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誓い


「父さまったら・・・竜帝陛下に・・・なんてことを・・・」


「のちに聞いた話だが・・・父は、

皇帝の座についたのは12歳だったのは聞いているか?」


「えぇ・・・まぁ、歴史のお勉強で習いましたが・・・」

当時は信じがたかったのですが・・・

ディルの口からも語られていることから、事実のようです。


「その時に、協力したのがシャクヤ王だったと」


「父さまが・・・?」


「表向きには、属国の王と宗主国の竜帝だ・・・

だが・・・俺以外の目がない場所で、

堂々と父を叱っていた・・・

そんなことができるのは、あのひとだけだよ・・・」


「んな・・・っ」

父さま・・・何気に最強じゃないですかっ!!

私の嫁入りのために三徹するほどの親バカなのに・・・

しかも、親バカを暴走させると

ポンコツ化して、伯父さま(※母の兄&宰相)と

母さまの掌で転がされますし・・・


「だから、俺も、あの場所から連れ出されたのだと思う」


「・・・ディルが・・・」


「あのひとが父を糺してくれたから、

俺は、皇子としてこの竜帝国の皇太子となるべく

教育を受けることができたし、

バカみたいなバケモノのような魔力を持っていようと、

父の子になれたのだと思う・・・」

“バケモノ”・・・その言葉が、何故か心の深くに突き刺さりました。


何故か・・・涙があふれて・・・


「メイリィ・・・?何故、泣く・・・?」


「わかりません・・・けど・・・ぐす・・・っ」


「・・・泣かないで・・・メイリィ・・・

メイリィだけは、俺の側でずっと、笑っていて・・・

幸せでいてほしい・・・」


「ディル・・・ディルは、私と幸せになるんです。

私ひとりが幸せになって、何になるっていうんですか」


「・・・」


「ディルは、ひとです。バケモノなんかじゃありません。

ディルは優しいです・・・だから、シアも、アナも、

ルゼくんも救われたんじゃないのですか・・・?

だから・・・ミフェイさまのことも・・・」


「俺には、できない・・・

俺はメイリィがいないと、何をしていいのかわからない。

幼い頃は幽閉されて育ったし、猫耳しっぽ萌えに対する理解も及ばない。

俺には、ひとと同じ、感情も感覚もないから」


「ありますよ・・・ディルと、私は、魔力でつながっているんですよ?

ディルの心は、温かいです・・・だから、大丈夫です。

私がついています。どこまでも、ディルと一緒です」

私は、ディルを振り返り、そう言いました、

ディルは、私をぎゅっと抱きしめ、

頬に、口づけをくれました。


・・・あと、さりげなく猫耳しっぽ萌えに対する理解についてはスルーします。

てか、何ですか、猫耳しっぽ萌えに対する理解ってっ!!

こんな真剣な話をしているのに、ぽろっとイミフな理論が出てくるあたり・・・

ディルは不思議っ子なようです。

そんなところも放っておけないのですが・・・

猫耳しっぽ萌えに対する理解かぁ・・・う~む・・・


「・・・いつか・・・弟を、紹介したい。

みんな、その名すらも忘れてしまったが・・・」

猫耳しっぽ萌えに対する理解について考えこんでいた時、

ふと、ディルが告げました。


あ、スルーしていい流れに移行したようです。

安心、安心です。


「はい、是非。私も・・・従兄に会ってみたいです」


「・・・そうか・・・嬉しい」


「・・・はい」

優しいディルの腕に抱かれながら、とても、とても幸せな心地で、

この幸せが、続いてくれれば・・・と、そう願いました。








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