もっふぃの楽園
―――???
んもっふぃ~~~♡♡♡
あぁ・・・至極のふわもふ心地・・・
私とルゼくんは、おっきなおっきな真っ白なもっふぃに連れられて
どこかへ運ばれました。
そして、私たちの傍らにもふっと座る
おっきなもっふぃの5本のふわっもふしっぽ枕と言う
至極のふわもふの楽園で仰向けになってふわもふっております。
周りには、黒、グレー、深い藍色、赤毛など、
様々な色のもっふぃがもふぃもふぃ言いながら戯れています。
頬をぺろぺろ嘗めてくれるもっふぃ。
お手手にふわっもふ足をちょこんともふっと乗せてくれるかわいいもっふぃ。
何故か私たちのお腹に乗って、まったりするもっふぃ。
周りを駆け回って遊んでいるもっふぃ。
あぁ・・・私たち、幸せですよ、ディル。
「・・・ルゼくん・・・お怪我の方は・・・」
先ほどは辛そうでしたが。
「ん・・・闇魔力でだけど、時間はかかるけど再生はできるし・・・
今はなにより、もっふぃセラピーでもふられているから・・・
平気になって来た・・・おなかの上でもっふぃが抱きしめてくれているし」
え・・・?もっふぃが抱きしめている・・・?
おっきなもっふぃがもう1匹いるのでしょうか・・・
私は、むくりと起き上がり、硬直しました。
「あの・・・ルゼくん」
「ん?どうしたの?姉上~・・・俺、もっふぃ大好き♡♡」
「いや、そうではなくって、おなかの・・・上です」
「んん~・・・?どんな毛並みのもっふぃなんだろ・・・」
ルゼくんが身を起こそうとして、硬直していました。
そしてルゼくんは自分を見つめるまんまるお目目と目が合い、
絶句しておりました。
ルゼくんの上には、ルゼくんをぎゅむっと抱きしめながら
かわいくルゼくんを見つめている、
かわいらしい12歳くらいの竜族の男の子がいたとです。
私によく似た真っ白な髪は、もみあげ部分がちょっと長く、
左右の髪のはねっ気がちょっとかわいらしい。
まんまるいぱっちりお目目はルゼくんと同じ金色です。
竜族の角は、アナや魔法を使う時のディルと同じ金色。
白い竜族におなじみの伝統装束を着て、
白い鱗に覆われたしっぽを、かわいらしくぱたぱたさせています。
何だかもっふぃみたいな感じがして、かわいいです。
男の子はルゼくんに抱き着く形で引っ付いておりました。
ふと硬直するルゼくんを見れば・・・
「あれ・・・顔の傷・・・治ってますよ?」
「あ・・・確かに・・・痛くない・・・体も・・・こんなに早く治るなんて」
「ぼくが力を分けたの」
と、男の子。
「あなたが・・・?あなたは一体・・・お名前は・・・」
「きーしゃ!」
え・・・?それは私たちが先ほどであった、
“神龍”を名乗る少年と同じ名です。
しかし、目の色は違いますし、年齢もこちらの男の子の方が幼く、
なにより・・・神々しいこのかわいさはなんでしょう。
主に、しっぽぱたぱたと、このまんまるお目目の効果かと思われます。
「えと・・・私たちは・・・」
「知ってる!」
え・・・そうなのですか?
「あのね、お姉ちゃんと、お兄ちゃんだよ!」
ぐはっ
神々しい・・・神美少年に“お姉ちゃん”と言われる日が来るなんて・・・
何でしょう、この胸キュン。
今まで末っ子だったので、弟妹と言うものにいささか、
憧れがあるのかもしれません。
因みに、かわいい弟妹に免疫は無いと思います。
ルゼくんもかわいいですし・・・
第4皇子のカイくんもかわいい弟です。
「だ・・・だれが、お兄ちゃんだ・・・」
ルゼくんは眉を顰めながら吐き捨てます。
「お兄ちゃん」
「・・・」
「お兄ちゃん?」
首をこてんと傾げる仕草は世界文化遺産並みに尊いです。
因みに、世界文化遺産とは、シンシャ兄さま曰く、
世界で最も尊い妹と弟たちに送る称号だそうです。
私はこの称号を、キーシャくんに授けたいと思います。
※あくまでもキーシャ兄さま論ですので、
あまり参考にしないでくださいね。
「・・・」
「お兄ちゃん・・・」
しゅーん。
「ちょっと、ルゼくん!なんだかしゅーんとしちゃってますよ!?」
「でも、俺、こんな弟は知らない・・・
父上がカイの下に弟を作ったとか、聞いたことがないよ!?」
「だから何だって言うんですか!かわいい弟はかわいい弟なのです!
ルゼくんやカイくんが私のかわいい弟なのと同じです!」
「ぐはっ」
ルゼくんが吹きました。
やっぱり、弟はかわいいですもんね。
因みに、レオくんは同い年で、まさかの私よりも誕生日が早かったので、
私よりもお兄ちゃんなわけですね。
祖国では、兄嫁の弟妹は、例え年上でも弟妹ですが、
竜帝国は基本、年齢に倣うそうです。
ついでに、同い年のアナはレオくんより誕生日が早いので、
アナの忠実な下僕をやっています。
あれ・・・?“おとうと”の字が違うような・・・
いえ・・・この際、神弟・キーシャくんの前では、
全く関係がありませんね。
「ほら、だから、弟でいいんですよ!」
「でも・・・どうすれば・・・」
カイくんと言う弟がいますのに・・・
あ、第3皇子のレオくんは、第2皇子のルゼくんより年上で、
何だかふたりの間の関係も
弟にツンデレ気があるだけで、
レオくんはいいMお兄ちゃんと言う感じですね。
あれ・・・“お兄ちゃん”の前に何かついているような・・・
あぁ、いえ、今はとにかく、目の前の神弟・キーシャくんです。
「こういう時は・・・」
「姉上、こういう時は・・・!?」
「な、なでなでです!」
「なでなで?」
「何か困った時、辛い時、悲しい時、嬉しい時・・・
色んなとき、兄さま姉さまたちはよくなでなでしてくれました!
その度に、“姉さまたちがついている”“兄さまたちが守ってあげる”、
そう・・・声を掛けてもらうと、自然と気持ちが落ち着いたのですよ!
だから、ここは、なでなでです!」
「・・・確かに、兄上も、よくなでなでしてくれる・・・」
ルゼくんの頬がほんのり薄紅色です。
全く、ルゼくんにとって、
ディルはいつでもとってもいいお兄ちゃんみたいですね。
もっと自信を持ってもいいのですよ?ディル。
そして、そんなディルに愛されて、ルゼくんは育ったのでしょう。
ルゼくんのディルに対する甘えっぷりを見ていれば、わかります。
これも、私がいい兄さま、姉さまたちに恵まれたからこそ・・・でしょうか。
兄さま、姉さまたちに感謝ですね。
ルゼくんは、戸惑いながらも、
キーシャくんの頭に手を伸ばし、
ゆっくりと触れ、なでなで、し始めます。
すると、キーシャくんの頬が赤らみ、
そしてしっぽを嬉しそうに揺らしながら、
にゃはっと微笑んだとです・・・!
おぉ・・・これぞ・・・神弟ぉぉぉっ!!!
この世に神がいるとしたら、この目の前の神弟くん以外に、
考えられません!!
「お兄ちゃん・・・♡大好き・・・♡」
「・・・変なの・・・お前、何だか・・・神々しい気がするのに」
それは私も感じていますよ、ルゼくん!
「俺は闇魔法使いで・・・邪竜・・・なのにな」
「それは、あの少年が言っているだけで・・・!」
「けど・・・姉上・・・心の中では・・・わかっているんだ・・・」
「・・・どう言う、ことですか?」
「闇属性を持った、神龍の加護を授かりそこなった者・・・
そんな風に言われて来た・・・あながち、間違いではないのかなって」
「そんなこと・・・あるはずがないです!」
「・・・呪いじゃないよ?角は銀色だけど」
ほえ・・・?
何故かキーシャくんが、きょとんと首を傾げながら、
けろっと言いました。
「それって、どう言うことですか・・・?」
角が銀色なことに、何か関係があるのでしょうか?
「あのね・・・えっとぉ・・・
神龍の他にも~、力を持った竜がいたんだけどぉ・・・
銀色の角を持ってて、神龍とは対極の属性を持ってるの!
だから、お兄ちゃんの角は、銀色の、銀龍!」
「・・・銀龍・・・?聞いたことがないけど・・・
父上も銀色の角だけど、関係あるの?」
「うん!だって、銀龍の子でしょ?」
「え・・・初耳・・・なんだけど」
「ぼくも最初見た時、びっくりした!
何で銀龍がここにいるのかなぁ~って!」
「・・・ってことは、竜帝陛下って、
神龍の血と、その銀龍の血を引いてるってことですか?」
「そゆこと~!でも、竜皇族の血は流れているから、
金色の角の竜は産まれるでしょ?
他の色はいろいろ由来はあるけど・・・
銀色は、すっごくすっごく珍しいよ!」
「はい、ディルもたまに金色の角になりますし、
竜皇族に多い色なんですものね」
そう言えば、目の前のこの子もですね。
「えへ~、そう。でも、本来の竜皇族の金色の角とは違うんだ~」
「どう言うことでしょう?」
「多分、あの銀龍の影響。違う波形が混じったから、
純粋な神龍の角の色は、劣性遺伝子として、なくなっちゃったみたい。
銀龍の血って、特殊なの」
「本来の竜皇族の角の色って、何?」
と、ルゼくん。
確かに・・・私もディルや、公爵家筋のアナの金色の角を思い浮かべたのですが。
あれがそう・・・ではないのですか?
「直系だけが受け継ぐ角でね~、えっと、あぁ・・・
ひとりだけ・・・知ってる。
光の当たり具合で、金にも朱色にも見える色。
銀龍の傍にひとりだけいるよね。
銀龍が何故か何もしないから、」
「・・・竜帝陛下の・・・お傍に・・・?」
「あぁ・・・メイリィ姉上は会ったことないかも。
政務や公務の時は、よく父上に付き添ってる、側近だよ。
ルキ・・・だったかな。珍しい角の色で、混種だって言ってたし、
あのひとが竜皇族だって、聞いたことがないけど・・・
そもそも、先代の時代に、ほとんどの竜皇族は腐敗しきっていて、
殺されているはずだ」
「でも~、どこかに生き残りがいるかもよ?
銀龍だって、竜皇族じゃん!遺伝子はほぼ銀龍に変わっちゃったけど」
衝撃の事実が次々と明らかになりますが・・・
「どうして、そんなことを知っているのですか?」
「ぼくが当代の神龍だから!」
あれ、私たち、先ほども同じ名前の少年に、
神龍と告げられたのですが・・・
「神龍って、ふたりいるのですか?」
「ううん、神龍は、竜の中で一番偉い竜!
その血を取り込んだのが、竜皇族だったから、
神龍は竜皇族から出るの!だから、ぼくが神龍!」
あれ・・・てことは・・・
「キーシャくんも、竜皇族の一員なのですか・・・?」
「うん!お姉ちゃんとも小さな頃に会ったことがあるよ!
殺される前だったけど!」
え・・・殺される前・・・?
「じゃぁ、まさか・・・お前は、殺された、本当の第2皇子・・・?」
「・・・うん!あ・・・ディルお兄ちゃんに、言っちゃダメって言われてたけど・・・
ディルお兄ちゃんの番のお姉ちゃんと、ぼくのお兄ちゃんはいいよね!」
・・・衝撃の、急展開、再び。
てか・・・ディルお兄ちゃんって・・・
ディルとも知り合いなのですか・・・?
「でも・・・角は普通の金色に見えるよ」
と、ルゼくん。
確かにそうですよね。
「うん、神龍の角の、本来の色は違うけど、
でも、ぼくは銀龍の血が気に入ってるから、これにした」
どうやら、神龍はどこまでも自由なようです。
そんな時、この場に、複数の足音が近づいてきました。
何だろう・・・と思っていると、扉がばーんと開き、
聞きなれた声が響きました。
「メイリィ、ルゼ!無事かっ!!」




