仇敵
メイリィ「猫耳しっぽ萌えには・・・っ、勝てないっ!!!」
「始まると案外、呆気なかったわね」
本作のヒロイン曰く・裏ボス・ソシにゃんこと、
天下の竜帝陛下の第4妃・ソシエは、
制圧されたカロン城の中にいた。
「これがかつての大国だなんて」
「もう、過去の話だ」
感情のない表情で、竜帝が答える。
専用の御座を用意され、そこに腰を下ろす。
「そうね」
一方でソシエは騎士の格好をしており、
竜帝の傍らで壁に寄りかかって立っている。
「王族は、全て捕えた」
「どうするの?」
「全てここで処刑する。捕らえたカロン王はここへ」
その言葉に、部下たちが答え、早速カロン王を引きずって来る。
「竜帝陛下っ!これは完全なる属国への侵略行為ですぞっ!
あなたは一体、何をお考えかっ!!」
竜帝よりもひと回りも年上だと思われる初老の男性が、
鎖に囚われ、引きずられて来た。
その周りを、竜族の騎士たちが剣を突き付けて固める。
「これであんな若い王女がいるのね」
「あぁ・・・昔から変わっていないらしい」
ソシエの言葉に、竜帝がため息をつく。
「余は、陛下のお父君の時代から、
竜帝国の属国として忠誠を捧げて、
先代の時代には、妃も献上したと言うのに・・・!
陛下は我が国を冷遇し、更には一方的に侵略し、
そして無理矢理ねじ伏せるとは・・・
このような一方的な侵略行為が、許されるとお思いで!?
陛下は竜帝国の輝かしい歴史に、汚点を加えたのですぞ!」
「貴様に口を開く許可は与えていないが」
「・・・よ・・・余は・・・」
「うるさい」
「んな・・・っ!やはり・・・陛下は・・・いえ、
あなたは竜帝国の竜皇族に、相応しくない!
あの輝かしい黄櫨の角も持ちえない・・・
聞けば、先日あなたが処刑されたという・・・
ルキ殿がやはり、正統な竜帝の継承者だったのではないか!」
その言葉に、竜族の騎士たちが鋭い双眸を送るが、
彼らは竜帝の許可なく口を開くほど、短絡的ではなかった。
「・・・貴様は、私が即位したその時から、
そのような言葉を投げ、ルキを苦しめた」
「な・・・何を・・・あなたは先代竜帝陛下や
竜皇族の方々を惨殺し、
不当に竜帝の座を簒奪した・・・っ!!」
「それを貴様が言うか?」
竜帝は、酷く冷酷な微笑を浮かべ、
目の前に囚われた初老の男は息を呑む。
「貴様の罪状を言おう」
「世間で話題の・・・我が娘を冤罪で捕らえたという・・・
あの根も葉もない罪状で・・・か・・・ふっ、バカバカしい」
「貴様は本当に・・・愚鈍だな」
「な・・・何だと!?」
つい、身を乗り出そうとする初老の男だったが、
騎士が喉元に剣を突き付け、押し黙る。
「貴様の罪は・・・小国を不当に侵略し、殺戮・略奪行為を繰り返し、
あまつさえ竜帝国に取り入り、そして竜皇族を亡きものにし、
帝国を乗っ取ろうとした罪だ」
「な・・・そんなこと・・・むしろ、それを目論み、
まんまと竜帝の座におさまったのは、貴様ではないか!」
「竜帝は私であり、その座に相応しいのも、私だ」
「それでもまだ言うか・・・っ!」
ガチャリ。再び騎士たちが喉元に剣を突き付け、
苦虫を噛み潰したような顔で、初老の男は竜帝を睨んだ。
「貴様・・・私の顔に見覚えはないのか?」
「何を・・・っ」
「そうか・・・所詮はそのような認識か・・・
私の母は、流れるような濃い藍色の髪に、
まるで竜のような金色の瞳を持っていた」
「はぁ・・・?」
「私はさぞ、母に似ているらしい。
あの、愚鈍な先代に似なかったのは、せめてもの救いだが」
「ツェイロン王国にある国境の山・・・竜眼山・・・
その向こうには、ツェイロン王国の姉妹国・・・
大きな街一つ分ほどの公国があった・・・
とある目的のため、お前はその公国を治める公王一族を惨殺し、
とある鱗を受け継ぐ姫を攫い、侵して娘を産ませた。
そしてその娘を・・・好色で有名であった先代竜帝に嫁がせた、
彼女の死後、その体からとれる、とある毒を使い、
竜皇族を滅ぼすため、彼女の死後、その毒を使い、
手を下す役目を持った侍女とともにな・・・」
「んな・・・っ、何故、それを・・・っ。あ、いや・・・」
そこまで言いかけて失言に気が付いたのか、
初老の男は口を閉ざす。
「その事実が明るみに出て、ツェイロン王国は当然抗議したが、
当時は属国を顧みず、好色にふけった先代竜帝は、
それを無視したことをいいことに、
カロンは、その後も抗議を続けるツェイロン王国を攻めようとした」
「・・・っ」
「だが、ちょうど私が先代竜帝と腐った竜皇族どもを根絶やしにし、
新たな竜帝の地位についた。
ツェイロン王国王太子からの直訴を受け、
我が竜帝国は、カロンを牽制し、以降は大人しくしていたが・・・
油断したのか、貴様の娘がボロをだした」
「んな・・・っ!言いがかりだ!そんなもの、証拠にはならん!」
「それを直接の証拠にする気はない」
「では・・・っ!」
「だが、貴様のやったことに対する証人なら、いる」
「ば、ばかな・・・そんなもの、どこに・・・」
「今、お前の目の前にいるだろう?」
「え・・・」
「銀龍が半身との間の子に残した、まばゆい銀色の鱗。
それを再び黒く腐食させ、血毒に変えた罪は重い。
私の中に眠る、銀龍の血が、逆上し、怒り狂うくらいにはな・・・」
「ぎ・・・ぎん・・・りゅう・・・?
や、やはり貴様は、神龍の子孫ではなく、
あの忌々しい腐食竜・銀龍の血を引く、
竜皇族を語った偽物ではないかぁっ!!!」
「そんなことは言っていない。貴様が惨殺し、
その末裔は、たったひとりしか生き残らなかった。
そのたったひとりの娘をお前はどこへやった?」
「え・・・」
その時、初老の男の顔色が変わった。
「私の母には名がなかった。しいて言えば、第24妃。
私の名も同じくなかった。与えられた名は第17皇子。
そう言っても・・・お前にはわからないだろうな。
この・・・髪色と瞳に、見覚えはないか?」
「ま・・・まさかとは・・・思うが・・・」
初めて初老の男は、その美しすぎる顔立ちを見て、
一気に顔の血の気が引く。
「種族が違えば、本当に・・・別人に見えるようだ」
「まぁ、私と息子も、よくそう思われるわね。色は同じだけど」
と、ソシエ。
「さて、わかったか?
これは、我が半身によって本来の色を取り戻した
白銀の鱗を腐らせ、その血を毒に変え、
そして、母を苦しめ、祖母を穢し、
かつてのツェイロン王から与えられた
公領を簒奪した罪は・・・重いぞ・・・?」
そこまで言うと、竜帝は立ち上がり、
次の瞬間には、両手にすべてが白銀に輝く双刀を握っていた。
「お・・・お前は・・・まさか・・・あの女の・・・銀龍の・・・っ!」
「あと、もうひとつ」
「な・・・なんだ・・・」
「侵略した国の姫を、家族や国民を人質に脅し、
影ではその家族、国民もろとも殺しつくし、
姫を利用するだけ利用し、第24妃の侍女として、
その血毒を利用し、竜皇族を滅ぼすために同行させた罪」
「何故・・・お前が・・・それを」
「それが、私とルキの復讐だ」
「んな・・・まさか・・・あの、男は・・・」
「やっと、仇が討てる・・・」
「ま・・・待ってくれ!と、取引を・・・っ!
余がお前の後見人になろう!正しい竜帝であると、
証言してやろう!な?
大国であるカロン王の余の後見があれば、
お前に不満をもつ竜族どもも、属国も納得するだろう?」
「貴様の後見など・・・いるかっ!お前のような男はいらない。
祖母を辱め、母を殺した貴様が言うことか!」
「・・・ひっ」
竜帝のみたこともない鬼の形相に、初老の男は息を呑む。
「心配するな・・・お前の親類縁者、臣下どもも、
共に冥府に送ってやろう。地獄で、その罪を共に贖うがいい」
「や・・・やめてく・・・っ」
初老の男の全てを、竜帝は聞くことはなかった。
銀色の刃が、一瞬にして初老の男の首を、撥ね飛ばす。
「さて、残りの処刑だ」
『はっ、竜帝陛下』
竜族の騎士たちが騎士の礼をとり、竜帝に続いた。
それを後ろから見守り、もう動くことのない男の首を見降ろし呟く女性がいた。
「本当に・・・種族が違うだけで・・・気が付かないものね・・・」
ミフェイ「その・・・狐耳しっぽ萌えは・・・いかが?」
メイリィ「ぐはっ!!」




