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石畳の何でも屋ルシャ  作者: まりちゃんとだんな


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3/7

第二話 午後三時の鐘

濡れた石畳、雨に濡れた時計塔、そして…。


その先は見えない。


ルシャ「…う、…うう…」


ルシャは、煤だらけのオーブンの中から、ゆっくり頭を出した。


右手をオーブンの縁に当てた。


左手を頭に当てて、頭痛に耐えている。


奥さんが後ろで見ていて、心配している。


奥さん「ちょっと大丈夫?頭痛?」


ルシャ「あ、ちょっとじっとしていれば大丈夫です」


奥さんはダイニングテーブルの椅子をルシャの傍に移動した。


奥さん「此れに座って」


奥さんはルシャの肩を支えて座らせる。


ルシャ「すみません」


奥さん「ううん。オーブンはいつでもいいのよ。それより貴女の方が辛そうよ」


ルシャ「時々発作みたいに痛むんです。特に雨の日に」


奥さん「ああ、あれかな?低気圧、お天気痛ともいうみたいだけど。晴れてる日なんかは調子いいんでしょ?」


ルシャ「そうですね、大体いつも元気です」


ルシャは調子が戻ってきた。


奥さん「じゃあ今日はあんまり晴れてないし、オーブンの掃除はまた今度来てくれる?」


ルシャ「いえ、今からでもやりますけど」


奥さん「でも、もう結構時間過ぎてるから後にして…。それより提案なんだけど」


奥さんは目を輝かせている。


奥さん「今からお茶にしない?この後予定とかあるの?」


ルシャ「いえ、特にありませんけど…」


奥さん「私もね、主人が帰るのって夕方以降でしょ?それに娘も最近、素敵な人が出来たみたいでいつも二人で出掛けてるのよ。だからちょっとだけ付き合ってほしいのよ」


ルシャ「あ、そういう事ならいいですよ、勿論」


奥さんは二人分の紅茶とお茶菓子を用意している。


こういう時間は、ルシャにとっても嬉しい限りだった。


奥さんが紅茶をカップに注いでくれる。


ルシャは、その湯気を見つめていた。


時計塔が窓の外の遠くに見える。


一瞬、雨に濡れた石畳の光景が目に浮かぶ。


外から鐘の音が微かに聞こえた気がする。


時刻は午後三時になった所だった。

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