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雑竜種《デミドラゴン》とスマートフォン  作者: 皇 咲麻
Ver 1.8 終わりと始まりと雑竜種《アサカヒサメ》
76/126

#72 一月

大戦から三か月後、スマホ内時計換算では約九か月。工房には屍に近い状態の身体が床に転がされていた。

表のドアは施錠されており、壁一面に数多の実験パターンを記してはバツ印を書かれた紙が貼られ、製図用の机の上は工具だの昼飯のゴミだのエナジードリンクの空き缶だのでほとんど使えなくなっていた。

「ジルオさん……できました……」

「できたって……なにが……」

「謎の金属……たぶんこれです……」

「出来たのか!?」

重なり続けた実験によって体力が限界近くまで擦り減っていたジルオはイザベラの死にそうな声の報告で目が覚める。

「サンプルを摂って実験してを繰り返し……どれくらいかかりました?」

「92日と2週。まさかここまでしんどいものだとは思わなかったぞ……」

「新人、チップの解析の方は終わりそうか?」

「新人と呼ぶな!……魔術防御はとてつもなく高いが基礎的な防御を幾層にも重ねてあるだけだ。一枚ずつ剥がしていけば中身が分かる」

「すごいですよ新人!そんなに解析できてたんですね!」

「だから新人ではない!ルイエ・アンシェリアだ!」

昔にカリンを攫った事件の犯人の銀髪の男、ルイエ・アンシェリア。ミズキの居合により出血多量で息絶える寸前だったが、偶然(うっかり)ジルオに見つかりこっそり手当、ジルオ特製の人工心臓を左胸に差し込まれた。

それ以来、体内の一部を機械化して工房班としてジルオが強制労働させている。

「人工心臓に電気ショック機能なんて無ければ私も逃げだしているというのに……」

「生命機関に罠は当たり前だろ。悪さした奴をデメリット無しで生き返らせると思うか」

「じゃあジルオさん、私たちは金属を引きますよー」

「弄るのは良いんだが……せめてコピーはしておけよ?唯一無二なんだからな」

「え?もう流し込んでますけど……」

なんて思い切りがいいバカなんだ、と溜め息をつきながらジルオは額に手を当てて前髪を持ち上げる。

「……マジで注意しろよ、このギルドに時間操作持ちはいないぞ」

「分かってますよ。失敗したら反重力で定着する前に全部持ち上げれば大丈夫です」

「ほーん、その下の魔方陣はどう見ても反重力じゃなくてマグネシウム錬金だと思うんだが」

「わああああぁぁぁぁぁ!?さっき金属生成してたものから変えてませんでした!」

「オイイイイイイ!?急に中断するんじゃねえ!変なとこに金属付いたらどうする!」

「すみません!ちゃんと反重力差し込んでおきますから!」

基盤の下に元々あった魔方陣と入れ替えで掴んだ魔方陣を差し込む。すると―――。

「……む?そこにあった魔方陣を知らないか?」

「そこって……いま転がってたやつか?」

「赤色と黒色の印字がしてある六角形の魔方陣だ」

もしかして、と思いながら眺める机の下に差し込んだ魔方陣は、確かに赤色と黒色の印字がしてある六角形の魔方陣だった。

「え?これって……」

「魔法防御貫通属性付与魔法、つまり技術内壊(テクニケラ・ブレイク)だが……」

目を丸くした二人を横目に、基盤は焦げる臭いと共にパスン、と謎の効果音を放った。

「「ヮアアアアアアアアアアア!!!!!?????」」


「ヒっくん、おはようございます。あの大戦から今日で四か月、この国の立地にも馴染んで来ました。ちょっと国土が盛り上がっているのが不便でもあるけど……国民の皆さんが不便なく暮らしていて良いと思います。旧王国の反対側にはとても大きな湖があって、それの調査という国全体の課題もあります。あの大戦以降、ギルドメンバーは少しずつ増え、今では70人を超えてしまいました。そのためこの建物も拡張されて、部屋の掃除などが大変にもなりました。それでも賑やかに暮らせている今が幸せなんだと思います。……私はいつでも、ヒっくんが帰ってくるのを待っていますから」

この間更新したばっかりじゃない?(池沼)

さらに人が増えたし、訳の分からない単語があるし、おまけに時間の単位が違うせいで時間経過が分かりにくい。なんでこんな設定にしたんだほんとに。

ルイエは不本意に働いている感じがしますが、お家の重圧が無くなって結構ストレスフリーに生きて自分のやりたい研究を勝手にしてます。魔導が得意な時点で研究者気質なのはあったみたいですけど。


Q.魔術回路について

A.前回サラッと出てきてましたね。別にF〇teをリスペクトしたわけじゃないですよ。好きですけど。

この作品の魔術回路は「魔力と物体を繋ぐパイプ」の事を指します。様々な形が存在していて、平面だったり立体だったり、はたまた文字だったり液体だったり。魔力が入ればどうでもいい。

この作品でよくある「武器に魔力を流し込む」ってのは、特定の場所に魔術回路を仕込んでいるからです。ミズキの「神鳴」は柄の部分、ヒサメの「エンタープライズ」は内側のグリップから流し込んでるけどどこからでも流せます。

普通に魔術を使うのと違って、「武器に魔力を流し込む(魔術回路)」と「魔力を消費して術を発動する(魔法)」を同時に行うのでぶっちゃけ使う側も作る側も調整が面倒だし、する事が多いから術式の見た目がごっちゃごちゃになります。

ジルオは「それを綺麗に見せてこそ職人」とか言いそうですね。


Q.Ver 1.8(これ)いつまでやるの

A.次で最後じゃない?(確認してない)

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