↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/10

第9話 泣きつきに来た元家族と、公爵のお出迎え(後編)



「せ、宣戦布告だなんて、滅相もない……!」

エヴァーハルト伯爵は床に額を擦り付け、必死に命乞いを始めた。


「エリアナ! 頼むからお前から言ってくれ! 私たちは家族だろう!? お前が戻ってくれないと、エヴァーハルト家は取り潰しになってしまうんだ!」


(今更『家族』なんて便利な言葉を使わないでほしいわ。私がブラック労働させられてた時、一言でも優しい言葉をかけてくれたっけ?)


私は冷たい視線を父親に向け、凛とした声で言い放った。

「お断りいたします、元お父様。私はすでに、あなた方からエヴァーハルトの籍を抜かれ、国外追放された身です。今の私は、ギルバート様の婚約者。あなた方の命令に従う義務は1ミリもございません」


「エリアナ、貴様……!」

第一王子が血走った目で私を睨む。


「国を見捨てる気か! お前が戻らなければ、我が国は魔物に滅ぼされるんだぞ! 聖女としての義務を果たせ!」


「ふむ、国が滅びるか」

ギルバート様が退屈そうに、王子の言葉を遮った。


「ならば、我がギルバート公爵家が、その滅びかけた国をまるごと『買い取って』やろう。すでに貴国の主要な商会、鉱山、そして防衛の要である魔術師団の半数以上は、我が公爵家の資金力によって買収済みだ」


『な、なんだって……!?』

王子と伯爵が、同時に絶望の悲鳴を上げる。


「貴様らがエリアナを無能と吐き捨てて遊んでいる間に、私は彼女にふさわしい『国』を用意するために動いていたのだ。結界が消えて魔物に怯える王都など、我が私兵団が一瞬で奪取し、新たな私の領土として浄化してやる。もちろん、その新しい国に、愚かな王族や伯爵家の居場所などない」


ギルバート様がパチン、と指を鳴らすと、屈強な黒鉄の騎士たちが一斉に踏み込んできた。


「この不法侵入者たちを城から叩き出せ。二度とエリアナの前にその醜態を晒すな」


「待ってくれ! エリアナ! 助けてくれ!」「ひ、ひえぇぇ!」

無様に引きずられていく王子と伯爵の叫び声が、遠ざかっていく。

国も地位も財産も、そして本物の聖女も失った彼らには、これから魔物と借金に追われる、地獄のような平民以下の暮らしが待っていることだろう。完全なる自業自得だ。


「エリアナ、不快な思いをさせてすまなかった」

謁見の間が静まり返ると、ギルバート様は一瞬で『冷酷な戦神』から『過保護な恋人』の顔に戻り、私の前に跪いた。


「いいえ、ギルバート様。最高のざまぁ……いえ、最高の裁きでしたわ。私をここまで守ってくださって、本当にありがとうございます」


私が満面の笑みで彼の頬に手を添えると、ギルバート様は愛おしさに耐えかねたように、私の手のひらにそっと口づけをした。


「君のためなら、国の一つや二つ、いくらでも滅ぼし、いくらでも創り変えよう。私の可愛い、世界で唯一の聖女(エリアナ)」


こうして、私を虐げた者たちは完璧に破滅し、私は最強で過保護な公爵様に、生涯、甘やかされ尽くされるのだった。



読んでいただきありがとうございます!

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。