#110 休憩枠
「今回の戦いは点数に表すとどのぐらいだろうか」
「0点ですよ!れーいーてーんー!殺すなって知ってますよね!?」
「だから殺さない範囲で終わらせただろう。そもそも本領発揮してないのに勝手に自爆した相手も悪い」
「あんなの当たり所によっては絶対に死ぬ奴だから!血ダバダバに流れてましたからね!?」
そして返事が面倒臭くなったのか通話を切られる。
「マジで初戦から何してくれてんだよあの人……戦績は俺扱いなんだぞ……」
どういう採点基準なのか分からないが各個人ごとに謎のポイントがあるらしく、常にそのポイントが上下するグラフを表示してくれる映像チャンネルがある。どうやらこれがいわゆる『賭け相場』のようで、グラフの下に表示されるコメントが嵐のような速度でスクロールして流れてゆく。
「『一瞬で決着』『初戦から無傷とか』『これは期待』『全突破あり得るか』……だってねぇ。こんなんじゃ俺の番が回ってくる頃にはどうなってんだよ……」
目まぐるしいスピードで流れるタイムライン、サッカーの世界大会を見ながらSNSを開いている気分がする。
「今回のメンバーはかなり強い人が纏まってるよねー……うん、全勝突破は全然ありえると思うよ」
「ぐおおぉぉ……プレッシャーが、プレッシャーが凄い……」
この会話一つ一つが放送されているせいでいろんな声がタイムラインに表示される。心の声が張本人に届いているとは知らずに好き勝手呟く人たちは自由でいいなぁ。
「さて、次の相手は……第九席のアロエだね」
「オブリビアスさんでしたっけ。名前覚えてあげましょうよ……」
「ヒサメ君はあのアロエ頭って一回倒したことあるよね?」
「俺……正確には俺とレイラですね。一人で戦ってたら無理だったと思いますよ。俺って遠距離武器がメインなので」
「そうそう、ヒサメ君って魔導書以外の持ってる武器って大砲とか火球筒とか、なにかと遠距離向きだよね。近距離嫌いなの?」
「え?だって至近距離で剣食らって死にたくないじゃないですか。遠くから安全に攻撃して、何かあったら逃げれるようにするのが俺ですよ」
「最っ高にクズだね~!!!」
「だから俺こんなとこにいるべきじゃないって何回も言ってますよね?」
こんなインタビューみたいなことされてていいのか、とは思っているが、マイクを切ったグランツさんが持っているカンペに『あと一分くらいよろしく』って書いてあるからこれでいいのだろう。
「で、ヒサメ君がここにいるってことは」
「まあ、そういうことですね。言っちゃうと俺が出るのは最後の二試合だけらしいです」
「次に出るのはお楽しみとして……ヒサメ君的にはどう?」
「えーっと……俺からしてみれば全然戦闘要員には見えないんですよね」
最初に会った時から戦闘向きには見えない、というか完全に事務・雑務系等を担当しているタイプのように思っていた(思えば、初めて会った時の話をしてしまうとルイラも全然そんなようには見えなかったのであまり信憑性はないが)。
「個人的に心配してるんですけど……本人に言ったら『他人の心配よりまずは自分の心配を』って言われまして」
「第二席にそれを言うとは、なかなかの強者だね」
「いやー、俺が弱いのを見抜いてるっていうか、理解があるって言うんですかね」
同時刻、待機部屋。……のはずなのだが、誰もが疑問を持つほどの機械音が中から聞こえてくる。
「……調整よし、弾倉よし、リロード機構不備無し。あとは弾詰まり用の対策を……時間なさそうだしそれはいいや。最悪捨てればいいし」
複雑に組み合わせたような金属の塊を持ち上げて肩の後ろに引っ提げ、身の丈に余る外套の裏に。ゆっくりと上がる鉄格子の先へ、武器を持たないように見せながら進む。
「……やはり代理か。あのガキはよほど自分の戦績を気にしないらしいな」
「ご僭越ながら言わせていただきますが、その、植物のようなあなたの頭髪も少々気にしたほうがよろしいかと……」
第二試合
ギルド『東』:植腕の賢人「オブリビアス・バズリア」
対
ギルド『西』:機銃乱射魔「シャムシール」(代理:アサカヒサメ)
すまねぇ……三連休だからまだ原稿やらなくても大丈夫だろって思っててすまねぇ……!
はい、Undertaleのせいってことで、どうにか、はい……。




