第3話 最高級の朝食と、公爵様の甘すぎる熱視線
最高の寝心地を誇る天蓋付きのベッドで目覚めた私は、用意されていた上品なミントグリーンのドレスに着替え、城の食堂へと案内された。
目の前には、白長須鯨の背中のように長い大理石のテーブル。
そこに、これでもかとばかりに豪華な料理が並んでいる。
じっくり煮込まれた極上ローストビーフに、焼き立ての自家製クロワッサン。
新鮮な果物がどっさり乗ったタルトに、黄金色に輝くオムレツ。
(ちょっと待って。朝から宮廷晩餐会でも始まるの……!?)
胃袋が歓喜の悲鳴を上げているのを必死に抑え、私は上品に席につく。
対面に座るギルバート様は、今日も今日とて彫刻のように美しいお顔で私を見つめていた。
「エリアナ、口に合うか分からないが、我が城の最高のシェフたちを集めて作らせた。好きなだけ食べるといい」
「ありがとうございます、ギルバート様。……では、いただきます」
フォークでオムレツを一口すくい、口に運ぶ。
その瞬間、濃厚なバターの香りと卵の甘みが口いっぱいに広がった。
「……っ、美味しいです……!」
あまりの美味しさに、ついお嬢様モードを忘れて素の笑顔になってしまう。
すると、ギルバート様がハッと息を呑み、耳まで真っ赤にして顔を覆った。
(えっ、どうしたの!? 私、食べ方汚かった!?)
焦る私をよそに、ギルバート様は指の隙間から私を見つめ、限界を迎えたような声で呟く。
「……可愛い、すぎるな。シェフ全員に金一封を与えよう。エリアナ、君が望むなら、世界中の食材をこの城に集めさせよう」
(いや、オムレツ一つで経済回さないで!? 公爵様の沸点が私に対してだけ低すぎる!)
さらに、私の神級の聖女魔力が無意識に漏れ出しているのか、料理を食べるたびに、ギルバート様の周囲にある禍々しい黒いモヤモヤ(呪いの魔力)がシュワシュワと綺麗に消えていく。
ギルバート様は信じられないものを見る目で、自分の手を見つめた。
「信じられない。君が微笑むだけで、私の魔力が完全にコントロール下に置かれる。エリアナ……やはり君は、私の生涯をかけて守るべき特異点だ」
(特異点って。愛が重い。でも、ぶっきらぼうな冷酷公爵様にこんなにストレートに求められるの、正直めちゃくちゃ気持ちいいな……!)
ブラック実家では「無能」「飯泥棒」となじられ、カビの生えたパンとスープしか与えられていなかったのだ。
大切にされるって、こんなに幸せなことなんだと、胸がじんわりと温かくなる。
読んでいただきありがとうございます!
次回もお楽しみに!




