ランディアの王太子夫妻
誤字修正しました<(_ _)>
―――はい、パーティー当日
展開・・・早ぇな、オイ。
まぁ、そこは大目に見てくださいな。
その間にあったことは、いつものあのノリだと思っておいてください。
では早速、各々入場し、竜帝陛下とソシエさまに挨拶をして、
竜帝陛下と同じく高檀の皇族用スペースに腰掛けます。
今日は婚約者パーティー全員集合で、
第4皇子のカイくんだけひとりだとかわいそうだということで、
私たちの席に混ざっています。
カイくんはまだ、婚約者はいません。
だから遠戚のご令嬢と入場しました。
はて・・・そのご令嬢は・・・
「・・・ここに連れてくるのは嫌だもん。
てか、紹介されただけで婚約者でもなんでもないもん。俺はもっと・・・」
と言って、ミフェイ姉さんをちらりと見ます。
あぁ・・・大人のお姉さんがいい感じですか。
「ウチのシャンリィ姉さまとかいかがですか?まだ婚約者いませんよ」
「メイリィ姉上の・・・いや・・・待って・・・それって・・・」
もしかして、以前ウチのアルシャ姉さま(♂)に
失恋したのを機にしているのでしょうか。
「シャンリィ姉さまは正真正銘、女性ですよ、私のひとつ上ですが、
なかなかに大人っぽい見た目で、髪と瞳の色もアルシャ姉さまに似ていますよ」
「・・・本当に!?」
めっちゃ目が輝いているのですが・・・
「ただ・・・ひとつ条件がありまして」
「何!?教えて!?」
めちゃくちゃ必死ですね、カイくん。
「祖国に婿養子に来ていただく必要があります」
「え・・・婿養子・・・?メイリィ姉上の国って、王太子いるし、王太子妃もいるよね」
「えぇ。シャンリィ姉さまは王位を引き継ぐ予定はありません」
あったら私は嫁げません。
シャンリィ姉さまは産まれつき病弱で、
しょっちゅう吐血しますから。
馬車で竜帝国に向かうことすら、負担になるはずです。
道すがら、何度吐血することになるやら・・・
「病弱な方なので・・・基本、祖国から出られないのです」
むしろ・・・城から。
「儚げな・・・美女!!」
えぇ、まぁそうですが・・・
「大丈夫っ!俺、治癒魔法は得意だよっ!!」
それは初耳です。
「では、お婿さん候補にはうってつけですね」
「うんっ!!」
本人が乗り気なので・・・
「てことでディル、紹介してもいいですか?」
「兄上!」
「メイリィが構わないのなら・・・いいが。まぁ、ルゥも乗り気だしな」
因みに、ディルはカイくんを謎の愛称で“ルゥ”と呼びます。
「じゃぁ、一度カイくんを連れて里帰りをしなくては」
「えっ!?」
ディルが血相を変えます。
「結婚するまでは・・・ダメだ!」
そう言えば、前にもそんなこと言ってましたね。
「でも、まだ婚約してそんなに経っていないですし」
さすがにすぐは無理なのでは?
「竜帝国にそのような決まりはない」
え・・・?ないの・・・?
「まぁ、妃に選ばれてそのまま婚約期間無しで嫁ぐこともあるから。
今回は、レアなケースなのよ。私たち、婚約者に選ばれてそこどまりだし」
と、アナ。
「そうですよ。てか、私の前に、アナたちはどうするんです?」
「メイリィの後でいい。俺の正妃はメイリィだ。以前にも、そう伝えた」
「いえ・・・ですけど、いや・・・そう言うのは・・・」
私たち婚約者パーティーの絆にヒビが入ったらどうしてくれるんですかぁ。
「そうね、一番はメイリィよね」
「婚礼衣装は一緒に選ぼうね」
「楽しみだわ~」
ちょと―――、ほかの3人、何か乗り気なんですけど―――???
「みんな納得している。だから・・・近々準備ができたら結婚しようか」
え・・・何かこんな場でフツーに結婚準備が進んでいるんですが・・・
と、その時、私たちのところにお客さまが・・・
いや、さっきからちらほらとは来ていたのですが・・・
ルゼくんとレオくんが交通整理の如く裁いていたので、
あんまり寄ってこなかったんですよね。
因みに、レオくんに寄ってくるピンク髪の痛い子ちゃんたちは、
アナのひと睨みで瞬逃しましたので安心してください。
本当に・・・ウチのシンシャ兄さまも
金髪にエメグリの瞳で、レオくんも金髪碧眼で、
色はちょっと似ているんですよね。
種族とか細かい顔の特徴は置いておいて、
美形だし、肌白いし、・・・どっちも下僕だし・・・
レオくんももしかして、シンシャ兄さまが苛まれているように、
ピンク髪に狙われる何かを持っているのでしょうか。
しかも、追い払っているご主人さまはどちらも赤髪。
嫌に共通点が多いですね。
そんな中・・・
「お久しぶりです、皇太子殿下、メイリィ姫」
「ご無沙汰しております、皇太子殿下、そしてメイリィ」
私たちに挨拶に来てくれたのは・・・
「アレン義兄さま、ユーリィ姉さま!」
まず、ユーリィ姉さまからですね。
ユーリィ姉さまは私の姉で、ツェイロン王家の長女です。
銀色のストレートロングヘア―にアメジスト色の瞳の美女。
因みに、私と一緒に女神さまの恩恵を賜っております。
既にランディアに嫁いでおり、
そのお隣にいらっしゃるのが、その夫のアレン義兄さま。
狐耳しっぽの獣人族で、ツェイロンの隣国・ランディアの王太子。
黒い髪に銀色のつり目を持っています。
お隣の国では、色の濃い毛並みと目が多いのですが、
アレン義兄さまの瞳は、異国の血が混じっており、
色素が薄く、キラキラとした光沢を放つ、銀色です。
ユーリィ姉さまの髪の色でもあるので、
つくづくお似合いなおふたりだなぁ、と思います。
「お久しぶりです、アレン殿、ユーリィ妃」
ディルも挨拶を返します。
「どうしてお2人が・・・」
って、王太子夫妻なので当然ですよね。
「ふふ、シンシャ兄さまと父さまたちがこの間抜け駆けしたので、
姉さまも是非に、と思ってねっ!!」
そう言う理由でしたか―――。
「因みに今回、シンシャ兄さまと父さまたちは、
宰相閣下からの許可が下りなかったわ。
ツェイロンからも客人はきていると思うけど」
まぁ、人族もちらほらいますしね。
ウチの国か・・・他の人族の属国に縁故のある方々なのでしょう。
そうだ、みんなにも紹介しないと・・・
「あ、えっと、こちら、ウチの一番上の姉さまで、ユーリィ姉さまです。
お隣はその夫で、ランディアの王太子であるアレン義兄さまです」
と、紹介すると・・・
「王太子殿下・・・」
ミフェイ姉さんが驚いたような表情をして・・・
・・・はっ!!
そう言えば、ミフェイ姉さんは・・・
ランディアの先代王陛下の・・・ご落胤!!
なんでも、当代王室とは、あまり仲がよろしくないイメージなのです。
「ひょっとして、あなたがミフェイさまですか?」
と、アレン義兄さまがミフェイ姉さんに話しかけると、
ミフェイ姉さんの表情がこわばり、
同伴している弟のルディくんも微妙な表情を浮かべます。
「ちょっと、アレン義兄さま!」
「えっと・・・メイリィ?」
「ミフェイ姉さんは私たちの大事な仲間です!
ミフェイ姉さんに手出しはさせませんよっ!」
「そ、そうだ!ミフェイ・・・姉上・・・は、俺が守る!」
と、カイくんも立ち上がります。
おぉ・・・っ!この気概・・・漢気・・・
きっとシャンリィ姉さまに紹介しても恥ずかしくない義弟ですね。
「えっと・・・」
アレン義兄さまは不意打ちを打たれたように固まっています。
そして、ユーリィ姉さまがぷぷっと吹き出しました。
・・・はぇ?ユーリィ姉さま・・・?
「メイリィ、別に私は手を出そうとはしていない」
「・・・」
私はアレン義兄さまの目を、静かに見上げます。
確かに・・・このひとはある種の変態性癖を持っていますが・・・
「大丈夫よ、メイリィ。
メイリィの大切な仲間を傷つけるようなアレンじゃないから」
と、ユーリィ姉さまが微笑みます。
「今回は、父上からミフェイさまへの伝言を預かってきたんだ」
「伝言・・・ですか?」
「少々お話させていただいても、よろしいだろうか」
「・・・まぁ・・・私に断る権利はないですが」
「では」
アレン義兄さまは、ユーリィ姉さまとご一緒に、
ミフェイ姉さんのところへ向かいます。
ルディくんと、大人のお姉さんに憧れるカイくんは思いっきり睨んでおります。
「ミフェイ姫」
「はい、王太子殿下」
「父より、ランディアで力になれなかったことを、
心から謝罪するとともに、此度の皇太子殿下との婚約を、
心から歓迎する、と、言付かっております」
「・・・そう、ですか」
「・・・っ」
その言葉に、ルディくんが耐えきれずに立ち上がろうとしますが、
隣に座っていたシアが慌てて止めてくれます。
「あなたからすれば、ランディアの王族の顔は、
もう見たくないでしょう、これにて、退散させていただきます」
「はい・・・陛下には・・・お気遣いいただきありがとうございます、
とだけお伝えください」
ミフェイ姉さんは、感情の無い言葉で、そう呟きました。
アレン義兄さまとユーリィ姉さまは、
他の挨拶回りに向かわれて行きました。
「あ、あの・・・ミフェイ姉さん・・・
私も先ほどは感情的になってしまって・・・ごめんなさい」
ミフェイ姉さんの気持ちを聞いていなかったのです。
「いえ・・・ありがとう、メイリィ」
「そんな・・・っ」
「・・・確かに、私とランディア王家との関係は・・・
良いものでは・・・ないから」
ランディア王家の姫として嫁いだのに、
その王家に歓迎されなかった・・・
言葉だけの謝罪と祝辞なんて・・・
欲しくはないですよね・・・
「だ、だけど・・・私もさっきは・・・
アレン義兄さまには言いすぎましたが・・・
アレン義兄さまは・・・その、
ミフェイ姉さんの敵になるような方では・・・ないです」
「あんなにはっきりと、ものを言える関係なのね」
「恥ずかしながら・・・ユーリィ姉さまとも仲良しですし、
よくお2人のところへ、遊びに行きましたから」
「そう・・・それで」
「あの・・・ミフェイさまさえよければ・・・
ランディア王家なしで、私の義兄として、
話してみませんか・・・?」
「・・・メイリィの・・・お義兄さまとして?」
「はい。ランディア王家との関係修復は・・・
難しいと思いますが、仮にランディア王家との間に何かあった時、
アレン義兄さまと良い関係を築ければ、
きっと間に入ってくれるはずですし、あれでも優秀なのですよ」
「・・・」
ミフェイ姉さんは、不安げにディルを見やります。
「ユーリィ妃のことは昔から知っている」
え・・・知っているんですか?ディル。
・・・そう言えば・・・昔はよくシンシャ兄さまにくっついて、
ユーリィ姉さまも竜帝国に行ったことがあるらしいのです。
「その夫で、メイリィがいい方だと言うのなら、
俺は心配していない」
と、ディル。
私のことを信頼してくれるのは、嬉しいですし、
ちょっと照れますね・・・。
「それじゃぁ・・・話してみても、いいかしら」
「はいっ!お任せくださいっ!多分、15分おきくらいに、
パーティー会場を抜けますので、その隙に声を掛けましょう!」
『・・・え?』
うん・・・わかってましたよ。皆さん、そう言う反応されますよね~。




