724 こうなったら力技で行きます
消えていく星々、消えていくみんなのウィンドウ、消えていく世界、弾幕と私だけになる。
私は、船体をわざと弾幕にぶつけて削っていく。
エンジンや格納庫みたいな、大事な部分には当てない。
右の砲台の辺りとか、削っても大丈夫な部分を削る。
右手、右足、脇腹・・・・削られていく。
『削るって・・・そういう・・・』
誰かが呟いた。
小さくなった体で、弾幕を躱す。
「抜けた・・・・」
『嘘だろスウ・・・・本当にハイパーウォールを抜けやがった・・・・!』
今のはオルカンさんだろうか?
「・・・・みんな、左側の武器をコントロールして」
『ああっ!』
『わかった!』
私は、敵の戦艦に体の左側面を向ける。
「一斉射、用意」
オックスさんらしき人が、私の命令を復唱する。
『一斉射用意!』
ここだ。左腕が、敵を握りしめた。
「撃ち方」
『撃ちぃ方ぁ!!』
「初め」
『初めぇ―――!!』
弾丸が体から放たれ、次々と命中していく。
『流石だ、側面を完璧に敵に向けている。目標が最早、照準ど真ん中だ』
今のはマイルズだろうか?
『当たりました! わたしの弾丸も当たりました!!』
アリスがビックリしていた。
そろそろ決着を付けよう。
「マイルズ、マリさん、ユー&スナークさん、スケさん出れますか? ――さくらくん、艦橋に来て」
『ああ、いつでも準備はできている』
『はーい』
『やっと出番か』
『行けるよー』
『任せろ!』
『わかりました!』
ここで最強メンバーの投入だ。
ビスカムアルバムから産まれていくのは、ブルーテイル、フェアリーテイル、聖蝶機スワローテイル、ボンバー・ヘッド。
どれも強い機体ばっかり。
「アリス・・・」
『はい!』
「そろそろゾーンを解きたい」
『大丈夫です。今、向かってます!!』
背後で扉が開く気配がした。
やがて温かい手が、私を後ろから抱きしめた。
アリスの温もりが私に伝わってくる。
「スウさん、帰ってきて下さい」
「・・・うん」
色が戻って来る世界。
私はアリスの腕に体を預けた。
「お帰りなさい、スウさん」
「うん。ただいま。いつもありがとうね」
「いえ」
私は、戦うバーサスフレーム達を見る。
やっぱり、あの4人は強い・・・・別格だ。
ボンバーヘッドが群れなす敵の中へに突撃していく。
大丈夫なのかな・・・アレ。
ちなみに、ボンバーヘッドはハンマーヘッドの後継機で15世代機。
ボンバーヘッドの意味って、クレイジーとかイカれてるみたな感じだっけ。
スケさんにピッタリだとか思ってごめんなさい。
誰だい、鈴咲 涼姫もボンバーヘッド、とか言ってる悪い子は。
「みなさん、右に最速で回り込んで下ださい!!」
『迷いないですね。どういう作戦なんですか?』
アリスが私に尋ねてきた。
「私はシュネちゃんみたいに本当の作戦を練るのは得意じゃないから、古代の真似」
『古代?』
「横陣は、左右の端のどちらかから崩さないといけないんだけど」
『言ってましたね』
「うん。だから左右に騎馬兵を置く。一般的に騎馬兵は訓練された人々だから、守りも硬い」
『なるほどです』
「そうして隙ができたら、騎馬兵を前に出して、相手の端を突き崩し囲んでいく」
『騎馬兵の配置には、意味があったんですね』
「うん。端を攻める方法は外にも伏兵や、左右どちらかに戦力を偏らせて無理やりとか、色々ある。今回は、右側に私達という戦力を偏らせたので、相手がこっちから崩れてきてるから、足の早いマイルズたち小型機で、しかも飛行形態が得意な人たちに右端を潰しに行ってもらったってわけ」
宇宙では大型機でも速いと思われることもあるけど、それは直線だけ。
ビスカムアルバムみたいに質量が大きいと、加速や方向転換に時間がかかるから小回りが効かない。
『マイルズたちが、騎馬兵の役目ですか』
「うんうん。足が速いと突破力も高いからね。それに相手の陣形の変化にもついていける。陣形はどんどん変わるから、相手の速度を上回って常に有利な位置を取れるようにするんだ。具体的には相手を縦長にして、こっちは横長を相手に向け続ける――相手の攻撃力は最小に、こっちの攻撃力は最大に。相手の端だからこれができる」
「流石ですねぇ、集団戦を理解し切ってます・・・」
私はマップを見る。
マイルズとマリさんを見れば、分隊を組んで、マイルズが囮になり、マリさんがドッグ・ファイトしながら狙撃してる。
理想的な〈近代的な空中の接近戦〉だ。
「にしても、なんかマイルズのブルーテイル、ちょっと形が変わってる?」
「そういえば、なんだか小型化してますね――なんでしょう?」
スケさんとユー&スナークさんも分隊を組んでるけど、スケさんが・・・ヘッドオンして、スナークさんが撃って、ユーが〈励起翼〉で斬りつける。
何アレ。
連携の「れ」の字もない。
――なんでアレで勝ってるの? あの人達。




