第三話 郵便受けの手紙
それからルシャは奥さんと二時間以上雑談の相手をした。
時間は午後五時を過ぎていた。
奥さんは玄関までルシャを見送る。
ルシャ「楽しかったです、ありがとうございました」
奥さん「こちらこそ、ありがとう。本当に楽しかったわ、またお願いするかも。でも今度はオーブンをお願いするわね」
ルシャ「はい、今度こそちゃんと」
奥さん「じゃあ気をつけて、またね」
奥さんは手を振ってルシャを見送る。
ルシャは自転車を漕ぎ出した。
しばらく漕いでいて、街中ではガス灯が点灯し始めた。
大分暗くなってきた。
通りかかったいつものパン屋には、魅力的な匂いと暖かな光が店の中から漏れていた。
ルシャは自転車を入り口の横に立て掛けてパン屋に入った。
パン屋の主人「いらっしゃい」
ルシャは軽く会釈をした。
そして店に並んでいる中から、好きなパンを選ぶ。
ルシャはいつも買い物をする時は迷う。
しばらく考えた末に三つの商品を選んだ。
デニッシュとクロワッサン、それにいつものバゲットにした。
カウンターに選んだパンを持って行く。
パン屋の主人「いつもありがとうございます。今日のはいつもより良く出来てるから、ゆっくり食べてね。あとコレ入れとくね」
パン屋の主人は紙袋に入れるとルシャに渡した。
ルシャは代金を払い、手を振って店を出る。
自転車に跨ると、片手に紙袋を抱えて走り出す。
空を見上げると、今夜も雲行きが怪しくなってきた。
雨の降りそうな匂いもしている。
しかしルシャの店はすぐそこだった。
雨に降られる前に着いた。
自転車を入り口の横に立て掛けて、郵便受けを見た。
中には二つに折られた便箋が一枚入っていた。
それを中から取り出して、店の鍵を開けて中に入った。




