新たな事実
「・・・ミーナ、起きないね」
キーシャくんは、ミフェイさまの弟くん・ルディくんと共に、
ミフェイさまのベッドの脇で、見守っています。
「キーシャくん、この方は、ミーナさまではなくて、
ミフェイさまですよ?」
「・・・でも、ミーナだよ?」
「私と・・・キーシャくんのお母さまも、似ているのではないですか?」
「・・・!うん!お母さまとお姉ちゃんもそっくり!
じゃぁ、このお姉ちゃんもお母さまと、お姉ちゃんと同じ?」
「私は親戚ですが・・・ミフェイさまは、どうでしょう?」
「・・・ランディアの獣人族は・・・こういう見た目が多いので・・・」
と、ルディくんが呟きます。
「ミーナを見間違ったり、しないもん!」
「確かに、黒髪や黒目の方が多い気がしますが・・・
でも、大切なひとなら、わかります。
私の周りにもランディアにゆかりのある獣人族の侍女がいましたが、
子どもの頃から一緒だと、自ずと区別がつくものですよ?」
「・・・ごめんなさい」
ルディくんが俯いてしまいました。
「いえ、いいのです。ミフェイさまのことで何か気になっていることとか、
気が付いたことがあれば、どんどん教えてくださいね」
「ねぇ、思ったんだけど」
すっかりキーシャくんの保護者になりつつあるルゼくんが口を開きます。
「君たちの母親って、名前は?」
「ラーナです」
「・・・名前の響きは似てるね・・・姉妹とか、いたりしないの?」
確かに・・・私の姉たちも、私と似た響きの名前です。
「・・・聞いたことが、ありません」
「そこで・・・途切れちゃうわけか・・・
ひょっとして・・・身元がはっきりしなかったから、
ランディアはミフェイさまを微妙な立場に置くしかなかったんじゃない?」
「・・・それは・・・」
ルディくんが俯きます。
「・・・ねぇ、そのラーナさまは、どうして・・・
城で暮らさなかったんだろう・・・何か、聞いてない?」
「・・・あの、ルゼくん」
そこまでずばずば聞いては、かわいそうですよ・・・と、
止めようとしたのですが・・・
「・・・前に、城のひとが来た時、ちらっと・・・
母さんが、“逃げた”って言ってたのを、聞いた」
逃げた・・・?何故・・・
「あの・・・あなたたちはランディアで暮らしていたのですよね」
「・・・ツェイロンだよ」
え・・・?
「国境の街だったけど・・・俺と姉さんが、
母さんと、父さんと暮らしたのは、ツェイロン。
父さんは、ツェイロンの出身」
なんと・・・私の祖国に住んでいた・・・?
「じゃぁ・・・ミフェイさまのお母さまは・・・
わざわざ、国境を越えてまで、逃げてきた・・・
と言う・・・ことなのでしょうか・・・?」
「そうしなければならない何かがあったんだろうね・・・
ランディアの城のやつらなら、何か知っているかもしれないけど」
「ディルに、相談しましょう!」
私たちは早速、ディルを部屋に呼びました。
「・・・ディルはこの事実を、ご存じでしたか?」
「・・・出身がランディアで、母親が流れの踊り子だったことは知っている」
「その、再婚相手のことは」
「・・・一応、ミフェイの従者としてついて来る弟だ。
一応、素性はランディアに確認した。ランディア人で、
犯罪歴は特になし・・・平民で鍛冶職人だったと聞いている」
「・・・父さんは・・・鍛冶職人でしたが、ツェイロン人です!
間違いないです!戸籍も・・・俺の戸籍は、ツェイロンにあるはずです!」
「だが、ランディアに戸籍照会をかけたぞ」
「・・・それって、ランディアが偽装した・・・と言うことでは・・・?」
一体・・・何のために・・・
「確か、国境の街に住んでいたのですよね・・・
すぐに・・・すぐにツェイロンに問い合わせないと!」
「・・・待て、メイリィ・・・ツェイロンがその件に、絡んでいたら」
「父さまは、そんなことを許す方では・・・っ!」
「それは、わかっている・・・だから、俺に預けてほしい」
「・・・ディル・・・」
「その、ミーナと言う女性のことも含めて・・・俺が・・・」
「だ・・・ダメです!」
甲高い女性の声が響きました。
ミフェイさまが目を覚まし、起き上がっていました。
ルディくんが慌てて駆け寄りますが、
ミフェイさまは青ざめた顔をしながら、
必死に私たちを見ていました。
「それは・・・どう言うことだ」
「・・・、・・・っ」
ミフェイさまは口を開きかけ、また、閉じてしまわれました・・・
けれど・・・
「・・・お人払いを・・・お願いします」
「・・・わかった・・・この部屋には、俺とミフェイが残る。
みなは、隣の部屋に移ってくれ」
「はい、ディル」
「ミーナ・・・ミフェイは?」
と、キーシャくんがルゼくんを見上げます。
「兄上は、ミフェイさまと大事な話があるんだよ」
「・・・交尾するの!?」
ドテッ。
張り詰めた空気が、一気に霧散しましたとです。
「そ、そこら辺の情操教育は・・・向こうでしましょう」
「・・・うん」
ルゼくんも頷き、ルディくんも連れて、私たちは一旦、部屋を後にしました。




