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【完結】くじ引きで竜帝国の皇太子妃に選ばれてしまった  作者: 夕凪 瓊紗.com
第8章 竜帝国の属国編

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波乱の予感

誤記修正しました<(_ _)>



さて、アレン義兄さまがユーリィ姉さまを堪能したところで、

私たちは再びパーティー会場に戻りました。


ディルに是非、とお願いして、アレン義兄さまとユーリィ姉さまも、

私たちの近くに席をとってもらい、

ミフェイさまとルディくんも含めて、しばし歓談となりました。


「そうだ・・・メイリィ・・・ひとつ言い忘れてたんだけど」


「どうしました?ユーリィ姉さま」


「あのね、さっき・・・ランディアとソレイシアの妃問題のこと、話したでしょ?」


「え・・・えぇ」


「それね、それのことで、同じ属国のカロン王国が不満に思っているらしくって」

と、ユーリィ姉さまが小声で教えてくださいます。


「それは・・・初めて聞きました」


「・・・あまり知られていないけど・・・

うちから妃を出したのが・・・2代続けて・・・なのよ」

確かに・・・竜帝陛下にはかつて私の叔母さまが嫁いで・・・

私もですからね。


「先代竜帝陛下にはカロンも妃を出していたそうだけど・・・当代は出していないでしょう?」


「えぇ、まぁ」


「だから、ウチを贔屓ひいきしてるって・・・」

そう言うわけじゃ・・・無いと思うのですが・・・


「それに・・・ウチの父さま、何故か仲良しでしょ?」

まぁ、確かに竜帝陛下はよく父さまに怒られて泣かされるらしいです。

ユリッぺとソシにゃんにも泣かされてますけどね。


「だから・・・気を付けて。接触してくるかもしれない」


「わ・・・わかりました」

ごくり・・・何だか波乱の予感がします。


「その件なら、問題ない」

後ろからディルの声がしました。


「あら、しっかり私の妹を守ってくださるのね」


「もちろんだ・・・ここは・・・父から受け継いだ正式な作法がある」

何でしょう、正式な作法って。


とみんなでわっきゃわっきゃやっていたら、

レオくんとアナが困った顔をしてこちらにやってきました。


「どうした」

すかさずディルが前に出ます。


「兄上、どうも、カロンの王家の姫が、兄上に直接挨拶をしたい・・・と」

き・・・来たっ!

さすがにそれは・・・ルゼくんとレオくんにも追い払えないですよね。

まぁ、挨拶は後程取り次ぐ形式で、彼らうまくさばいて、

実際はていよく追い払っているのですが・・・


「わかった・・・伺おう」


「あの・・・ディル」


「心配ない」

ディルが早速向かいます。

私たちは、緊張した面持ちでそれを見守ります。


―――


「あぁっ!お会いしとうございましたっ!ディランさまっ!!」


「・・・」

いきなりのダイナミックアピールに、ディルのイケメン筋がぴくぴくしています。


実を言うと、私の祖国ツェイロンは、

竜帝国派歴は長いですが、カロンに比べれば小国です。

対するカロンは、国としての歴史は長いのですが、

かつてカロン王国領に合ったル・ガリア王国と

ツェイロン王国の姉妹公国を攻め滅ぼし、大きくなった大国です。


そんな大国が何故、竜帝国にくみしているかと言えば、

昔、ル・ガリア公国をその手に治めたものの、

ツェイロン王国とも領土が近い、魔帝国や

その他、カロン王国に面する他の高位種族の国に

攻められる寸前までいったため、

いけしゃあしゃあと竜帝国に泣きつき、

先々代の竜帝が、竜帝国の属国に下ることを許可しました。


しかし、先代竜帝の時代、ツェイロン王国の姉妹公国を攻め滅ぼしたそうです。

残念ながら、ツェイロン王国の姉妹公国は、

竜帝国の属国ではありませんでした。

かの公国は神龍ではない銀龍を崇めていたと言います。

今でもツェイロン王国には、その国祖・銀龍さまに嫁いだという、

ツェイロン王国のお姫さまの昔話が残っていて・・・


(あれ・・・銀龍・・・?

そう言えば・・・竜帝陛下も・・・銀龍・・・?

これって偶然・・・?

いえ・・・確か公国が滅びた時に、

大公一族は、全員亡くなられたと聞いていますが・・・

これは偶然でしょうか・・・?

ともかく、竜帝国はそのことを理由に、

ツェイロン王国やその姉妹公国を責めることはありませんでしたし、

神龍からも一目置かれていたと言われております。)


その後、当然のことながらウチが再三にわたって抗議したにも関わらず、

先代竜帝は相手にせず、

更にはカロン王国はツェイロン王国にまで攻めいろうとしました。


そんな折、先代竜帝が崩御され、今の竜帝陛下が帝位につき、

そしてカロン王国を牽制してくださったのです。

2度とツェイロンを侵略しないと言う条件で、カロンを赦しました。

その他にも様々な制裁が科されたと言います。


だから、竜帝陛下はウチにとっては恩人のようなお方。

祖国では、竜帝陛下はイケメンだし、ウチの父さまと仲いいし、

結構ファンが多いのです。


(・・・なのに、ウチの父さまが竜帝陛下を泣かせて

私が嫁ぐときに三徹した挙句、

くじ引き大会を催した件は本当に謎ですが・・・)


だからって、2代続けて妃が輩出されることを

根に持たれても、困りますよね。

勝手に侵略して、姉妹公国を滅ぼした挙句、

攻めいろうとして来たんですよ?

それも、その後制裁を科されて。

よくもいけしゃあしゃあとでばって来られるものです。

同じ属国内の獣人族の王国同士のやり取りを参考にされたのでしょうか?

それにしても、昔から属国だった同じ獣人族の王国と

同等の扱いを求められても困りますよね?


ということで、ツェイロン王国民は基本的に、

カロン王国を良く思ってはおりません。


「本日は、お日柄もよく・・・」

お姫さまはつらつらと言葉を続け、

ディルは能面でずっと聞いています。

だって、お姫さまがずっとしゃべっているんだもの。


隣のルゼくんが、闇のオーラ放ってるのに、

お構いなしですし・・・


「随分と賑やかね」

そこにやってきた人物に、私たちは驚きました。


「・・・!ソシエさま、陛下!」

それは、最強の猫耳しっぽを持つソシエさまと、竜帝陛下でした。

この前の夜会の時は、ずっとお席に座って、

口元に笑みだけ貼り付けていらっしゃった竜帝陛下でしたが、

今回はこちらにも・・・


あれ・・・ソシエさま、何を持っているんだろう・・・

黒い・・・レザーカバーの・・・ファイル?

中には紙がじてあります。

王族貴族名鑑か何かかな。


「あれ、カロンの王女さまだっけ」


「えぇ、そうらしいですよ、ソシエさま」


「相変わらずねぇ。あの子、この前ウチの陛下にナンパしてた子のひとりね」

え・・・えぇ―――・・・・

例の、ディルと竜帝陛下を間違って、

声を掛けてきたと言う・・・おイタイご令嬢たちのひとり!?

その時はご令嬢・・・とだけ聞きましたが、

さすがに“王女”とははっきり言われなかったので・・・

まぁ、言っちゃったらかなりの醜聞スキャンダルですものね。

竜帝陛下も口を濁されたのでしょう。


「ちょっと物陰から、ディランさまの婚約者の様子とか、

素質ありそうな子とか見てきなさいよ、って、

ひとりでお使いに出したんだけど・・・失敗だったわね」

それ、ソシエさまの計略っすか――――っ!!!

・・・ってか・・・お使いってマジっすか。

お使いの扱いなんですか?


竜帝陛下は・・・相変わらずディルそっくりのイケメン顔で、

うっとりするようなにこやかな笑みを浮かべて・・・

あれ・・・時折ソシエさまの方をちらちら見ている竜帝陛下。

夫婦としてラブラブと言うオチならともかく・・・

それにソシエさまがペンを持って、

手に持ったレザーカバーの書物をツンツンと叩いてますね。


こそっ!ちょっと見てみましょう。


“笑顔!!”

と、書かれていたとです・・・


それ・・・まさか噂の台本じゃないですよね?

やっぱりソシエさま・・・いえ、ソシにゃんこそ・・・裏ボスですかね?

隣にいたアナとレオくんを見やると、何故か頷かれました。

どうやら、ふたりも同じことを思ったようです。


「・・・あぁ・・・っ!ディランさまこそ運命のお方っ!!」

そんな大声が聞こえてきました。

そして、ディルに大きく手を広げ・・・

即座にルゼくんが護衛の体制に入り、

その間を遮りますが、お姫さまはルゼくんをキッと睨みます。


「あれ、陛下にも言ってたわよね」


「・・・あぁ」

と、短く、麗しい笑みで頷かれる竜帝陛下。

その笑みが、何だか恐いと感じたのは・・・

後ろを振り返ると、満場一致のようでした。



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