第6話 独占欲の暴走と、甘いお仕置き前編
街での「ひまわり畑の大開花事件」のあと、私は文字通りギルバート様に『お姫様抱っこ』をされたまま、超特急の馬車で城へと連れ戻された。
そして今、私はなぜか、ギルバート様のプライベートルームにある特大のソファに座らされている。
「……エリアナ。君が規格外の聖女だということは分かっていたが、まさかあそこまでとはな」
ギルバート様は上着を脱ぎ捨て、ワイシャツの第一ボタンを緩めながら、私の隣にどさりと腰掛けた。
いつもより距離が近い。というか、肩と太ももがぴったりと触れ合っている。
彼の体から発せられる熱量と、大人の香りに、さっきから心臓のバックバクが止まらない。
「あ、あの、ギルバート様? 驚かせてしまってすみません。でも、お花が可哀想だったので、つい……」
「怒っているわけではない。むしろその逆だ」
ギルバート様は私の細い手首を優しく、だが逃げられない強さで掴むと、そのままソファに私を押し込むように顔を近づけてきた。
綺麗な銀髪が私の頬に触れる。
「ギルボード様…?」
「君のその奇跡の力を、他の男たちに見せつけたくなかっただけだ。……あの場にいた領民たちの目が、一瞬で君に奪われた。それが、狂おしいほどに嫉妬を誘う」
(ひぇっ……! 冷酷公爵様の口から『嫉妬』なんて単語が出てくるとは思わないじゃん!?)
表向きは上品に「まあ……」と恥じらう私だが、心の中の社畜精神は大歓喜である。
ブラック実家では「お前の代わりなんていくらでもいる」と言われ続けてきたのに、この超絶ハイスペックイケメンは、私だけの価値を認めて、私だけを求めてくれている。
「ギルバート様、私はどこにも行きません。私は、あなただけの聖女ですから……」
私が少し勇気を出して、彼の胸元にそっと手を添えて微笑むと、ギルバート様は大きく息を呑んだ。
彼の周囲に渦巻いていたはずの、近づく者を恐怖させる呪いの瘴気が、私の言葉一つでシュワシュワと完全に消滅し、ただの甘い空気へと変わっていく。
「……エリアナ。そんな可愛いことを言うのは、私を試しているのか?」
ギルバート様の手が私の頬に触れ、親指が私の唇をそっと割り込むように追う。
彼の端正な顔が、さらに至近距離へと迫り――。
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