691 ボッチになります
『マイマスター、〖壊劫〗発動まで残り10分』
「こ、こんなのを、どうやって倒せと・・・」
巨大で歪な、赤色超巨星。
〈超・臨界黒体放射〉を撃ち込んでも、反応すらない。
恒星表面に僅かにちょっと穴が空くくらい。
ダメージが入っている様子はない。〈臨界黒体放射〉は小さいとはいえ、ガンマ線バーストなのに・・・。
でも、相手は太陽系で言えば、木星軌道にまで達する巨大恒星なんだ・・・巨大さのレベルが違う。
『マイマスター、〖壊劫〗発動まで、残り8分』
〖壊劫〗が発動すれば宇宙が滅びる、ラニアケア超銀河団の33%吹き飛ぶ。
「どうする、どうしよう、どうすれば・・・」
私が考えていると、到着したリッカの最強技が飛んだ。
『フルチャージ波動弓!! ――くっ』
『スウさん、駄目です! ルミライト・ムシャリッカ・ゼロの波動弓を最大まで溜めてもダメージが入りません! 篇世機になって、今の波動弓は〈超・臨界黒体放射〉を超える威力なのに!』
いや、まてよ?
「そうか、赤色超巨星」
『どうしたんですか、なにか思いついたんですか!?』
「赤色超巨星だよ!」
『知ってますが・・・』
『見ればわかるぞ』
「見てよ、あの歪な形! アイツはもう自分を支えられなくなってる!! ――崩壊寸前なんだ!!」
『えっと?』
『つまりどういうことだ』
「崩壊寸前なら、崩壊させてやればいい! ――イルさん、対象恒星の鉄コアは?」
『生成は、ほぼ完了しています。崩壊寸前です』
「よし。なら、私たちが、最後の一撃を加えれば良い!!」
『だが、どうやってですか、私たち最強の攻撃〈超臨界・黒体放射〉ですら全く通じないんですよ!? まさか〈超臨界・励起翼〉とか〈試作型・終炎〉ですか!? 接近技を使った所で変わりませんよ!? というか赤色超巨星の内部まで行くなんて不可能でしょう!? 凄まじい圧力のはずです! いくら黒体が有っても圧殺されます!!』
「わかってる。だから、〈アイアン・ノヴァ〉」
『えっ、〈アイアン・ノヴァ〉はさっき使ったじゃないですか! 忘れたんですか!?』
『アレは、一発しか積めないんだろう! マイルズが抱いて爆発しただろう』
「作る」
『へ?』
『は?』
「アイアン・ノヴァは少量の鉄と、ἀτρά(原子) Ἅιρ(器) υφ(2) σεκ(5) ροτρο(生成) μαχά(メートル) ἄλφ (1) 【ω χάλυψ ω χάλυψ】(鉄よ生まれよ)!」
私の目の前に生まれる、鉄芯。少量と言っても十分、人間から見れば大量だけど。
「光崩壊エンジンの暴走があればいい」
私は〈時空倉庫の鍵〉から、〈ケンタウロス・アレイオン〉を取り出す。
「そうでしょ? イルさん」
『イエス、マイマスター。〈アイアン・ノヴァ〉の使用、銀河連合から承認されました』
「イルさん〈アイアン・ノヴァ〉の設計図を見せて!!」
『イエス、マイマスター!』
内部が鉄だらけになり、崩壊しかかってる赤色超巨星の内部で超新星爆発を起こせば、確実に赤色超巨星も超新星爆発する。そのきっかけを与えてやれば良い。
私の目の前に現れる、ウィンドウ。そこにアイアン・ノヴァの設計図。
『〈アイアン・ノヴァ〉を作る?』
『超科学の最強兵器だぞ・・・? そんなの不可能だろう』
『というか核爆弾どころじゃないですよ、地球を滅ぼす兵器ですよ・・・・スウさん・・・危険人物真っ盛りですよ』
『真っしぐらな』
私は、〈アイアン・ノヴァ〉の設計図を、くまなく眺める。
「予想通り、かなり単純だ――〈アイアン・ノヴァ〉はウラン型核爆弾に構造が近い――制御をしないで爆発を起こすだけの単純な物。光崩壊エンジンが外付けさえできれば、作れる」
そして光崩壊エンジンは、ケンタウロス・アレイオンについている。
「光崩壊エンジンを臨界にして、そのエネルギーを左右から放ち、中央の鉄に集約する。それだけでいい」
私は、フェアリーテイルの外に出て、
『スウさん、なにしてるんですか、船外活動は怖いから止めてください!』
「黒体がいるんだ。だからフェアリーテイルから剥がし――」
すると、リッカだ。
『まて、スウ!! フェアリーテイルから剥がすな!! ――ムシャリッカ・ゼロから剥がせ!!』
「い、良いの?」
『良いも悪いも、早くしろ!』
「うん!」
私は、ムシャリッカ・ゼロの銀色の装甲を〖超怪力〗&〖念動力〗で剥がす。
「じゃあ、2人は逃げて、これからマジの超新星爆発が起こるから、亜光速航行で、早目に銀河連合に戻って。私も後で戻るから」
『〈アイアン・ノヴァ〉を放つだけで済まないんですか』
『マジの超新星爆発が起きるのかよ・・・スウは大丈夫なのか?』
「大丈夫、ちゃんと考えてるから」
『ほ、本当ですね?』
『死ぬなよ?』
「うん、大丈夫」
『ん・・・スウ、ダーリンが言うには時間と空間のズレが酷くて転移ができないらしい。注意しろよ。転移脱出ができないらしいからな・・・・この空間だと通常脱出したらどうなるか分からないぞ』
「わかった、大丈夫だよ」
ほんとに大丈夫、ゲートに入ってしまえば超新星爆発だって届かない。
決死の覚悟のフラグとかじゃない。
リッカとアリスはアルクビエレ・ドライブで戻っていった。
『またあの大量の敵の中を抜けるのかぁ』
『勘弁してほしいですねぇ』




