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フェイテルリンク・レジェンディア ~訓練場に籠もって出てきたら、最強になっていた。バトルでも日常でも無双します~  作者: 毘沙門 子子


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738 アイステイルに乗ります

『1番滑走路、準備よろし』


「XIS-0 スウ専用・アイステイル、出ます!!」


 強めの振動を響かせて、基地の滑走路から飛び立つアイステイル。

 通信ウィンドウが開き、アイビーさんから通信が入ってくる。


『スウさん以前うかがったときの御要望通り、外の感覚を掴みやすいように振動の伝わり方を強めにしましたが、どうですか?』

「いい感じです。これなら機体の感じている物を肌に感じられます――まるで翼が両腕になったような感じです」

『それは素晴らしい。設計者は首を傾げていましたけれども』


 アイビーさんが苦笑する。


『大気中での最高速度は、時速5000キロです。リミッターを外せばさらに伸びます』

「やっぱりフェアリーテイルより速いんですね。ちょっとやってみますね」

『どうぞ。速度を一気に押しあげても大丈夫ですよ。非常に強力な重力制御装置を搭載しています』


 私は左のレバーを一気に押し上げる。

 アイステイルが、目を疑うような加速を始める。

 海に広がる波の輝きが、ものすごい速さで後方に流れていく。

 たった数秒で、フェアリーさんのおおよその限界速度、時速4500キロまで達した。


『さらにアフターバーナーを使い、リミッターを外せば時速5500キロに達します』

「やってみます!」

『どうぞ』


 私がスロットルレバーを車のギアチェンジのように横にスライドさせたあと、さらに押し込んでアフターバーナーを点火する。

「ドンッ」という、後ろに突き飛ばされたような衝撃と同時、一気に加速するアイステイル。


『そのアフターバーナーは最新の物で、普通のアフターバーナーはプラズマ化した推進剤にもう一度燃料を加えるだけですが、アイステイルのアフターバーナーは、エンジンを冷却するために黒体が吸ったエネルギーも使って加速しています。ただ、やはりアフターバーナーは推進剤や燃料の消費が激しいので気をつけてくださいね』

「はい」


 確かに燃料の残りを示すメーターが、目に見えて減っていく。


 だけど、またたく間に時速5500キロに達した。

 これから宇宙にもでないといけないので燃料を無駄遣いするのはいけない、スロットルを戻して加速を止める。


『では、宇宙に出ましょうか』

「了解です――」


 私は、少し恐る恐る彼を呼ぶ。

 だって彼の本体であるフェアリーテイルは、破壊されてしまったのだから。


「――イルさん・・・」


 するとダッシュボードの上に扉が開いて・・・中から青い服にイメチェンした彼が現れた。


『はい、何でしょうマイマスター!』

「イルさん!! ――よかった・・・消えてしまっていたらどうしようかと・・・」


 私はホログラムのイルさんに頬ずりしようとして、触れられないのを忘れていて、ダッシュボードでアゴを打った。


「アイタタ」


 でも、イルさんが私の頬を撫でる仕草をする。触れられはしないけど、撫でてくれている。


『大丈夫ですよ。私のデータはしっかり連合に保存されています。マスターとのこれまでのやり取りも全部憶えています』

「ほんと? イル」


 するとイルさんが「失礼」と言って、コホン咳払い。


『「さんを付けろよ、デコ助女!!」』

「イルさん!! ――あははっ」

『今のマスターは、デコ助じゃないですけどね』

「だねっ」 


 私は小さな相方を見る。


「じゃあ、またよろしく頼むぜ、相棒!」

『またご一緒します。マイマスター!』


 私とイルさんは、拳を打ち合わせる仕草をした。

 ちなみにドローンたちは全員〈時空倉庫の鍵・大〉の中なので無事です。


『それからマイマスターに、紹介したい方が居ます』

「紹介?」


 イルさんの隣に赤い扉が現れる。

 そこから、アリスに似た金髪の女性が出てきた。


『初めましてマスター。わたくしの名前はAI’s(アイス)。アイリス ヤチマタを元にした補助AIです』


 2人のホログラムが互いの顔の前で、握手をした。


『これからよろしくお願いします。AI’s!』

『よろしくお願いしますね。イル先輩!』


 私は2人を微笑ましく見る。


『マイマスター、なんとAI’sは連理演算器の3分の1の演算能力を誇るのです』

「えっ、すごっ」


 驚きながらも、一路宇宙へ。

 沢山のバーサスフレームや戦艦、空母が並んでいる衛星軌道を抜けて、アイビーさん、アリス、リッカが先行して待っている戦艦の近くへ。


『来ましたね、では宇宙での操縦を試しましょうか』

「はい」


 アリスとリッカが反応する。


『いよいよですね』

『ワクワクするな』

『では鹵獲したアクティブアクターを出します。このアクティブアクターは、きちんと向こうの兵士の思考をトレースして襲ってくるので、撃墜して下さい』


 緑色をしたAUⅢが一機、戦艦から飛び出してくる。


 相手はマシンガンを連発してくるけど、1キロ以上距離が離れているのに当たるわけがない。


『左右の反転を素早く行うために、持続的な速度より加速力の方を、かなり強力にしています。しかし相変わらずの紙装甲なので、注意してください』


 ちょっとGがキツイけど、耐えられない程じゃない。

 〖堅牢〗も効いているかもしれない。


『では武装のテストです』


 私は言われる武装を放って、アクティブアクターを撃墜していく。


『実弾系。三つの銃。スウさんのご要望どおり、宇宙用の弾丸を開発しました。空気抵抗を気にする必要がないので、弾丸の先端を完全に潰した物です。この弾丸は破壊力が非常に高いですが、大気中では物凄く減速するので、大気中での使用は推奨できません。〈汎用バルカン〉、〈汎用スナイパー〉で使用できます』


 私の提案したあの弾丸も完成していたみたい。

 でも、大気中でも、零距離射撃なら凶悪な威力が出ると思う。隠し玉にしよう。


 私が思考を巡らせている間にも、アイビーさんの説明は続く。

 あとは、フェアリーテイルと代わり映えがないものが続く。


『黒体系。このあたりは出力や撃ち方の問題ですから、全て一つの武装なんですけどね。


〈黒体放射バルカン〉

〈臨界黒体放射〉

〈臨界黒体放射バルカン〉

〈超臨界・黒体放射〉


翼系。


〈励起翼〉

〈臨界・励起翼〉


剣。


〈励起剣〉

〈臨界・励起剣〉


追加装備。


〈コンパクトミサイル〉ハードポイントにぶら下げた物です。

スウさん自作の〈粒子加速ヨーヨー〉


そして、試作型・終炎も付いています』

「終炎のエンドですね!」

『違いますね。それから、〈アイアン・ノヴァ〉』

「それは使いたくないです」

『頑張って下さい』


 私は慣れた武装から。AUⅢに当てていく。

 そうしながら8機ほど撃墜すると、アイビーさんが少し声を大きくする。

 

『――さらに〈超臨界・励起翼〉!』

「〈超臨界・励起翼〉ですか・・・・」


 なんか、やばそう。だってそれ、名前からして、接近戦でエンジンとまるんでしょう?

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