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雑竜種《デミドラゴン》とスマートフォン  作者: 皇 咲麻
Ver 2.2 席と勲章と統合協議《グランド・レファー》
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#111 第二戦

「うわっとっと!なんなんですか名乗りも開始の合図もなしに攻撃とか!?」

「うるさいぞ、私の髪に文句を言う者は死ね」

「うっわー!殺したら負けルールなのに堂々と死ねって言ってる!なんでギルド団長なんてやってるんだこの人!」

一定間隔で地面から突き出る茨の槍を反復横跳びのように軽々と避けながら的確な煽り。普段のまじめに仕事をしているシャルとは違う、完全に近所の悪ガキの行動パターンだ。

「……そもそもなんだ貴様は、ただのガキが入れる場所ではないぞ」

「アルゴノーツ工房班銃火器系担当、シャムシールです。あのギルドだと僕は一、二を争う弱さだと思います。まぁ―――」

そしてシャルは手を背中の後ろに伸ばし、ローブの下から武器を取り出す。―――それが、始まりだった。

「『僕は』とても弱いですからね」

ガチャコン、と機械音がする筒が出てくる。両手で支えて丁度いいくらいの大きさと太さ、そして生憎にもこの武器を、相手バズリアは目撃したことがあった。

(あの、武器は、竜のガキが持っていた、筒―――)

突如浮いた古代遺跡の浮島、あの場所でヒサメのエンタープライズを正面から食らっている。だが、それとは形状が変わっていて、あの筒よりも丸く細く、そして長い。

「消し飛べッ!!!」

シャルの小柄な体で支えられるのが不思議なほどに衝撃と爆風を伴いながらその大砲は砲弾を発射する。爆発的な推進力を持った鉄の砲弾はまっすぐに直進して標的へ。

「……フン」

それには驚きもあったがすぐさま対応、地面から何重にも生やした幹のような枝で食い止めて威力を無効化、爆発の衝撃も完全に防いだ。

「じゃあ次」

視界を自らの魔法で塞いでしまったが故の失態。大砲の衝撃を防いだ直後に前へ踏み込んだことにより目の前にシャルが間に合う。その手にあるのは―――。

―――なんだこれは。

形状が見たこともない金属の塊。ただそれは金属の固められた球を発射する近代武器、『銃』と呼ばれるものに近くて―――。

「ッ……!?」

「しゃーせー」

耳をつんざくほどの爆音をまき散らしながら光を放つその武器は、通常の突撃銃のマガジンを増やして発射レートを上げた代わりに命中精度を失う武器、所謂機銃(マシンガン)と呼ばれるべきものなのだがこの時代にその呼び方は知られていない。

先ほどの大砲と同じく弾は重く鋭い鉛玉。生える植物のペースと同等かそれ以上の速度で機銃は身を守る樹木に穴を開けて散らしていく。

(なんだ……なんだこのガキ!?先までのへらへらしていた状態からの切り替え、この武器……どう考えてもただの団員ではないぞ!?)

「あ、詰ま(ジャム)った」

ガチン、と固まる音。銃においては一番致命的な、最悪とも呼べる大惨事。オートマチックタイプでは使用不可能レベルまで追い込まれる大事態。

(トラブルか?ならば―――)

「じゃあ次」

反撃のすきを窺う余裕もなく次の武器が展開される。小柄な体の背中に収納されているいくつもの武器はどうやって所持しているのかという疑問を考えさせてくれる暇もないらしい。

「てってれー、回転式機関銃(ガトリングガン)」

「なん―――うッ!?」

差も当たり前のように出した樽のような武器はその少年の身柄よりもはるかに大きく、発射される速度は先ほどよりもさらに早い。乱雑に弾痕を残す機銃は威力と速度で強引に突破。

「このっ……はあッ!!!」

「うっ!?」

突破されるとほぼ同時に噴出される魔力の波動。魔法ではなく魔力の噴出、生まれ持った才左右される魔力で押し付ける圧力。強力な風にその小柄な体は吹き飛ばされ―――ない。

金属の塊をいくつも背中に背負っている状態ではいくら体が小さくとも浮かず、その足元に何かを投げて『あえて後ろに下がる』。

だが、その一瞬では何が起きたとも気づかず、衝撃で吹き飛ばされたように見えてしまう者。

「よくも今ま……ヴッ!?」

先ほど投げられた謎の物体が弾けるとともにバズリアは激しく上空へ射出、魔力放出系の衝撃で上空に飛ばされ自由を失う。植物系統の魔法の使い手は周囲の水と風でその場に栄養を偏らせて発動させる魔法、周囲に何もない空中では無力でしかない。

「いやー、試作の魔力衝撃破裂爆弾(インパクトグレネード)、結構威力強いんだなー……」

人体に使うには結構リスクが大きいんだな、と呟きながら背中から新しい兵装を取り出す。それはあまりにも大きく、細く、それでいて―――あまりにも遠距離用、ボルトアクションタイプのスナイパーライフル。

どう見てもローブに収まる大きさではないが、大部分がローブに覆われている時点で認識出来なくなるので背中に積んでいることを最後まで悟られなかった。

……まあ、この一対一の試合で遠距離用武器を担いでいることが判明したところでそこまで注意するものでもないと思うが。

「防げるものもない空中で、属性も何もない武器で、今こそ王手って感じ!」

支えを斜めに地面に突き立て、空中で制御できずに回転しているバズリアをスコープで覗く。

「この機会に自分の実力と頭髪を見直してきてくださいね!」

笑顔でトリガーを引いたシャルの大口径銃弾は、風にも左右されずに見事な直線を描いて、空を切るように空中を舞うバズリアを貫いた。

ちょっと遅れました(アホ)

お知らせなのですが、来週一週間は広島への実習期間があるので更新が出来ません。

次回の更新は再来週の水曜日になるかな、という見立てになってます。理解していただけたら幸いです。




予約掲載しておけばいいじゃんって?そうだね、その通りだね。でもやってないんだね……ガチエリアに必死になってたんですゆるして

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