729 正体不明機が来ます
『くっくっく、これさえ複製してしまえば・・・・ん?』
相手の様子が、急におかしくなる。
まともに飛べないで転がりだした。
『うぉおぉおぉお、なんだこの機体はぁ!? ま、まるで言うことを利かん―――!!』
アリスがかつてフェアリーテイルを殺人マシーンと称したけど、スワローテイルも負けず劣らずピーキーだ。
しかもあれは13世代のスワローテイル。慣れない人が乗ったなら、プールに入った泳げない人みたいになるだろう――と、泳げない人が申しております。
私は種明かしをする。
「悪いね、さっきまでの連続撃破は、ただの私の操縦技術」
❝スウたんの操縦技術、とうとう特殊能力判断❞
❝十分に成長した操縦技術は、特殊能力と見分けがつかない❞
『し、しかし、先程の鬼神の如き機体性能はなんなのだ』
「いや、その機体、こちらの世界ではもう古くなってしまった2世代前の機体。しかも操縦が難しくてたまらないと基本的に誰も乗りたがらない――貴方達を撃墜していたのは、私の腕かも?」
❝その機体を乗りこなすのが既に特殊能力なんです❞
❝ただし、パイロットの特殊能力❞
『バ、バカな!? では私はゴミの様な機体を掴まされたとでも言うのか!?』
「―――ゴミではないよ!?」
ちょっと、スワローさんをゴミ呼びやめて!?
ほら、ホログラムのイルさんが微細動しながら『マイマスタァ』って私にずがり付いて来てるじゃないか。ナデナデ。
『か、返せ、俺の覚醒機アウェイクンを!』
「アンタのではない」
『マイマスタァ。あいつを、あいつを、ギャフンと言わせてくださいぃ』
私は〈臨界・励起翼〉を光らせ、相手に接近、
『うおおお、俺も、この機体で戦うか!? いや、別の機体を複製――いない!? いつの間にか誰も近くにいなくなっている!?』
「すでに作戦は伝達済み! ――そしてスワローさんには最大の特徴があってね、」
『くそっ、迎え撃つッ!!』
相手は、宇宙で転がり続けるのみ。
私は相手に〈臨界・励起翼〉一閃。
相手は真っ二つになる。
「装甲が薄いにも程があるんだよ」
相手のスワローテイルは爆散した。
『女ァ!!』
コックピットは外しておいた。
❝相手可哀想w❞
❝相手がコピーしてくるなら、スウたんにしか扱えない最弱機体を渡すとか酷すぎw❞
イルさんが下品な指をして「オラ、負けたならギャフンと言え! ギャフンと!!」とキャラ崩壊してる。よっぽど腹に据えかねたらしい。
「じゃあフェアリーテイルに乗り換えよう」
私は一旦戦艦に戻って、フェアリーテイルに戻る。
借りたスワローテイルも、さくさんキングさんに返還、そのID変えてよ。
そうして戦艦から、戦闘宙域に戻ろうとしたときだった。
『正体不明の黒いAUⅢがこちらに向かってきます!! ――凄まじい強さです!! 9機のロブⅡが瞬く間に撃墜されました!! ――スウさん!』
『はい、出ます!!』
『お願いします!!』
私は急いでフェアリーテイルに乗り込んで発進。
アリスとリッカの篇世機も出てくる。
するとサンライト・ショーグン・インフィニティが私に話しかけてきた。
アリスではなく、サンライト・ショーグン・インフィニティのAIが話しかけてきた。
『スウ殿、気をつけろ。この相手、ただ事ではない』
「えっ、ただ事ではないって・・・・どういう事ですか?」
『そうだな。ならばこう表現しよう――相手は我等に乗せても良い腕を持っている』
『ああ、腕としては、な。我々は心根も潔くなければ決して乗せぬが』
ルミライト・ダーリン・ゼロの言葉に、アリスがちょっとビックリする。
『それって、スウさん並って事ですか?』
『おそらく、その通り』
「わ、分かりました」
私が緊張すると、相手から通信が入ってきた。
『見つけたわよ。伏者機フェイクを撃墜したのは黒い機体だったけれど――パイロットはそこの白い戦闘機の中ね?』
「ち、違います」
一応シラを切ってみる――けど、
『分かるのよ。わたくし、そういうの分かってしまうのよ』
相手からの通信ウィンドウが開く。
現れたのは、なんかすごい豪奢なドレスを着た優雅な気品を纏う女性だった。
そんなヒラヒラした格好で宇宙空間来て、大丈夫なの?
『逃げようとしても、無駄よ?』
「お・・・おう」
黒いAUⅢが長大な銃を構える。
他のAUⅢにはない装備だ。この人狙撃が得意なのかな?
『〈炸薬波動銃〉』
相手が後方に軽くロケット噴射しながら、弾丸を飛ばしてくる。
うわっこの人、完璧に反動とロケット噴射の勢いを揃えてその場に止まった。
僅かに前に進んでドカン、停止。僅かに前に進んでドカン、停止。
なんか若干ダンスみたいにも見える。ロングスカートを履いてるみたいな機体だからちょっと優雅。
なんて見惚れてる場合じゃない。
私は飛んでくる弾丸を回転しながら躱す。
『なるほど、見て躱すのね――なら』
❝驚かないのか?❞




