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【完結】くじ引きで竜帝国の皇太子妃に選ばれてしまった  作者: 夕凪 瓊紗.com
第8章 竜帝国の属国編

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銀龍の故郷

※もっふぃ?からのステキなお知らせ※「にゃっふぃ♡にゃふぃにゃっふぃ♡」


―――旧ツェイロン公国・跡地


「ここが・・・そうか・・・帰ってきたのだな」

竜帝は、帝都に戻る前に、

延々と受け継いできた記憶の大地に足を踏み入れた。


目の前にそびえる山は、竜眼山と言う。

山の向こう側には、銀色の竜の国・ツェイロン王国がある。

赤い山肌が露出した、不毛の山。

この山は、かつて、とても緑が多い茂り、

花が咲き乱れ、麓には豊かな田園が広がる土地だった。


それが不毛の地となったのは、

ツェイロン公国が一夜にして滅びたことを、

ツェイロン王国側が知った時だった。


それほどまでに、ツェイロン公国は小さな国だった。

かつてツェイロンの象徴である銀色の竜と、

その国の姫のためだけに与えられた、

ひとつの独立した国。

移り住んだのは、姫を慕う者たち。

その子孫たちが、姫と銀色の竜の子孫を守り、

大切に育んでいた、平和で穏やかな国。


神龍ではなく、銀色の竜を祖とするツェイロン公国は、

姉妹国であるツェイロン王国が竜帝国の属国であっても、

それには属さない独立国だった。


それは、神龍を崇める竜帝国とは相いれないものだったから・・・

と言われているが、真実は、神龍がそれを認めたからだ。

銀龍を尊敬し、敬意を示し、そしてその子孫たちの国を見守った。


だが、その公国が一夜にして滅び、

たったひとりの生き残りの姫が、

秘密裏に侵略国に囚われ、かつての腐敗竜のように、

かつて竜の力を得るために、

竜の血肉を食わされ、体内を腐敗で満たすことで、

その身に受け継いだ銀色の鱗を腐敗で闇色に染めてしまった。

そしてその死体で、恐るべき毒・・・邪竜の血毒を作った・・・


そして侵略者たちの愚行は、それではおさまらない。

その姫に産ませた娘もまた、竜の血肉で穢された鱗を受け継ぎ、

母から受け継いだ美貌から、愚かな欲望を成就させるための

道具として、かつて滅ぼした王国の姫と共に、

神龍を崇める国・・・腐敗しきっていた竜帝国竜帝の

24番目の妃として、献上されたのだ・・・


しかし、24番目の妃が生んだ第17皇子は、

神龍の血を取り込んだことが原因か、定かではないが、

銀龍としての血を色濃く受け継ぎ、

かつての銀龍と同じ、銀色の角、金色の瞳、

深い藍色の髪を持った。

そして、受け継いだ腐敗した鱗。

銀龍が持つ、闇色の双刀を形どる、鱗。


穢された銀龍は、死んだ母を蝕む腐敗した闇色の鱗と、

そこから生成された血毒に、

かつての人間への、竜への怒りと、憎しみが込み上げ、

そして、愛しき半身の忘れ形見を穢されたことで、

怒りを覚え、我を失った。


だが・・・その中でもたったひとつだけ・・・

ただひとりだけ、殺すことができなかった、

第17皇子として、大切だった、何よりも大切だった、

“きょうだい”を除いて、人間も、竜の血を受け継いだ人間も、

殺して、殺して、怒りに身を任せて殺しつくした時に、

かつての半身と同じ、銀色を持つ美しい少年と出会い、

そして同じように、その呪詛に蝕まれた鱗をほどいた。


だが、半身は銀龍を受け入れてはくれなかった。

だから、たったひとりだけ、銀色に戻ったその鱗を、

黒く染め上げて、憎しみを鱗に封じてまで、

・・・彼を傍に置いた。


けれど、半身を諦めきれなかった銀龍は、

ただ闇雲に半身を、半身の代わりを求め続けた。


その度に半身に怒られ、昔のように泣きじゃくり、

それでも、赦してはもらえなくて、

半身として、傍にいてはもらえなくて・・・


半身が求めることは、何だってやった・・・

けれど、それでも、それでも・・・


ひどく寂しく、悲しくて、ずっとひとりきりだった。


その不毛の山は、まるで、その寂れ切った心を現わしているようだった。


「ずっと、ずっと・・・求め続けていたのに・・・どうして・・・」

ふと、竜帝の口から、そんな言葉が漏れ出る。

彼女と、一緒になれないのだろう。


「・・・アーシャ」


「・・・ソシエ」

竜帝は、隣に立った妃を見やる。

つい、数年前までは、竜帝として子を成すためだけに、

たった一夜だけ交わり、その後は長らく、顔すら見なかった妃。

だが、彼女は、ただ、半身の心に応えたい・・・

それだけの竜帝のわがままを、もうひとりの妃と一緒に聞き、

晩餐会や、社交界にも付き合って、

それで、こんなところまで・・・


「何故・・・ここまでついて来た」

ここへは、ひとりで来るつもりだった。


「ここに、引き籠られたら困るので。

私は、ちゃんと連れ帰るつもりで来ました」


「・・・何だ、それは。

私は、迷子にはならない。ここでは・・・」


「私もですよ」


「・・・初めて来たのに、迷子にならないのか」


「ほら、こうして手をつなげば」

ソシエは竜帝の手を取った。


「迷子になりませんし、ちゃんと連れ帰れます」


「・・・」

意外な行動に、竜帝は目を瞠る。


「あれ・・・」


「どうした」


「ほら、見てください」

ソシエが指をさすと・・・


竜帝はそれを見て、不思議な感覚に陥った。


何故・・・


どうして・・・?


もう、竜帝が産まれる前には既に、不毛の山だったそれは、

緑に覆われ、麓には花々が咲き誇っている。


「取り戻せたからでしょうかね」


「・・・銀龍の・・・故郷・・・か」


「えぇ。不思議なものですね。銀色の竜の国は、山の向こうなのに・・・」


「では、ここも銀色の竜の国にすればいい」


「ちょっと強引じゃぁありません?」


「ここもまた、昔は銀色の竜の国だった。小さな公国だったが」


「そうですねぇ・・・銀龍さまも、喜んでいらっしゃるんでしょうね・・・

竜眼山が・・・こんな緑溢れて、花も咲き誇っている」


「・・・喜んでいる・・・か」


「どうしました?」


「いや、何でもない」

竜帝が軽く微笑むと、その微笑みが自然なものであるように、ソシエも微笑んだ。



その後、近くの野営地で待っていた騎士たちがふたりを迎える。

騎士たちはこの地に突然緑が溢れたのか騒然としつつも、

妃と手をつないだ仏頂面の竜帝のしっぽが、

ぴょこぴょこと嬉しそうに揺れていたのを見て、

何だかそれが原因のように、思えたのだった。


ディル「ふむふむ・・・もっふぃからのお知らせか・・・

“明日は閑話祭りだにゃっふぃ♡”だそうだ」

メイリィ「いや、ディル、ちょっと待ってください。

もっふぃの鳴き声・・・何かいつもと違いませんか?」

※真相は・・・如何いかに・・・っ!?※

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