忘れられた皇子
ちょっとわかりにくい表現があったので、追記しました<(_ _)>
「メイリィ・・・この話は、
俺の正妃となる以上、聞いておいてほしい」
「はい、ディル」
晩餐会後の反省会が、まさかの急展開を迎えました。
つか、正妃はもう確定のようです。
もう蒸し返せる雰囲気でもないですし。
「・・・父上には、皇后・・・俺の実母の次に迎えた妃がいた」
「ルゼくんのお母上ですか?」
「いや・・・」
え・・・?違う・・・のですか・・・?
「・・・父上は、ツェイロンから・・・妃を迎えた」
「そんな話・・・今まで聞いたことないですよ?」
「恐らく・・・シャクヤ王にそれほどまでに怒りを買ったのだろう」
「父に・・・何故でしょう?」
父と竜帝陛下は、お話されることはあっても、
終始にこやかに話されておりました。
そりゃぁ、外面上の問題もあったでしょうが・・・
プライベートで父が竜帝陛下のことを話されるときに、
そのような怒り・・・を感じさせることはありませんでした・・・
「第2妃に迎えられたのは、シャクヤ王の妹姫だった」
「・・・そんな・・・」
父に妹がいたなんて話は、聞いたことがありません。
父は自身の兄妹のことは語ったことがないので、
てっきり一人っ子だと思っておりました。
でも、今聞いたらおかしな話ですよね。
王位を継ぐはずの王位継承者が、一人っ子だなんて・・・
通常はお世継ぎの問題などがあるはずですし、
第2子、第3子がいてもおかしくはありません。
「父は、その妹姫を、皇后に迎えることはできなかった。
竜帝国は当時、年若く即位した父の治世の元、
当時は、先代竜帝のせいで腐敗しきった竜帝国内をまとめ上げ、
強化するために、帝国きっての力を持っていた
皇后の実家を後ろ盾につける必要があったから」
そう言うのは・・・だいたいどこの国にもありますよねぇ・・・
「だから、父は、その妹姫を第2妃に迎え、大切に扱った」
「・・・そう、なのですね」
なら、どうして父は怒ったのでしょう・・・?
ひょっとして、シンシャ兄さまの異常なシスコーンは、
父さま譲りなのでしょうか・・・?
「皇后との間に俺をもうけたが、父はその後、
第2妃の子・・・皇子をもうけ、
他の妃も、代々の慣例に則って、属国から2人迎えた」
それが・・・ユリアナさまとソシエさまでしょうか・・・?
「その後、子をもうけたのが、ユリアナ妃・・・
しかし産まれたイザナは竜族ではなかったから、
将来はエストランディスに送られることが決まっていた。
だから、ユリアナ妃は第2子を・・・レオを妊娠した」
しかし、それなら、第2皇子は、私の叔母の産んだ子・・・
第3皇子がレオハルト殿下で合っているはずです。
「そんな時・・・皇后が、暴走したんだ」
「え・・・」
それは、現在皇后陛下が皇籍を抜かれ、
出家していることと関係があるのでしょうか?
「事情のあったユリアナ妃はともかく、
御子をもうけても、父の寵愛を受け、
御子を父の元で育てる第2妃を、害した」
え・・・?それは言い換えれば、
叔母の子・・・私の従兄は竜帝陛下と第2妃に育てられ、
ディルはそうではないと言っているような・・・
「それは致命傷ではなく、命は助かったが・・・
度重なる竜帝国の貴族からの圧力、皇后からの嫌がらせ、
更には御子が何者かに殺され、失意の果てに、自ら命を絶った」
「え・・・そんな・・・」
「父は皇后を出家させて城から追い出した・・・
だが、竜族の妃が出家させられたことで、
帝国内の派閥が乱れ荒れたこと・・・
父はその調整を取るために・・・ルゼの母・・・
元第2妃を迎えざるを得なかった」
「・・・どうして、その方が第2妃に・・・なられたのですか?」
通常ならば、第5妃では・・・?
「さすがに、属国の妃よりも下にはできない・・・
本当は、皇后に・・・と言う話だったが、
それでは皇后派が黙っていない・・・だから、第2妃に据えた。
第2妃の子・・・ルゼは、レオよりも
後に産まれたが・・・属国の皇子よりも後にすることができなくて、
ルゼが第2皇子になった・・・
ゆくゆくは、病弱で籠っている、重い障害を持っていて表に出られない・・・
そんな風に言われていた第1皇子から第2皇子へと皇太子の地位を与え、
元第2妃派が台頭しようとしていたのだろう・・・」
結局、ルゼくんは元第2妃を裏切ってディルにつき、
皇位継承権を放棄したのでしたね。
それで元第2妃派は、失脚したはずです・・・
「そう言う事情があったのですね・・・あれ・・・でも、ディルは・・・?」
第1皇子は、竜帝国の元皇后陛下から産まれた、
ディルだったわけで・・・
病弱とか、重い障害を持つなどと言う噂まで出ていたのですか?
幼い頃に出会ったディルは、そんな感じはしませんでしたが・・・
「俺は・・・竜帝国内でも忘れられた存在だった・・・
父も、俺がいることは覚えていた。
第1皇子・・・その肩書だけは与えていたから、
俺の後の、人族の妃が産んだ第2皇子に与えられていたその肩書を塗り替えた。
第2妃の子が人族の妃の皇子より下となれば、
例え第2皇子が亡き御子とはいえ、竜帝国の貴族たちが納得しなかった。
だからルゼに与えることで、宗主国としての権威を示すこととなった」
「でも、どうしてそんな・・・」
まるで冷遇じゃないですか・・・
「父は、俺の教育を、皇后に投げやっていた」
「・・・」
あの竜帝陛下が・・・?
「将来は、皇太子さえ擁立できればいい、そんな考えだったのだろう。
しかし、俺は・・・メイリィは俺の力を見ただろう?」
「えぇ・・・まぁ・・・」
凄まじい魔力でしたが・・・
「皇后は、俺をバケモノと罵って幽閉して育てた。
勉学や魔法の教育も受けさせられたが・・・
それも閉ざされた部屋の中での話だ・・・
そして扱いきれない魔力を暴走させるたびに、罰が与えられた」
え・・・そんな・・・幽閉して育てたって・・・
それに・・・罰って・・・
「そして、それに反して、寵愛される第2妃とその皇子に、
皇后は、皇太子の座を奪われることを危惧したのだろう」
そして、第2妃を害した・・・?
「一説には、御子の暗殺にも関与したと考えられている」
「そんな・・・」
「皇后が追い出された後も、俺は放っておかれた」
「え・・・どうして・・・」
「やがて魔力の暴走が起こり、飢餓のせいか、
制御が効かなくて・・・、破壊した宮から逃げ出した・・・
苦しくて、苦しくて・・・楽になりたかった」
ディルは、私の体を抱き寄せます。
さすがに、今のディルを振り払おうとは思いません。
「そんな時、メイリィに出会った」
「え・・・」
それって、まさか・・・
断片的に思いだした・・・ディルと、出会った記憶・・・?
「メイリィに会って、触れて、魔力の暴走は治まった・・・
その、後だった・・・俺はそのひとを知らなかったが、
メイリィによく似た男に、竜族の男が怒られていた」
「それって・・・まさか・・・」
「のちに知った・・・それが、シャクヤ王と父だった」
と・・・父さまったら・・・!
まさか・・・天下の竜帝陛下を怒るって・・・
そりゃぁ・・・叔母さまや従兄のことを考えれば・・・
それは当然なのだけど・・・




