竜帝夫妻とツェイロン王国王夫妻の晩餐会
「では、シャクヤ。今夜は、夫婦円満を、見てもらおうと思う」
竜帝は卓につくなり、そう、宣言した。
「・・・そうか、それは楽しみだな」
シャクヤは苦笑しながら、そう答える。
竜帝陛下と妃ふたりの晩餐会には、ツェイロン王国王夫妻が招かれていた。
竜帝の左には、エルフ族の紫がかった銀色の髪の女性、第3妃・ユリアナ。
そして右には、猫耳しっぽ萌え獣人族で、白い髪の女性・第4妃・ソシエが座る。
ソシエの隣がツェイロン王国王妃・リィリエ。
金色の髪に、エメラルドグリーンの瞳の美女である。
ユリアナの隣には、銀色の髪にアメジスト色の瞳の
ツェイロン王国王・シャクヤが座っている。
そして、晩餐会は始まる。
「ユリアナさまとはお久しぶりね。お元気そうで何よりだわ」
「いえ、私の方こそ。リィリエさま」
と、早速リィリエとユリアナが話しだし・・・
「ソシエさまには、この前、娘のユーリィもお世話になったみたいで」
「いいえ~、小さい頃から知っている娘だもの~。
最近は更にきれいになったんじゃない~?」
「あら~、わかる?羨ましいわね~」
「リィリエさまもおキレイですよ」
と、ユリアナ。
そうして妃たちが盛り上がる中、
不安げにユリアナとソシエをちらちら見やる竜帝に、シャクヤが声を掛ける。
「どうした?シャクヤ」
「あ・・・いや・・・その、なんでも、ない」
そう言うと、おもむろに、ソシエの袖を引っ張る竜帝。
「あら、どうしました?陛下」
そして、ソシエの席に近づき、何やら耳打ちしている。
「(だ・・・台本と・・・違う!!)」
「アドリブですよ、アドリブ」
「・・・っ!?」
その言葉に、瞳に絶望的な色を浮かべる。
「もう、これかしてあげますから」
と、ソシエが持ってきたねこちゃんぬいぐるみを手渡す。
「・・・」
「ディアーシャ?」
シャクヤが何故か急にねこちゃんぬいぐるみを抱えた竜帝の名を呼ぶ。
「・・・シャクヤ」
竜帝は、ゆっくりと口を開く。
その様子に、何か違うものを感じたのか、一同の視線が集まる。
「あの・・・」
「どうした?」
何だか、緊張した面持ちの竜帝に、
シャクヤはいつも通り優しく話しかける。
「このにゃんこの名前は・・・何がいいと思う?」
『・・・』
一同の目が、点になった。
>竜帝はめちゃくちゃ目を輝かせながら見つめている。
「えぇと・・・」
意を決して、シャクヤが口を開く。
「ねこなら・・・“たま”じゃないか?ウチの息子論だが、
ねこと言えば、“たま”だそうだぞ」
「“たま”は・・・子竜の名前だ」
「そう言えば、キーシャちゃんの双子の弟のたまちゃんも、そうよね」
と、リィリエ。
「・・・そう言えば・・・そうだったな」
妙に納得したシャクヤ。
「では、何がいいと思う」
「じゃぁ・・・もう“ポチ”にしたらどうだ」
「シャクヤ、それはわんちゃんの名前よ」
と、リィリエ。
「それはでっかいもっふぃの名前だ」
「・・・そうか・・・では、困ったな・・・」
「白いにゃんこなんだから、
白をイメージした名前にしてはどうです?」
と、ユリアナが助け舟を出す。
「・・・そうか・・・白・・・白・・・そうだ・・・」
「決まったのか?」
「うん・・・“肉まん”」
そしてぽっと顔を赤らめて肉まんをなでなでする竜帝に、
一同は生温かい視線を向けたのだった。




