687 香ります
「射程内!」
私はアンティキティラを攻撃。3点を同時に攻撃しないと駄目なんだっけ?
どんどん弾丸や黒体放射を叩き込んでいくけど、アンティキティラが動き回って面倒だなぁ。
なら――私は〈粒子加速・ヨーヨー〉を取り出し、アンティキティラにくっつけた。
「最強のドッグファイトの回答! これなら後ろに付きさえすれば、追い越す心配も、振り切られる心配もない! 〈粒子加速・ヨーヨー〉を剥がされたりしない限り!」
アリスと音子さんの「ないわー」という声。
『えええー』
『なんやそれ、ドッグファイトをメインにした戦いをぶっ壊す気か!?』
あとはロケット噴射を止めて、慣性さえ制御すれば、ずっとアンティキティラの後ろに付いていられる。牽引状態だ。
『でも、あれ良いですね。わたしも〈粒子加速・ヨーヨー〉を買いましょうか。あれがあれば接近戦に持ち込めそうです』
「あ、これ不買品。私が、自分で作ったから」
『え・・・・、作・・・った?』
『マ、マジか』
『そういえば、あの人、物を作る方向でもチーターでした』
「アリスは〈凶暴なる技巧〉があるじゃん」
『あっ、そっか。〈凶暴なる技巧〉か〈理合の境界〉で掴んで巻き上げて近づけばいいんですね! ――リッカ!』
『応! 〈理合の境界〉!!』
リッカが、アンティキティラを掴む為に腕を飛ばす。
『――って、まてスウ! これ弾幕はどうするんだ! 近づくほど濃くなるぞ!』
「躱す・・・」
『躱せるか、こんなもん!! ――掴んでも、鎖が千切れるわ!』
あれぇ・・・?
まあ確かに、ワイヤーとかを維持するのは大変かも。
私はとにかくアンティキティラを撃ちまくる。
よし、第2段階が来た。
円形の時計みたいなのが2つ、波紋から出てくる。
だけど、なんか様子がおかしい。
時計の針が逆周りしだして・・・・、どっかに飛んでいく。
「なんで、前みたいにアンティキティラの周りを回らないの? ――いや、残骸が邪魔で回るスペースの無い場所とかあるけどさ」
逃げた時計みたいなのが、残骸に隠れながら弾幕を放ってきた。
「なんて面倒なことするんだ!!」
弾幕が前やら、斜め下やら、斜め上やら、色んな方向から飛んできて、予測しにくい!
しかも私が時計を狙撃しようとすると、またコロニーの残骸に隠れる!
するとアリスが前に出た。
『時計は、わたしとリッカに任せてください! 散!!』
篇世機が分離した。
『応! スウと音子は、アンティキティラの本体を!』
「わかった!」
『了解やで』
アリスとリッカが合体解除して、手分けして時計に飛んでいった。だけど、
『くっ、こいつも逃げます!!』
『早いぞ!!』
そう簡単にはいかないか・・・・でも、あっちは2人に任せよう。
私がアンティキティラを撃っていると、なんか看板が飛んできた。コロニーの残骸らしい。
す◯家の看板だ。数千年後にも、す◯家はあったんだ?
ちなみにす◯家は、神奈川発祥。不◯家も。
とりあえず躱して、ん?
「なにあのタンク、黒いの吐いてるけど、石油とかだったら爆発しそうでヤだな」
『醤油工場のタンクのようです』
「しょ、醤油!? 数千年後にも醤油あるの!?」
いや、牛丼があるなら、あるか。
さっき味噌を食べたばっかだし。
『味噌や醤油はタンパク質さえあれば作れるので、食材が限られた時代、非常に人気の調味料でした。タンパク質の食料カートリッジを発酵させて作られる味噌や醤油は、家庭でもできる調味料として人気で――』
「食料カートリッジから味噌や醤油作ってたの!?」
う、宇宙の食糧事情は大変だなぁ・・・。
私は〈黒体放射バルカン〉一発でタンクを蒸発させた。
匂わないけど、匂ったら香ばしい香りが充満したことだろう。
「そろそろか――」
私は〈粒子加速・ヨーヨー〉を巻き上げる。
密度を増していく弾幕を躱しながら〈励起剣〉を取り出して、一閃――しようとしたら。
『スウ、待ちぃな! まだ第3段階にしたらアカン!!』
私が止まると、アリスとリッカのビックリしたような声。
『えっ、スウさん、もうアンティキティラを追い詰めたんですか!?』
『まて! これ以上弾幕を増やすな!! 〈発狂〉みたいに弾幕を放たられたら、わたし達は対応できないぞ!』
「あ、そっか」
私は〈励起剣〉を仕舞って逆噴射。
アンティキティラから距離を取って弾幕を薄くする。
そうしてただひたすら弾幕を躱す。
『てかスウ、近いなぁ・・・・アンティキティラにそんなに近づいて、なんで平然と弾幕躱しとるんや・・・』
『あれは人類じゃないから、モノノケだから』
お黙り。




