756 咆哮します
マイルズが銃鞘から弾丸を放ちまくるけど、ルジェルナはあっさりと躱す。
『笑止千万!! ――勇者のトップに立つファーストであるこのルジェルナ・ハイネに!!』
『こちらも勲功ポイントランキング1位、マイルズ・ユーモアだ!!』
盾を構えたマイルズのブルーテイルが、剣を鞘から抜いて、接近戦を挑む。
ルジェルナが、鎌をひっくり返す。刃を上に向けた。
その時リッカが叫んだ。
『不味い! ――』
嫌な予感!
『――マイルズ、躱せ! それは盾を潰す技だ!!』
え!?
だけどもう躱せる距離じゃない!
ルジェルナが、鎌の刃を、盾の下から突っ込んだ。
そうして、まるで土を掻き出すかのように、左手を軸にして、テコの原理で――
『な!?』
盾をカチ上げた。
そうして、ブルーテイルの無防備な腹に、鎌の柄の先端を押し当てて。
柄の先端にある、あれは――銃口!?!?
閃光がブルーテイルを貫いた。爆散する。ブルーテイル。
❝マイルズがやられた?❞
❝嘘だろ・・・おい、1位が❞
『ル、ルジェルナは天才。か・・・神が選んだとしか思えない』
『スウ、安心しろ。脱出は成功した・・・くっ、ボクとしたことが・・・』
よかった!
なら、
「ルジェルナ!! マイルズの仇!!」
『脱出は成功したッ!!』
お怒りマイルズ。
「貴女、私をメタるようなスキルを持ち出してくれたけど、私もメタらせて貰ったよ――」
私が現れるのは、ルジェルナの真上。
「――〖必中〗のメタは――〝暗殺〟!! ――そっちが撃つ前に、倒す!」
『ボクは囮だったのか―――全く』
「マイルズ、ごめん!」
マイルズなら大丈夫だって信じてた!
『そういえば、一体どこに!?』
ルジェルナが私を探してる。
「流石にマイルズ相手じゃ、私から一瞬でも気がそれるよね!?」
『暗殺は一撃で仕留めないと意味ありませんわよ! ――少々の攻撃ならバリアで弾いて、シャーリーに回復してもらいますわ!!』
シャーリー? シャーイーじゃないの!?
「できるかな? バリアって六角形で構成された多面体の球にみえるけどさ」
『は? 当たり前でしょう』
「それ、無理なんだよ。どっかで六角形が重なったりする。それでバリアにはどっかに五角形が存在する」
『だからなんですの?』
「私、気づいたんだよ――その五角形部分ってさ、」
私は〈超臨界・励起翼〉を準備。
狙いを定める。
これがマイルズに私が告げた、秘策。
「脆いんだよ 入れ、――セカンド・ゾーン!!」
『なにごとですの!? この禍々しい力は!?』
❝流石首席❞
❝サバイバルでジェット機作ったバケモノ。数学も完備か❞
AUⅢが首を巡らす。
バリアの五角形部分を探している。
5角形は、真後ろにある。
『あの娘、なんて禍々しい力を放って――!! 5角形どこに――!? あ、ありまし・・・・』
「遅い!!」
私はAUⅢの右側にあるバリアの弱点に突撃――。
〈超臨界・励起翼〉がバリアの五角形部分に接触。
まるで殴られたパズルのように砕けていくバリア。
『しま――っ』
「終わりだルジェルナァァァ!!」
『わたくしは神が選んだ、天才のルジェルナですわよ―――ッ!!』
「私は、自分が選んだ、努力のスウだ―――ッ!!」
自分で言うのもなんだけど!
〈炸薬波動銃〉の銃口が、アイステイルのコックピットに突きつけられる。
『1人では逝きませんわよ! ――貴方もお死になさい!!』
「3択ブースト、シールド!!」
放たれる〈炸薬波動銃〉。
砕けるアイステイルのシールド、私に響く振動。
突き刺さる、〈超臨界・励起翼〉。
『っぐ・・・・この化け物! シャーリー・・・お逃げなさ・・・』
爆散する黒いAUⅢ。
大丈夫、コックピットは狙ってない。死んでないはず。
あ、カプセル型の脱出ポットが出てきた。
『ル、ルジェルナァァァ!!』
シャーリーって人が叫んで、黒い刃の鎌を抜いた――鎖鎌だけど・・・。
真っ黒な――まさか。
「オリハルコンの鎌!?」
『そ、そうだ! 一撃で仕留めてやる!!』
アリスとリッカの驚きの声が通信から漏れてきた。
『なっ』
『オリハルコン!?』
「向こうのダンジョン産!?」
鎖鎌で、刃の部分だけがオリハルコンみたいだけど、刃渡り2メートルくらい。あんな大量に・・・。
『こ、こっちのダンジョンを舐めるなよ!?』
なんか、特徴的な喋り方の女の子だな。吃音なんだろうか。
アリスがリッカに叫ぶ。
『な、なんて物を大量に産出してるんですかリッカ!!』
『ちがう、わたしではない! わたしだが、わたしではない! わたしは悪くない!』
『どーせファンタジー大好きだから、ファンタジー金属を大量にお漏らししたんでしょう!』
『漏らすかんなもん!』
ルジェルナから通信ウィンドウが開いた。
『シャーリー、ついにヒーラーを止める気になったんですわね。スウさん、シャーリーを舐めない方がいいですわ。ヒーラー機なのに撃墜数がわたくしに次いで2位――これがどういうことかわかるかしら?』
「え?」
『つまりリャーリーは武器を使えば、わたくしより強いということですわ!』
ルジェルナよりこの子の方が強いの!?
〈超臨界・励起翼〉を使って、まだエンジンが本調子じゃないし! 今一撃必殺で飛び込まれたら!
こ、こういう時は!
私は無重力に浮いていた脱出ポットを掴む。
それをシャーリーって人の方へゆっくり投げる。




