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雑竜種《デミドラゴン》とスマートフォン  作者: 皇 咲麻
Ver 2.2 席と勲章と統合協議《グランド・レファー》
105/126

#101 人物紹介

突如両耳に鳴り響く爆音と歓声が頭をくらくらさせる。花火が間近で爆発したときのような衝撃だ。

「な、なに!?何だ!?」

「演出だよ、ルリアに担当させたらこうなるって事さ」

アルバは机に置かれたお茶らしきものを平然と啜(すす)る。この爆音ごときではもはや驚かない、という裏の意味合いが慣れ切った関係を表しているんだなぁ、とは理解できるが……このドッキリみたいな演出で微動だにしないとは。

『この度、この会議に集ったのは全員がこの王国で集められた権力と強さのトップランカー共!見るもよし、騒ぐもよし、賭けるのもよし!この日はグレーな部分が大体ホワイト、国家全体のお祭り騒ぎだぁ!!!』

待て、いろいろと言いたい部分がある。なぜか俺がトップランカー扱いされてるのと、グレーな部分が大体ホワイトって国家として大丈夫か?意味合いとしては警察があまり働かないってことなんだろうが、それでも十分ヤバいとは思う。

「……ここにいる人たちって全員が武力のトップですか?」

「そんなことはないぞ、第十三席の爺さんは魔法適正も武器を振るう筋力も無い」

「えっ、じゃああの人どうやってここに……」

「あれは『語り部』なのだ。個々の会議の内容を一人称視点で面白おかしく、わかりやすく国民に伝えられる唯一の者だな」

唯一、ということはほかの人たちはそこまで国民に話を伝えられない、もしくは戦力特化しすぎているということか。俺も出るならせめてその辺が良かった。

『さぁて、今回の出場者紹介―!例によって今回も出場者は直前まで完全非公開、今年から一枠追加されたことによりさらに予想が難しいものに!さーて、下から公開するよー!』

ルリアは意気揚々と紫色の四角い箱を持ちあげて歩く。先ほどのスイッチは上にあったようなのだが、上方面以外にも穴のようなものがいくつか存在している。

「アルバさん、あれって何ですか」

「あれは魔力現像投影機構、あれを向けると国内で一斉配信されている放送電波に乗ってテレパスの映像受信につながる装置さ」

「つまりはテレビ……いや映像式ラジオ?どちらにしろ技術が進んでるなー……あっ、俺のスマホにも映る」

テレパスの画面を開いてフリックをすると連絡帳が開く、その中に『公開電波』なるものがあったので押してみたら目の前で撮影されている映像が。ライブ配信だけの動画サイトのようなもの……なのか?

『まずは一番下の第十三席!今日の体験は明日の伝記、コミュニケーシングライフハッカー、アゼット爺ちゃん!お察しの通り後半戦は不参加確定!!!』

「この老体を見てむしろ参加させようとする根性はどこから湧くんじゃ!!!」

マイクを持って高らかに言葉をつなげるルリアにキレかけながらもあまり悪い気はしていなさそうな、背骨が曲がってしまった白髪のお爺さんの前に箱が置かれる。

『ここからテーブルを横にスライド!第十二席、気づけばあなたの後ろに、トラブルウォーカ・ルイラ!!!』

「ちょっと、なんで私の紹介が人災みたいな感じなんですか!?あ、私ですよ!見えてます?あれ、これ見えてる?イエー!」

配信機械の性能か映像に若干ラグがあるためか、ワンテンポ遅れて下から歓声が聞こえる。そこそこの人気と知名度を持っているようで何より、これで変な男に捕まってないといいが。

……俺が変な男だって?何を今更。

『次いっくよー!第十一席、国民教育部署長、フォルバン・ワイズ!彼もいつも通り後半戦不参加枠!!!』

「私は会議しに来てますからね」

四角い箱の丸い穴の部分に向かって手を振りながら柔らかい笑顔を見せるベージュ色の髪の毛をした七三分けの男性。国民教育部署、ということはルリアさんが自分で作ったっていう機関の人だからある程度話は通じる方だろう。

『ハイ次!第十席、映る白銀は刹那の閃光、絢爛の刀使、ハヅキ!本日はいつもに増して元気!!!』

「立場という言葉の壁が無ければこの人を即刻叩き切りたいんだけどなぁ……」

「おおっと、さすがに私は叩き切らないでね!?司会の仕事あるんだから!」

いや、突っ込みどころはそこじゃないだろとほぼ全員が心の中で思ったであろう。

『お次は第九席!東のギルド、ワシントン団長、植物の右腕、采配の左腕!オブリビアス・バズリア!』

「フン、随分とうるさい紹介をしてくれる」

子の人が一度大戦前に見に行ったアロエ頭の植物魔法の人。……今なら魔法知識がある程度あるからこその疑問だが、植物魔法ってなんの魔法だろうか。水か風の発展形?それとも特殊魔法?かなり気になっているのだ。

『よし次!第八席、平和は言葉と拳で語るもの、物理的平和主義者、アーデルト・ステイン!』

「その説明だと俺がかなり物騒な感じの言い回しに聞こえないか?間違ってないんだろうが」

見た感じは温厚そうなツンツンした髪型の黒髪の男性。……黒髪を久々に見た気がする。

一人紹介するごとに王城の周囲ですさまじい感性が響くのが上にも聞こえてくる。事前まで公表していなかったのもあってかなりの盛り上がりを見せてくれるのが面白い。

『ヤバい尺無くなってきた!第七席、最も細く最も固く、鉄糸の騎士、アルカディウス・グラシア!あ、南のギルド副団長!団長はただいま自宅謹慎中でーす!』

「雑になってきているのが目に見えてわかるぞ、というか余計な言葉が多すぎる」

俺と同じくらいに見える銀髪の整った顔の男性。というかまた御南のギルドは団長が不祥事起こしているのか、一年半前もなんかそんな話題を聞いた気がするのだが。

『第六席、雷魔法ならコイツ、狂乱雷人、タングス・トリニアム!今回も最年少枠の15歳!』

「いえーい!今回も楽しむぞー!」

こっちは金髪のツンツンしている人。今の説明からして雷属性主体なのだろう。……というか、もしや『他の属性が使えないから極めてみました』という、レイラと同じタイプなのでは。

『いやかなり時間ないね!?第五席、魔法学校首席通過の期待の新人、属性全持ちの秀才、エーデルガント!ギルドはカロライナ所属!』

「わざわざ所属ギルドまで言ってくれるんですね、なんかお恥ずかしいです」

いかにも優等生っぽい雰囲気と行儀良さで椅子に座る育ちの良さそうな黒髪の少年。何かとカラフルな髪の毛のこの世界で黒髪を見れることがここまで安心できるとは。

『第四席、ギルド無所属、下町の賭け試合上位常連、冷徹の蒼、キール!』

「常連とはなんだ、トップじゃなかったときはお前が乱入してきたときだろう」

「むー、私だってそういうストリート試合出てもいいじゃん!」

良くない、絶対良くない、かなり顔が知れてる人がそんなグレーな部分に腕試しついでに行くんじゃない。あとベット金額差がすごいことになってそうとも思う。

『いよいよ紫枠章(クラスファイブ)持ち!第三席、北のギルド、カロライナ団長、お願いしたら二倍で返してくれるイケメン金髪、アルバトリアム・ド・ルマンセ!』

「何かと含みが多くないか?まあいいが……」

『第二席、今回初参戦の大穴ダークホース!好きな言葉は他力本願、黒い角と巨大な大砲を携えた邪竜の亜人、アサカ・ヒサメ!』

「……あっ、今の説明って俺!?あ、どうも俺です、イエー!」

『そして第一席、私ルイゼリア・グロリアードを含んだ十三名で本日は進めてまいります!午前の統合協議(グランド・レファー)、午後の居椅取り(ベースキッカー)、どちらも映像を前に手に汗握りながら見ていただけると幸いです!午前の部は今から約十分後!以上!』

言いたいこととプログラムを読み上げてリアクションを待つ間もなく箱のスイッチを押す。それでも鳴りやまない歓声はよほどこのイベントに対する期待があるのだろう。国家単位でここまで国民の関心が高いイベントを開けるのはかなり特殊な方ではなかろうか。

「……あと十分後か~……」

「トイレにでも行ってくる?始まったら行けないからね」

「あっ、じゃあ今のうちに……ここってトイレどこですか」

「一階の階段横にある通路の突き当たりだね」

何の疑問も抱かずに返答を返すルリアの言葉に体が固まる。え、一階?ってことは、もしかして、あの階段を……。

「階段降りたらかなり時間かかるけどここから外に向かって飛んだら早いよ!」

「ルイラヘルプ!!!ヘループ!!!!!」

なんかめちゃくちゃ人が出てきた?大丈夫です、半分くらいはこれっきり出す気ないキャラ群ですので。

真面目な話をするヒサメが書きたかったけどそれを書くまでの段取りが長すぎてめんどくさい、と思った時にはもう手遅れでしたね。今回はこんなお話、ちゃんとした会話も戦闘シーンもあります(書くとは言ってない)。


まあ、半分くらい内容決まってないんですけどね。次とその次くらいしか考えてないです。

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