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雑竜種《デミドラゴン》とスマートフォン  作者: 皇 咲麻
Ver 1.9 魔法と刀と天掴《アマツカミ》
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#75 帰郷

ここで一つ、「魔力刃」の話をしよう。

名前の通り魔力の刃、武器に魔力を流し込んで発現する魔法の一種である。

魔法の一種ではあるが、魔法は「魔力を消費して術を発動する」のに対して魔力刃は「魔力を固めて刃にする」もの。魔法の途中系なのだ。

だから魔法としては不完全なのだが、剣や刀に魔法を流し込むのは手間が面倒なためにこの形態で済ましてしまう人が多い。なんでも「そんなことする前に先に斬った方が早い」との事。

発現するには基準となる物体が必要になる。発現する魔力刃はその基準にした物質の形に添って発現するが、必要以上の魔力を押し込んで形を無理やり変えることも出来る。

カリンがかんざしで魔力刃を発現させて戦ったように、別に基準となるものが必ずしも刃物でなければいけないわけでは無い(刃物の方が適してはいる)。

これらの事から、魔力刃は武器を使う近接戦闘系で、なおかつ魔力を標準程度に蓄えている人が使う簡単な魔法として用いられている。

この魔法には大きな欠点があるのだが、それはまたいつか。


基本的にカガミマチは春と秋しかない。正確にはちゃんと四季が存在するらしいが夏と冬は一瞬で通り過ぎてしまうのだとか。

その分春と秋が長いのだが、数か月も同じ葉が空を舞うのはさすがに目も肥えてくるというもの。

「久々に見たの、この風景」

「それよりも驚いたのは入り口からですよ、基本的に外からの人って蹴ってませんでした!?」

「それは妾にもわからん……この一年で方針が変わったのじゃろうな」

まあそんなものはどうでもいい、と呟きながらカリンは靴で地面を鳴らしながら歩く。石畳を歩くこの音もどこか懐かしさを感じてしまう。

周囲の風景にはさして変わりは無し。服装も変わっておらず、飢饉が起こったようにも見えない。国としてはとても安定しているだろう。

「割と変わってませんね……やっぱり姫様いなくてもどうにかなったんですかね」

「さあ、それはあそこに行ってみねばならんじゃろう」

視線の先にあったのは、懐かしさを感じる風俗店の塔。最初は平屋だけだったのに壁を這うように上へ上へと増築を繰り返し、いつのまにか国境の壁を乗り越えてしまっていた。

「……行ってみます?絶対騒ぎになりますけど」

「安心せい、この見た目ならさすがに気づかれることはないであろう」

「………………はい、そうですね……」

ミズキはなんて言おうか困った後に口から渋々感想を捻りだし、顔を抑える。

なんだ、えっと、なんて言うんだコレ。えー、うん、どうしたらいいんだ?

「一人称と口調も変えておくか、どれ…………つっても口調変えるとか俺分かんないからいいや」

「いや十分ですから、その見た目で十分ですから姫様」

「姫様って言うなよ、いつどこで盗聴されてるかわかんないんだぞ?だから―――」

「……はいはいわかったよ、ヒサメ……」

理解が早いようで何より、と腰に手を当ててドヤ顔を放ちながら偉そうにモノを言うその姿は、誤魔化しようがない「アサカヒサメ」本人だった。


こういう不可解な状況になっている理由はギルドを出る少し前。

「さて、考えねばならぬのは……見た目じゃな」

「見た目ですか?別にあそこは亜人種がいた所で……」

「外に放り出されて喜ばれるような奴が帰ってきたら一大事じゃろうが」

厄介者扱いされてたのはもう知ってたのか、と思いもしたが確かに言っていることは間違いではない。

勝手に連れて行かれた風俗の頂点と良いように国を追い出された武士が揃って帰ってきたら宣戦布告にしか見えないだろう。

「ミズキは顔を覚えられている面子はほぼ死んでおるから問題ないだろうが、妾はさすがに顔が売れすぎておるからな」

「良い意味でも悪い意味でもですね」

含みを付けて言葉を返したがカリンはサラッと流して話を続ける。

「となれば変化じゃ。じゃがあれは対象が寝ている時にしか使えん」

「そもそも姫様って人に化ける変化って使えたんですね、てっきり耳と尻尾を隠すだけかと」

「妾もそうそう使わん。使える分には良いのじゃが、しかし……」

「この昼間に数時間も寝てる奴なんているんですかね……」

本日は快晴、コメットブルーの空に一片の曇りなし。明るさ的にも時間的にも知り合いにそんなに寝ている奴なんているはずがない。

そう思っていたのだが、偶然にもミズキは思いついてしまった。そしてこのアイデアを後に後悔することになる。

「いるじゃないですか、寝てる奴。死体じゃなくてずっと寝ていると言えば……」


「……うん、喉も異常無し。見た目だけだから能力は使えないし、魔力を使おうとしたら自動で剥げるけど中に潜入する分には問題ないな」

「……えっと、あの…………」

「うん?」

「……この場合、俺は姫様の事なんて呼べばいいんですかね……?」

「臨機応変によろしく!」

目の前にいる、ヒサメの皮を被ったカリンはどうでも良さげに親指を突きだしてミズキに向けた。

「なんで……何が悲しくて俺はコイツに敬語で喋らなきゃならないんだ……」

そうしてカリンはアサカヒサメの容姿(スキン)を被ってカガミマチに潜入。入国審査も問題なく通過することができた。

「よっしゃー!久しぶりに風俗行くぞー!」

「その見た目で言うのはマズイから!あとお前未成年扱いなんだから裏から入ってくれ!頼むから!」

私のスマホはアイフォン5SでSIM刺さってません。モバイルWifiで足りるよねって結論に至りました。家にいる時は普通のWifi使います。そうしないとスマホゲーの動作が重すぎてつらい。


Q.ミズキの脇差

A.持っておかないとアカンでしょ。持ってないけど。

少し前のこの枠で「刀一本で戦うのが好きだから持ってない」みたいなことを書いた気がしますが、合ってるけど合ってません。

一応持っているけど滅多に使いません。というかカリンが保管してます。実はその脇差がミズキが使う魔法に結構関係してくるんです。

しかもミズキは元々魔法に強いわけでは無いので、使うと大体は体の方が先に壊れる諸刃の剣。そんなわけでミズキは脇差を「自分で持ってない」し、「滅多に使わない」んです。

まあ、そのネタも旧キャラの使い回しなんですけどね。本当は使わない予定だったけど考えてみたらミズキに活かせそうだったので代入。今回のシナリオで多分出番があるので必見です!

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