#104 議題
【お詫び・お知らせ】
前回の9/16、0時更新の予定だった分が日付設定ミスにより翌日の投稿となっていました。
遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした。
第二議題、国民からの税金徴収率及び使用用途。
「ルリアさん、所得税って税率いくらなんですか?」
「基本一割。……なんだけど、官吏によって微妙にズレがあるみたい」
「……いや、所得税なんだからバラつきがあっちゃダメでしょ。統一しましょうよ」
「これには反対のしようがないな、ゴネる奴は首を刎ねていけばいい」
「そうなるといなくなる分の人数はどう補うのですか?」
「役人なんていつの時代も募集過多じゃろう。この機に採用条件も見直せば良いのでは?」
「官吏の採用条件って何なんですか?」
「あーっと、『家柄』『常識』『社会的地位』……じゃったかな」
「ルリアさん、全改定で」
「はいはーい、となると現在の官吏を全員一旦辞めさせて再就職、制度に反対した奴を追い出して新人採用の幅を拡大、ついでに採用試験の改善。ってことで、次!」
第三議題、勲章制度とその評価性について。
「これ、俺が一番気になってるんですけどどんな仕組みになってるんですか」
「ほほう、第二席の最高位勲章持ちがその発言か」
「俺、つい一時間前くらいまであの勲章のこと『紫色の綺麗なバッヂ』としか思ってなかったんですよ?」
「そもそもその価値を知っておればこの会議を忘れることはないだろうしのぅ」
「厳密に公表することはできないんだけど、王室管理局で勲章を授与するに値するかを判断、その積み上げで上がるシステムだね。実は積み上げた功績によって位は同じでもリボンの長さとかちょっと違ったりするよ」
「……俺とアルバさんのってそんな違いあります?」
「紫枠章は普通のサイズととても長い物の二つしかないと聞いたぞ」
「俺とアルバさんが同じサイズってことは、とても長い物ってのは……」
「お察しだな」
「この議題内容があるってことは改善しろって事かな?それとも詳細を出せって事だったのかな?うーん、どうなんだろ」
「本人もよく分かってない理由でこの場にいる人も多いからでは?」
「俺か」
「僕?」
「儂じゃな」
「私ですね」
「……この話題は止しておかないか?次回の会議で何人入れ替わってるか分からないぞ」
「誰が抜かれて誰が入るとか面倒だから総入れ替えでいいんじゃない?」
「「「「「「第一席がそういうこと言うんじゃない」」」」」」
「こ、この話題やめよう!次!」
第四議題、魔法道具の使用規制について。
「…………これ必要なの?」
「ほら、すぐそう言う奴が出てくる」
「これに関しては何人か魔法道具を使う人がここにいるからねー……」
「剣や弓が規制されていない現状からして、魔法道具が規制されてもあまり変わらないんじゃないのか」
「ルリアさん、魔法道具の定義ってなんですか?」
「名前の通り、魔法が放てる道具。自分以外の魔力供給源を用いて使用する道具がこれにあたるね。ヒサメ君が持ってた火の玉飛ばす筒もこれに引っかかると思うよ」
「あ、魔力固めた球を破裂して撃ってるから『自分以外の魔力を消費している』ってことになるのか……元は俺の魔力なのに複雑」
「そもそもこの議題は国民からの要望持ち込みで議題になったんだけど……これ持ち込んだの誰?」
「俺だが」
「キールなの?じゃあ……これって……」
「小型の安価な魔力道具すら手に入れることが出来ない者たちの妬みのようなものだな」
「どうしろってのよ……」
「賃金改定でこの類の問題が減ってくれることを願うしかないんじゃないですか?この手の質問は居住区分別問題を改善してからじゃないと無くなりませんよ」
「魔法道具を売る店の値段にも注目しておくべきだね、均一的な価格調整をしておかなければ改善する前に自壊する可能性もあり得る」
「うーん、じゃあいったん保留でいい?全体の賃金平均が上がってきたら値段改正実行って事にしとくね。次!」
真面目な内容に誰が持ってきたか分からない保留議題を挟みながら、テーブルに座らされたまま約二時間。
『今回の議題は以上!このまま昼の休憩を挟んで午後に、の前に居椅取り対戦打ち合わせをするよー!』
あぁ、やっと終わったと安堵して上半身を机に乗せた状態でぐったりしていたのにまだあるのか、というか反応的にはようやく本番か。
『午前はひとまずお疲れさまってとこね。最後の方はこっちが喋らなくてもちゃんと会議出来てたじゃない』
「うっせぇ!レイラお前絶対途中で音声入力切っただろ!何も聞こえなかったから気合いだ気合い!!!」
『こっちは大騒ぎなのよ。午後の賭け額が早くも出てるわ』
「……賭け額?ちょっと待て、午後の奴って今後の席次争いじゃねえのか!?」
『表向きはそうよ。でもそれで民衆が満足するわけないじゃない、白熱する試合の裏には津波のごとく動く金の山よ』
ほんとこの世界はロクでもない、とは言いたいのだが……確かに形式上賭けは発生しそうだし、あのギルドがそういうもので盛り上がることも承知だ。
『最初に基本賭け額が公表されて、それが組み合わせにより変動する感じね。ルリアさんの倍率が0.05なのはみんながみんな大笑いよ』
「そりゃあの化物相手に勝てるのなんて数えられるかってもんだぞ……え、それもしかして俺もあるの?」
『あるわよ。えーっと……』
別に戦いたいわけではないし全速力で逃げたいのに変わりはない。でも、そういうスコアボードのようなものに名前を出されるのは不本意ながら少々興味がある。
『……あら、一番高額よ。742倍ね……ちょっと面白そうね、第二席に一万』
「なんでリアルタイムにレイラまで賭けてんだよオイ!!!」
『別に気にすることなんてないわよ。でも易々と負けてきたらその身体、十七に分解するから』
「全然気にするんですけど!誰と当たっても余裕で死ねるんですけど!!!」
これは最高に困ったことになった、戦ったら死、逃げても死。まごうことなきパーフェクト・デッド・オア・ダイ。
「……俺は誰に助けを求めればいいんだ」
『神にでも祈ればいいんじゃない?』
レイラに言い返そうとして言葉を口の中で留めて、そのまま喉の奥に戻す。
俺は知ってるんだ。神様はピンチの時だけ祈って願いを聞いてくれるほどやさしく慈善的な存在ではないと。
誰に言っても通じないもやもやを胸に残して、レイラの返事に呆れながら相槌を打つしかなかった。
前書きで前回の遅れたお詫びだったのに今回も遅れてしまいました。申し訳ございません、今回は日付選択ミスとかではなく完全に間に合っていませんでした。ペース配分調整の失態。
それと、今回は会議中の全てが会話文となっていて情景描写が存在しません。これは人数が多すぎるから逐一まとめてると内容の割に文字量が多くなりすぎてしまうのと、場所は何も変わらないから表現するものが少なくて「だったら全部省けばいい」という結論に至った理由です。次回からはいつも通りの描写にする予定です。ようやくいつものテンポに戻る感じですね。
実は今回の会話文オンリーな理由の一つとして「書いてるうちに誰が何喋ってるのか分からなくなったから」というのもありますが、いずれどうにかしないとなぁくらいに考えてます。そもそもキャラグラ定まってないのに人が増えると書き分けがとても大変、ということに今週気が付きました、南無。




