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裏ボス降臨にゃん


「・・・竜帝陛下・・・?」


カロンの王女さまは、目を見開いて、驚愕しておられました。

恐らく、陛下がいたことに、一番・・・だって・・・


「あのっ!お初にお目にかかります!」

いや、ナンパしたくせに何言ってんだ。


「私はカロンの第1王女でエカチェリーナと申します!

本日は、私の運命のお相手・・・いえ、つがいである

ディランさまに会いに参りましたの!

間近でお会いしてひと目でわかりましたわ!ディランさまは・・・っ」

目をキラキラさせながら語るこの方は・・・

先ほどの竜帝陛下の言葉をお聞きになっていれば・・・

おいそれと口にできませんよねぇ・・・


「黙れ・・・シャクヤが与えた名を呼ぶな」

竜帝陛下から、何かディルと似たような、

やばめの何かを感じたのですが・・・


「・・・ひっ」

エカチェリーナ王女は、一瞬にして凍り付きました。

竜帝陛下のお顔には、先ほどの張り付いた笑みは一ミリたりともありません。

シャクヤ・・・とは、私の父さまの名です。

父さまが・・・ディルの名付け親だったとは、初耳ですが。


しかし・・・このような竜帝陛下は初めて見ました・・・


酷く怒りに満ちているような・・・


「ひ・・・りゅ・・・竜帝陛下・・・

わ、私は、ディランさま・・・の、」


「喉を掻っ切れば理解するのか」

竜帝陛下の両手には、いつの間にか銀色の双刀が握られています。

さっきまで、あんなものは・・・それに、鞘も見当たらない・・・

まるで、金鱗きんりんのようだと思いました。


「いいえ、もっといい手がありますわ」

その時、まさかの救世主が現れました。


レザーカバーの書物をぱたんと閉じて、

尋常ならざる怒気を放つ竜帝陛下のお隣に、

平然と、凛としてたたずむむ・・・

最強の猫耳しっぽを持つ・・・第4妃・ソシエさまでした。


「むしろ、もっと吐いていただきましょう?」

何か、恐ろしい身震いを感じ、ぎゅっとディルに抱き着いたとです。

何だか、竜帝陛下よりも恐いです。


・・・あ、そうだった。この方は・・・裏ボス・ソシにゃんそのひとなのです。

そりゃぁ・・・神ボス・竜帝陛下以上であってもおかしくありません。


「大丈夫よ。ディランさまの名前だけ言えないよう、

調教・・・いえ、魔法をかければいいから」

あの・・・ソシエさま、今、調教って言いましたか?

言いましたよね・・・?確実に・・・っ!!


「な・・・何よ・・・獣人族の妃ごときが・・・でばっちゃって!」


「悪いけど、あなたは義理の娘にはしたくないの。

もう、私の義理も娘になる子たちは決まっているから」

そう、笑顔でソシエさまが言うと、

エカチェリーナさまはくわっと顔をこわばらせます。


「誰がアンタの義理の娘になるものですか!」

いや、ソシエさまが竜帝妃だから・・・なのですが・・・

ソシエさまが獣人族だからって、なめてるんですかね?

なめたらいけないんですよ?猫耳しっぽ萌えだぞ、コラ。


「近衛騎士隊、この罪人及び、カロンからの客人を、

使用人も合わせて、残さず捕えなさい」

そう、ソシエさまが告げると、近衛騎士隊たちが集まって来て、

王女さまやその取り巻き立を一斉に取り押さえます。


「んな・・・っ!何をするの!?私は・・・国賓よ!?」


「あなた、たった今、自白したじゃない」


「え・・・私は、何も・・・」


「何で・・・ツェイロンから来た、竜帝陛下の妃が、

“邪竜の血毒”で“殺された”って、知っているの?

それを知っているのは、関係者と・・・首謀者だけよね?」


「は・・・?何を・・・私、何もしてない!首謀者って何!?」


「自白魔法を使って、徹底的に吐かせて。

なお、ディランさまの名前は2度と口にできぬよう、制限をかけて」


『はっ!!』

近衛騎士隊が、キーキーわめく王女さま方を、連行していきました。


そう言えば・・・こんな場で、その事実がおおやけになった以上、

叔母さまの非業の死は、“殺された”のだと、大々的に広まるでしょう。

確か、事実を知る前のディルは・・・

叔母さまは“自害された”と、仰っていましたもの・・・

引っかかっていたのは、ここだったのですね。

恐らく、ミフェイ姉さんが指摘しようとしたのも、そこのようです。


「さて」


近衛騎士隊の連行作業が終わると、くるりとソシエさまがこちらを振り向きました。

うおぉっ!くるっとターンまで・・・完全なる猫耳しっぽ萌えです!

一生付いていきます!ソシエさま!


「アーシャ」


それは、ソシエさまとユリアナさまが

酔っぱらい状態以外で、

竜帝陛下を呼ばれる名でした。


「ねぇ、アーシャ。今回ばかりは、

私はあなたの考えに賛成するし、応援する。

それは、ユリアナも同じよ。

私たちはあなたの半身にも、その代わりにもなれないけど・・・

アーシャの伴侶だもの」


「・・・」

ソシエさまを見つめる竜帝陛下の表情は、

相変わらず無表情でしたが、

先ほどの恐ろしいほどの怒気は、どこかに消えていました。


はて・・・竜帝陛下のお考えとは・・・いかに・・・?



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