!
なら、
「ハイヨーヨーだ!」
『来たな、必殺技!』
上昇からの背面飛行――どうだ!
相手が相当速いから、キツイはず!
またループ!? 舐めるな!!
私はハイヨーヨーの挙動を途中で変更。
降下からの180度反転――スプリットSを実施。
『な、なにぃ!?』
「ハイヨーヨーからの†ラストロンド†――いえ、†ハイパー・ラストロンド†です! 空戦FPSで鍛えた必殺技、くらいなさい!!」
『ゲ、ゲームだとう!?』
宙返り中のボンバーヘッドの背後が、見えた。
あっちは速度がありすぎて、まだ回りきれてない。凄い大回りの宙返りになってる。
私は、突っ込みながら撃つ。
奇しくも、こっちが機動名を言ったせいで、スケさんが引っかかる形になった。
素直な人で良かった。
スケさんが予定通りこのまま一回転してたら、途中で面積の広い上面をこちらに向ける事になる。
私にそんな甘いことしたら、瞬く間に撃墜できる。
『くっ!』
スケさん、慌てて宙返りを中止。上昇からの180度反転のインメルマンターンみたいな機動に変更して、私に背後をみせながら逃げ出した。
「ループなんて単純な事して、私に通用すると思ったんですか!」
『すまん!』
私はスケさんを後ろから撃ちまくる。
『・・・・さてどうするか。ここで速度を緩めても、スウならばこちらが撃てない場所で時間稼ぎをするだろうな』
「当然です」
相手を追い抜きそうになったら、撃たれない場所で上昇180度反転とか色々すればいい。
『人型でダイブ&ズームを無効化されるなら、速度や高度の意味もないしな』
意味ないことはないけどね。
やっぱり相手より高い場所を取るのは有利。
『ならば――』
嫌な予感。
『――ヘッドオンか!』
やっぱり!
スケさんの必殺技だもんね!?
スケさんがスピン機動で反転『スピンは断じて機動ではない』って声が、どっかから聞こえた気がした。
ボンバーヘッドが、反転したままこっちに突っ込んでくる。
互いに互いの弾丸を躱しながら、急接近。
「ならこうしますよ!」
私は、すれ違いの瞬間、アレスティングフックをボンバーヘッドのインテークに引っ掛ける。
こっちは想定している力の掛かり方だから被害はないけど(私が、ムチウチになったくらい。――VRだけど)。
ボンバーヘッドはそうはいかない。
見事に仰向けになるボンバーヘッド。すると想定していない方向からの猛烈な風で。
落下する落ち葉のように前後に振り子運動をしながら落下していくボンバーヘッド。
でも、流石スケさん、姿勢を安定させかける。
「させない!」
私はAUⅢを人型にして、ハイパー命理キックの如き――ハイパー涼姫キック。
ボンバーヘッドは、腹に蹴りを受けて爆散するのだった。




