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雑竜種《デミドラゴン》とスマートフォン  作者: 皇 咲麻
Ver 2.2 席と勲章と統合協議《グランド・レファー》
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#113 第四試合

第四試合

ギルド『南』:鉄糸の騎士「アルカディウス・グラシア」

対

ギルド『西』:魔術錬金の才「イザベラ・アルデルツ」(代理:アサカヒサメ)


第四試合の始まりは、思いもよらぬ場所から始まった。

「……ん?なんだ……?」

用意されたエナドリを手に取って蓋を開けながらスマホを眺めていたその時、スマホの画面に奇妙なことが起きたのだ。

表示されているグラフと数値が―――秒単位でありえないほどに変動している。

「なっ!?ちょ、ちょっと、えっ?」

「なになに、どうしたのヒサメ君―――うわぁぁぁ……」

「このタイミングで皆がみんな票を動かしてる……ってのは無いですよね……」

「そもそも最初に置いたら動かせないからね。うーん、数値に頼るなって事じゃない?」

理解不能の異常数値が画面に映ってても動じることなくルリアはジョッキに注がれた酒のようなものを飲んでいる。『ようなもの』な理由としては、匂いは良いとして、見た目がどう見ても酒の色をしていないからなのだが。

「なんでそんな落ち着いて……何か知ってるんですか?」

「いや全然。というか次って誰なの?」

「えーっと、四回目はイザベラさんじゃないですかね」

返事をしない代わりにとても満足そうな頷きをルリアは見せる。

「うん、しょうがないけどイザベラはそういうことするよ」

「そんなことって何!?えっ、そんなことって本当に何ウオォォォ!?」

ついにはスマホが読み込みの重さに耐えきれず画面が固まり始めると同時に視点カメラが砂嵐に包まれる。魔力で動いているのにこんなアナログテレビのような現象が発生するのか。

「イザベラはね、予測できないようなことを勝手にすることには定評があるんだよ」

「にしても予測できないって、普通こんなことあります!?」

数値が変動する、映像が揺れる。どちらも全くつながりのなさそうな超常現象。それらを全て、たった一人があの空中で引き起こしている。

『オーイエ、カメラが揺れるのは映像的に困るぜ』……あれ、マイク入らなくなった?」

追加でさらにトラブル、まさかの音声機器に障害が発生。映像に音声に、何か規則性があるようなないような―――。

『どーーーーーーぅうもぉ~~~~~~~~!!!!!』

そして、法則を考える前に設置されていた拡声器から聞き覚えのある女性の声が爆音で全国放送。

『映像バラバラ、得票バラバラ、そして音声ジャック!そんなことが一瞬で出来ちゃうスーパーな魔法使いがこの私っ!』

ブツン、と接続が一瞬切れた音の後にカメラに映し出されるのは―――。

『激ヤバ魔法使い、イザベラ・アルデルツでーっす!!!』

斜め上からの決めポーズを的確に映しているイザベラだった。

「あー……あれ飲んでるね」

「ちょっとマジで何してくれてんのあの人オオオォォォォ!?」

全国放送で、全国放送でギルドの看板に自ら泥を塗る素晴らしいマイナス宣伝活動。

いつもの様子からは想像はできるけど普段見ないような、ありえないほどのハイテンション。よくよく見れば顔がうっすら赤いし足元がふらふらしている。

「確かにこの試合は殺しをしなけりゃ大抵何してもオッケーだけどさぁ……」

「なんで準備室に酒があったんですかね、そしてなんで飲んだんですかね……」

『ここ数試合が殺伐としてたし、ここいらで気分転換ついでにひゃっほほー!』

「文になってねぇ……」


そして同時刻、闘技場フィールド。暮らしアハ目の前を千鳥足でふらつく対戦相手であろう人物をげんなりした目で見ていた。

「ひょっほほぉぉおおおっへ~!!!」

(なんだ、なんだこう、もっと真面目さとか無いのか……)

これでは試合にならないだろう、だからと言って手加減していい舞台でもない。ならば相手がどうであれ、正面から挑み、そして剣を振るう。

「……我は鉄糸の騎士。アルカディウス・グラシア、我が愛剣の一振りで、その浮ついた頭を沈めてくれよう。はあッ!!!」

視線が一致しないイザベラをよそにグラシアは重々しい鋼の両手剣を構え、そして方から突進するように前に切り込む。その体験は、半月を描くように上から下へと―――。

振り下ろされる最中、頭上で金属音のようなものがすると同時に剣ははじき返される。

「ぐうッ!?」

「あー、うるさいなぁ……自己紹介もしてないのに切りかかるとか、人としてどうかしてますよ、人として」

イザベラは瞬時に正気に戻ったかと思いきや、二日酔いのごとく頭を抱えてけだるそうに不満を吐く。

「あ、もしかしてさっき挨拶とかしてました?すいません聞こえてなくて……あー、頭痛い」

やる気も動きも完全にゼロに等しい、飲み会後のテンションでつまらなさそうな顔をしながらイザベラはいつの間にか右手に持っている黒い六角柱をくるくると振り回す。

先ほどの一撃を防いだこの六角柱。鉄パイプのような太さで長さはイザベラの丈よりも長く、まるで漆塗りのような光沢を放っている金属の棒。

「いやあすみません、ボトルに入ってたのがどうやら酒だったみたいで。ちょっとマジで後でジルオさん殴る、あっヤバ吐きそゔっ、あぁぁ……」

全七試合の中間点、第四試合は映像機材と配信環境の不調により開始が少し遅れてしまった。

まあ、実際はイザベラが開始直後に胃液を吐いたがためにスタートが少々遅れてしまったのだが。

一週間丸々開けてしまい申し訳ございませんでした。そして今回も薄文。

いつもはあっさり風邪にやられてすぐに治る、というのがパターンだったのですが今回は五日間ほど瀕死状態でした。いい加減に成績が危ない。

季節の変わり目は腹痛に注意、という例年の予想が若干あたりで若干はずれ。腹痛以上に頭痛でしたし。

そんなわけで課題に必死の人身が瀕死、次の更新はまた日曜日だと思っています。

冬が近づくにつれて課題系が増え、もしかしたら修一が不通になるかもしれませんが、人生を楽しみながらのんびりと待っていただければと思います。

それまで私も必死にレポート書いてるので……

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