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雑竜種《デミドラゴン》とスマートフォン  作者: 皇 咲麻
Ver 1.3 火山と鍛冶と亜水銀《アマルガム》
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#24 空の果て

山の頂上はなかなかに高い標高になっていて少しばかり空気が薄い。

それだけ天に近くて、少年の頃はこっそり抜け出してここから空を見ていた。

あの空には何があるのか、空に行ければ何が見えるのか、と。

そして『国を出た』と言われ、それでも止めず、いつの間にかこっそり作った出口は埋められてしまった。

それでも足りなかった。知らない世界を見たかった。知らない景色を見たかった。

ただ、それだけだった。でも、国の連中はそれを許してはくれなかった。

だから国を出た。数年かけて掘り続けた、家の地下からの国外直通トンネルを使って。

両親や国の連中に気づかれてトンネルを埋められたころには、アズドラークに密かに侵入して飢えで死にそうになっていた。

そこで一人の女に出会った。そこまで痩せては無かったが体中が傷だらけだった。

そいつがかけてきた言葉は「あなたも仲間はずれなの?」だった。

今となっては笑える話だ。俺は自分から仲間はずれになったのに。

そして、そいつと話しているうちに同じ状況に逢っているような奴がこの国にはまだいると聞いた。

そいつらを集め、徒党を組み、『仲間はずれの仲間』として集団生活するようになった。

廃屋のアパートを勝手に占拠し、そこらへんにあった材料で補強し、「不法占拠だ」と言ってくる兵士を力で黙らせ、そしてそれを繰り返すうちにメンバーは圧倒的に増え、アパートも大きくなった。

そして今、その仲間たちと故郷に来ていた。

「・・・結局何も変わって無かったじゃねえか」

「あ、いたいた、ジルオさーん」

山の噴火口近くの梯子を上ってくる音がする。最近増えた新人が俺を呼ぶ声だ。

「ん?・・・ああ、溶かし終わったか?」

「溶かすのは見ました、冷えた物を受け取るのはルリアさんがするって言ってたので。それ受け取ったら国を出るので伝えに来ましたよ」

「ああ、なるほど・・・わかった」

「・・・何してたんですか?」

率直な疑問の声。それは曇ってなく、ただ純粋に疑問を残した声。

「・・・空を見てたのさ。昔から空が好きでな」

「まあ・・・山の中からは見えませんよね。昔から憧れてたり・・・」

「したな。今でもあの先には何があるのか分からないままだ。この世界と同じ、いくらでも見えるのに詳しくは全然わからない」

「ロマンありますよねぇ・・・俺も昔は宇宙飛行士になりたがってましたよ」

「う、ちゅう・・・?なんだ?」

全く知らない単語が聞こえてついついそのまま聞き返してしまう。

「気にしないでくださいよ。まあ言うなれば・・・あの空間(宇宙)に行きたがっている子がたくさんいるんですよ」

「へえ・・・そうなのか。やっぱりあの先は分からないことだらけなんだな」

「・・・あ、そうだ。親父さんから預かり物がありますよ」

「俺に?ロクな物じゃなさそうだが・・・」

渡された包みに入っていたのは―――大理石のように輝く長方形の石。

「これは・・・・・・砥石か?」

「見た感じでは何も変哲が無さそうですけど・・・」

それもそうだろう。持って触って分かる、きめ細かくてなめらかな、かなり質のいい砥石だ。サイズは手に持てるほどであまり大きくは無いが、この大きさでもかなりの値段はするだろう。

「・・・ん、何か手紙が・・・・・・」

包みの裏に張り付けられていたのは手紙。しかも随分古くて変色が結構進んでいる。

ロクなことが書かれていないだろうな、と思って開けた手紙は―。

「・・・『門出祝いを渡していなかった』・・・はあ」

実際、いい感じの感想が浮かんでこない。今まで散々厳しくて、つい先ほども厳しかったような人物から急にこんなものを渡されても困る。

「・・・・・・ジルオさん、何年前にこの国を出たんですか」

「あ?8年前だよ・・・それが・・・」

「これ、紙の変色具合からして最近書かれた物ではないですよね・・・?」

そこで言われて気づく。・・・そうか、最初から用意されていたのか。

いつか渡そうと、ずっと昔から用意されていた。

しかし渡す前に、息子は勝手に国の外へ旅に出てしまった。

「・・・いい親父さんじゃないですか」

「バカ言え・・・こんな親父がいい親父なんて言えるかよ」

正面から「独り立ちおめでとう」の一言も言えない親に、いい親父なんて呼びたくは無かった。

それでも「クソ親父」と呼ぶ勇気は、この時に消え失せてしまった。

「お、いたいた~・・・中身は何だったの?」

「砥石らしいです。詳細は良く分からないですけど・・・そっちは貰えました?」

「黒い長方形の塊が貰えたよ。急に冷やして密度が薄いから後でもう一度加工しろって」

「まあそうでしょうね・・・じゃあジルオさん行きますよー」

「・・・ああ、わかった」

軽く涙を拭って、手紙をポケットに乱雑に突っ込んで歩き出す。

確かにこの国には戻りたくはない。狭苦しいし、世界を見渡すことも出来ない。

ただ、たまには親の顔を見る事も必要だと感じた。

「ミズキ君は任務のやり方なんとなく分かった?」

「俺ギルドメンバーじゃないし、これ金のために来てますからね?」

「大丈夫大丈夫、この国との交易で人件費を引いても全然プラスになる金が入ってくるし!」

「クソッ、任務受ける時にもっと金額交渉しとけばよかった!」

星が万遍なく散らばる空を見ながら、拠点の国へと足を進める。

宇宙のように深く輝く、未知の黒い金属を持って。

そしてこの金属が、彼(ヒサメ)にとって障害愛用する武器になることを彼はまだ知らない―。


Q.書いてて気にしてるところって?

A.作家さんによって人それぞれですしょうね・・・私は登場人物の比率を結構気にしています。

ハーレムが好きかどうか、登場人物の特性のバランスなども関係すると思います。

私はハーレムが苦手なので登場人物の比率は男女で大体1:1になるように、キャラの役割は被らないようにします。キャラ名とかは気にしません。

キャラ名を気にしないせいで「ルイラ」と「ルリア」になっちゃうんですよね。今でも時々間違えます。ルリアは略しているだけだし多少はね?

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