730 ヤバイのと戦います
また〈炸薬波動銃〉の弾丸が飛んでくる。
――て、不味い。この軌道は―――〝芯を捉えてる〟!! 私の回転の真ん中を捉えてる――回転じゃ躱せない―――っ!!
私は〈臨界・励起翼〉を発動、機体を滑らせて〈臨界・励起翼〉で弾丸を受け止める。真っ二つになって後方へ飛んでいく〈炸薬波動銃〉の巨大な弾丸。
フェアリーテイルがあんなのに当たったら、シールドごと一発で機体が吹き飛ぶ。
相手の声が聞こえてくる。
『驚いた――今のに対処するなんて――じゃあ、これはどうかしら?』
三度〈炸薬波動銃〉が発射される。
私はこれを右の〈励起翼〉で受け止める。
『逃げたのは左ね』
すると、相手が私の進行方向に弾丸を飛ばしてくる。これも〝芯を捉えている〟。背面を向けた時の中央軸に飛んでくる!
私は思わず叫んだ。
「〝胴体パリィ〟!!」
シールドが破られたけど、フェアリーテイルの胴体を滑って外れる弾丸。
❝どどど、胴体パリィ!?❞
❝戦闘機の胴体で弾丸を滑らして逸らしたんか!? アホかwww❞
❝この娘、まだそんな隠し玉を❞
「ひ、飛行機の上は物凄く滑らかな曲線なので、できます」
❝できます――できるとは言っていない❞
『ほんと、凄いわ。貴女、お名前を教えて下さる? わたくしはルジェルナ――ルジェルナ・ハイネよ。二つ名では〝不可避の終焉〟なんて呼ばれてるわ』
「えっ。わ、私はスウです」
・・・この人が不可避の終焉?
かつて、星団帝国や銀河連合を震え上がらせた人・・・。
『それだけの腕で、二つ名はございませんのかしら?』
「ありません」
私は スン と答えた。
❝おい、スウたんwww❞
❝〝狂陰〟はどうしたw❞
❝〝銀河の妖精〟はどうしたw❞
『そう。スウと云うのですのね、良いお名前。けれど残念だわ、会ってすくですのに、もうお別れなのは』
「どういう事ですか・・・?」
『貴女のお名前は、きっと忘れはしませんわ。――まさか、これを使う事がまた来るとは思いませんでした。――スキル〖必中〗』
「ひ、〖必中〗!?」
❝〖必中〗だって!?❞
❝不味い!!❞
❝スウたんを対策って来た!❞
❝逃げろスウたん!!❞
◆◇Sight:三人称◇◆
「最終整備急げ! スウさんが今戦っているのは、あの〖必中〗持ちの〝不可避の終焉〟のルジェルナだ! ――1100年前、大量の連合軍人を撃墜してきた――エースの枠にも収まらない。撃墜王――いや撃墜クイーン!! スウさんを失うわけには行かない・・・っ!」
ルルアから移転されたバーサスフレーム工場は、大慌てだった。
「移転されて早々、こんな機体の製造かよ!!」
「くそっ、ルルアの工場が使えればここまで遅延しなかったのに!」
「テメェらくっちゃべってないで手を動かせ!! この新しい機体を、なんとしてもスウさんが生きている間に届けないと! スウさんが今乗っているフェアリーテイルじゃ、あの不可避の終焉には、勝てない!!」
連合の佐官が振り返ったそこには、青い蝶のような機体があった。
「・・・間に合ってくれ!」
◆◇Sight:鈴咲 涼姫◇◆
「ひ、〖必中〗!?」
〈炸薬波動銃〉が発射される。
「〝胴体パリィ〟!!」
フェアリーテイルの胴の上を滑って弾かれる弾丸。
『へぇ、たしかにそれでも命中はしてるわね〖必中〗をそんな方法で無効化されたのは初めてよ』
「ど、どうも」
『けれど、二つ名も無いような相手に負けるような手合でもないのよ、わたくし』
❝いや、あるある❞
❝だれか狂陰を教えてやってくれ❞
❝銀河の妖精でも可❞
ルジェルナさんが、銃を持ち換える。
短くて大きな弾倉の着いた――不味い!!
私は全力で距離を取る。
リミッターを外して距離を取る――とにかく距離を取らないと!
『あら、可愛いおしりを見せて逃げて。そんなにマシンガンが怖いかしら。レールガンなので、これは弾丸が早いわよ』
❝スウたんどうした?❞
❝いや、秒間何十発も弾丸が飛んでくる〖必中〗のマシンガンの弾なんか、パリィし切れるわけねぇんだよ!!❞
❝だから弾丸の到達時間を伸ばすため、距離を取ってるんだ!❞
『では、今度こそさようなら。複製体のために、きちんと死の恐怖を植え付けてあげるわね、――二度とわたくしの前に現れるな。スウさん――〈連式・超電磁銃〉。星屑に還りなさい』
恐ろしい量の弾丸が私に向かってくる。
「〝胴体パリィ〟〝胴体パリィ〟〝胴体パリィィィィィィ〟!!」




