765 破壊を決意します
『なっ!?』
宇宙では光も煙も、しばらくその場に残る。
私は煙幕がある間に、AUⅢを回転させて、絡まっている有線から脱出。さらに人型に変形して〈結晶励起剣〉を取り出し、有線を斬――ろうとしたら凶暴なる技巧の手が離れた。
斬られるのを嫌がったみたい。
『決めきれませんでしたか』
「負けるわけにはいかないからね」
『ですがスウさん、知ってますか?』
「なにを・・・?」
『宇宙に空気はないんです!』
「しってるよ!?」
『飛行機も人型も、速度は変わらない!』
「それはそう!」
ショーグン・サンライト・ゼロが足のロケットと肩のロケットの向きを揃えて、加速してこっちに向かってくる。
『そうして、関節がある分、人型の方がより自由に動ける! ――こんな風に! 人型なら私の方が強い!!』
確かに、以前アリスとVRで戦ったのはコロニー内だった。重力も空気もあった。人型有利な宇宙ではアリスの土俵かもしれない。
流石、ランキング5位は伊達じゃない。
『終わりです!!』
ショーグン・サンライト・ゼロが火縄銃の様な武器を取り出し発射。
飛んでくる弾丸、外れる。
「・・・・」
『・・・・』
「まあ、アリスだもんね」
『と、とにかく、宇宙だと人型ロボットは戦闘機より強い!! ――IQ240の人が言ってました!』
「・・・・それ、架空の人物だけどね」
『どうしますか!?』
「そうだね――こうする!」
私は近くにある惑星へ向かう。
『む!?』
そうして大気圏突入。
アリスもついてくる。
おっと今私は乗ってるアクティブアクターには黒体がないから、大気圏の突入角度に気をつけないといけないのか。
まあ、オートだけども。
という理由で地上の空に来た。
「さて、どうするアリス。ここだと、人型機体は不利だよ」
『スウさん、篇世機の特機としての特殊能力を知ってますか?』
「えっ、あるの?」
凶暴なる技巧と理合いの境界が、特殊能力だと思ってた。
『〝プラモデルの武装を現実世界に再現する〟。です!』
「はい!?」
なにそのアイリスの執念みたいな能力――って、まって特機の特殊能力ってそういう事!?
特機の魔法みたいな能力はなんなんだろうって思ってたら、MoBの能力とかを混ぜてるの?
『わたし、勉強したんですよ』
「な、なにを・・・」
『ド◯グナーやインパルス・ガ◯ダムみたいな翼なら、実際に飛べる!』
「!!」
『具現化せよ、篇世機!!』
アリスの声と共に、サンライト・ショーグン・ゼロの背中に翼が生えてくる。
そうして安定飛行を始めた。
「お見事だよアリス・・・そう、人型のロボットとかぶら下げても、翼面荷重(翼1平方メートルあたり、どれだけの重量を支えているか)の問題さえ解決すれば、巨大人型兵器だって翼でぶら下げられる。そうして、バーサスフレームは人型でも浮き上がれるし、元々飛行機として飛べる重量――だから翼さえ生やせば・・・飛べる!」
あとマッハの風が吹けば、牛でも離陸できるらしいし。
『ふっふっふ、アニメを見て勉強しました』
「うん、巨大ロボットが本当に飛べると思ったアリスの純粋さが凄いよ。それにプラモデル作るの上手くなったね―――凄く奇麗な塗装だよ。そんな大きさまで拡大してもムラがないし、バリもない表面処理も完璧」
『エヘヘ、頑張りました』
「凄い」
『スウさんに褒められて嬉しいです!』
「じゃあ、戦いを再開しようか!」
『はい!』
私とアリスはドッグファイトを開始。
アリスが私を追ってくる。後ろに付かれた。
「でもね、アリス」
『なんですか?』
「一つ大事な見落としが有るよ」
『えっ、なんでしょう・・・?』
「私にドッグファイトを挑んじゃったら!」
『―――あっ!!』
私はバレルロールを実施。
アリスに追い越しさせる。
すると、アリスが嬉しそうに呟いた。
『ああ・・・っ! このバレルロールです・・・! わたしが最初に見た光景―――。スウさんのバレルロール! ・・・これを見て私は! ――スウさん、データベースの破壊お願いしますね!!』
「・・・・うん」
私の攻撃で、サンライト・ショーグン・ゼロが爆散した。
気づくと、辺りがまた宇宙だった。
「小惑星帯?」
そんな場所で戦う相手は・・・・宇宙に浮いていたのは――〈ハイパー・ソードリボルバー〉を右手にぶら下げた。
ルミライト・ダーリン・インフィニティだった。
ちなみにルミライト・ダーリン・インフィニティ・〝カスタム〟ではない――情報が少し古いのかもしれない。
「今度はリッカか・・・」
『んだなぁ、あんまり戦いたくないんだけどなぁ・・・・そうもいかないらしい』
「ベクターめ・・・・ちょっと腹立ってきた」
さっきのアリスの最後の言葉だって・・・アリスの記憶と思考にあんな事言わせて、赦せない。
『まあ、行くぞ、スウ!』
「おう!」
ルミライト・ダーリン・インフィニティが一気に加速――迫ってくる。
私はすれ違うように、〈結晶励起粒子翼〉で〈ハイパー・ソードリボルバー〉受ける。
前も言ったけど、小惑星帯――「別に小惑星はそれほど密集していない」という人がいる。
たしかに小惑星は、数百メートルから数キロメートルなんて間隔を空けて浮いている。
だけど、地球の戦闘機ですら空を、秒速1キロとかで飛ぶんだ。
宇宙で、バーサスフレームは、地球の戦闘機の速度なんか目じゃない速度で飛ぶ。だからし小惑星の間隔は十分狭い。
数秒とかコンマ何秒とかで、次から次へと小惑星が向かってくるなんて普通にやばい。
私とリッカは小惑星を躱しながら反転。
『――っぶないな。ココ』
「嫌な場所だよねぇ」




