兄上対策会議 その2
☆このお話時の年齢一覧☆
レオ:10才
ルゼ:9才
カイ(ルゥ):8才
ディル:13才
※上記カイくんの年齢が間違っておりました(;''∀'')
修正済みです<(_ _)>
「ルゼ、ルゼ!聞いてくれ!」
「なぁに?兄上!」
大好きな兄・ディルに呼ばれたルゼこと、
第2皇子・イルゼは、顔を輝かせる。
「ルゼ。今日は、ルゼに特別なものをやろう」
「え・・・なぁに?兄上!」
「俺の弟たちにのみ許された・・・兄上を呼ぶための名を、与えよう!」
「ほんと!?嬉しい!」
そう、顔を輝かせながらも、ふと、ルゼは首を傾げる。
何か、引っかかる言葉があった。
「“ディル兄上”と、呼ぶがいい!」
それは、竜帝のみが呼ぶ、ディルの愛称であった。
「ディル兄上・・・わぁ・・・っ!嬉しいっ♡♡♡♡♡♡」
竜帝のみが呼ぶその愛称を呼ぶ権利を与えられ、
ルゼがぱあぁっと頬をほころばせる。
そして・・・
もうひとつ・・・
「ルゼ!!」(くわわっ)
「なぁに?ディル兄上♡♡♡♡♡♡」
「お前を・・・抱きしめればいい!」
「え・・・?」
そして、ディルはルゼをぎゅむぅ~っと抱きしめた。
「でぃ・・・ディル兄上・・・っ!?」
突然の兄の行動に、ルゼの頬が薄紅色に変わる。
いつもは、ルゼから抱き着くのに・・・。
「えへへ、ディル兄上。嬉しい♡♡♡♡♡♡大好き!」
ルゼも自然とディルの背中に腕を回す。
「そうか・・・大好きか・・・!」
「うんっ!ずっとずっと、大好きだからね!」
兄の温もりを全身で感じながら、ルゼはそっと目を閉じた・・・
そして・・・
(弟・・・“たち”って、何だ!?・・・と)
―――
今日もまた、後宮のとある一室で、
レオハルトことレオは、カイと向かい合っていた。
「最近・・・兄上・・・ディル兄上・・・と呼べと、
頭を押さえつけながら要求してくるんだ・・・っ!」
「呼べばいいじゃん。呼んでるじゃん」
「そうなんだけど・・・っ!相変わらず恐いんだもんっ!!」
レオは相変わらず、3才年下の弟のカイに泣き縋っていた。
「しかも・・・腕を広げて・・・追っかけてくるようになった・・・」
レオは両手で頭を抱える。
「逃げるから追っかけてくるんだよ」
「いやあああぁぁぁっっ!!!体がもう逃走本能を覚えてる―――っ!!!」
「ディル兄上は、闘争本能を持っていると思う」
と、カイがいつもの通り、しょうもない兄の話に付き合っていると、
不意にカイがレオに抱き着く。
「ん?カイ、どうしたんだ?」
「なんか・・・くるかも・・・?角が・・・疼くような」
カイは父親とは違う、不思議な黒い色の角を持っていた。
カイの母の故国・ソレイシア王国には守護竜・黒龍がいる。
その黒龍は神龍の使徒とも呼ばれ、
神龍に忠誠を尽くし、使える竜である。
それゆえに、カイの黒い角は、母も喜んでいたし、
ソレイシア王国民からしても、喜ばしいものなのである。
しかし、それは何故か本能で何かを掴むことがあった。
そして、今も・・・
部屋に不思議な黒いものが出現したかと思うと、
そこからカイとレオが、過去数回しか会ったことがないものの、
少し見慣れた面持ちの少年が現われる。
彼らの父親である竜帝と同じ色の、少年だった。
角も、髪も、目の色も、全て同じ。
レオのグレーの角は、父親の銀色の角譲りだとは言われているが、
それでも、彼のような見事な銀色ではない。
その少年は、無機質な顔で、淡々と告げる。
「お前らが、第3皇子と、第4皇子か」
「ひえええぇぇっっ!!ちょっと、レオ兄上!!」
ディルの前ではいつも冷静なカイが怯えながら、
レオの体に抱き着く。
と言っても、カイもさすがにディルと
初対面を果たした時はビビるにビビりまくったのだが。
「えぇっ!?どうしたんだ?カイ」
レオは意外にも冷静だった。
「それ!そう言うの!ディル兄上の前でもそうすればいいじゃんっ!!」
「いやあああぁぁぁっっ!!ディル兄上は無理だあああぁぁぁぁぁっっ!!!」
ディルを持ち出すと、途端にポンコツになるレオ。
「その名は・・・ディル兄上の弟が・・・
ディル兄上を呼ぶために許された名だ!」
少年の周囲から、黒い影がうねうねと這い出す。
「ぎゃああぁぁぁぁっ!!何か黒い触手みたいなの出てる―――――っっ!!!」
「え?タコみたいなものじゃないのか?」
タコ=ソレイシア王国の名産品
「違う~~~っ!!!タコあんな色じゃないもぉんっっ!!!」
「ははっ!これが恐ろしいか?なら・・・
今すぐディル兄上の側から・・・消えろっ!!」
少年は、その闇色の触手を、一気にカイとレオに放つ。
「ぎゃああああぁぁぁぁっっ!!!」
カイが叫び、レオに縋りつく・・・が、
「え・・・」
少年は絶句していた。
影の触手が、進めないのだ。
少年の唖然とした顔を見て、カイはきょとんと顔を見上げる。
「結界を張ればもんだいないじゃないか」
ケロッと言ってのけるレオ。
※ポンコツが目立つレオくんは、実はとっても優秀だぞっ☆
「うわあああああぁぁぁぁぁ―――――っっ!!!
レオ兄上えええぇぇぇぇぇぇ~~~~~~っっ!!!」
カイはびゃああぁぁぁっと泣き出し、レオに縋りつく。
「な・・・何でだっ!」
少年はイライラしたように闇のオーラを全開にするが・・・
レオは平然と立ち上がり、魔法弓をパァンっと放つと、
闇が一気に霧散して、掻き消える。
「え・・・何で・・・」
ルゼが唖然としていると・・・
「おおおおぉぉぉぉっっ!!!
今、ルゥの泣き声がしたぞおおぉぉぉぉ――――――っっ!!!」
般若のコワモテのディルが姿を現し・・・
「ぎゃああああぁぁぁぁ――――――っっ!!!」
レオが絶叫した。
「そうかっ!!弟たち!みんな一緒に
ディル兄上に会いたくて泣いていたんだな!!」
と、何故か妙な曲解を始める兄に、半狂乱のレオをしり目に、
カイが一気に正気に戻った。
「あぁっ!ディル兄上~~~っ♡♡♡♡♡♡」
そして、少年が幸せそうに抱き着いた。
「あぁ、ルゼ、ディル兄上は嬉しいぞ!」(くわっ)
「うん、ディル兄上~~~っ♡♡♡♡♡♡」
「ねぇ、ディル兄上、それ、誰?」
と、カイが口を開けば、少年がキッとカイを睨み、
カイはぶるぶると震えるレオに抱き着く。
「ルゼだ」
「・・・ルゼ兄上?第2皇子の、イルゼ兄上?」
カイは思い当たった名を呼ぶ。
「兄上に授かった弟名を呼ぶなっ!」
「こらこら、ルゼ。ルゼも兄上なんだ」
「え・・・ディル兄上・・・俺も・・・兄上って、どう言うこと?」
「ルゥはルゼの弟なのだから、ルゼにとっての、
弟のみが呼ぶことを許された兄上だけの呼び名だ」
「ディル兄上がそう言うなら」
ぎゅむ~~~っ♡♡♡♡♡♡
ルゼはまた幸せそうにディルにくっついた。
「・・・そうだ・・・」
そこでディルは、カイとルゼを見やる。
「お前たちにまだ抱き着いていない!!」(くわわっ)
そう、当然のように告げ、今度こそ、レオは失神した。
そして、ディルが満足げにレオとカイをぎゅむ~~~していったのは、言うまでもない。




