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石畳の何でも屋ルシャ  作者: まりちゃんとだんな


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第十二話 父娘の再会

その日の夜。


オルイーズはルシャの店の外に出て空を見上げた。


そして店の中に居る、ルシャの所に戻る。


オルイーズ「今夜は晴れてるし、月も出ている」


ルシャ「早速行きましょう」


二人はそれぞれ片手にランプを持って、一緒に時計塔へ向かった。


石畳の道を二人で歩いて行く。


両側の家々の窓や扉の隙間から灯りがこぼれている。


二人はしばらく歩いた。


途中、ベオハルドのパン屋の前を通ると、何人かの客がパンを選んでいた。


更に進むとハーサの家の前も通り過ぎた。


遠くには月が明るく、時計塔を照らしている様に見えた。


そして、その時計塔に辿り着いた。


二人は目配せして入り口の前に行く。


オルイーズは時計塔の入り口のドアを開けた。


中に入ると真っ暗闇だった。


光はランプの炎だけだった。


オルイーズ「大丈夫、俺に付いて来て。足元だけ注意して」


ルシャ「うん」


二人は注意しながら壁際の螺旋階段を登って行く。


暗さの余り、ゆっくりとしか上れない。


慎重に踏み外さない様に階段を上る。


オルイーズ「大丈夫?」


ルシャ「うん。あ!見えてきた!」


二人の頭上の上の方に、彩光窓から月明かりが差し込んでいた。


オルイーズ「此処でいいか」


ルシャ「此処で呼ぶの?」


オルイーズ「ああ。じゃあ呼んでもいいかい?」


ルシャ「うん、いいわ」


オルイーズは月明かりに向かって声を張り上げた。


オルイーズ「時の魔物よ、出てきてくれ!」


そして、辺りは静まり返った。


ルシャ「何も、聞こえない、けど…」


その時、猛獣の様な低い声で魔物の声がした。


時の魔物の声「何の用だ」


ルシャは恐怖の余り、悲鳴をあげる所だった。


オルイーズ「またアンタに頼みたい事があってやって来た」


時の魔物「どんな願いだ、言ってみろ」


オルイーズ「ルシャの記憶を元に戻す事は出来るか?」


時の魔物は低く唸った。


時の魔物「そんな事をすれば、また前の様な事になるぞ。それでもいいのか?」


オルイーズ「どうするルシャ」


ルシャ「じゃあ、せめて…」


魔物がまた低く唸った。


時の魔物「そこに居るのか、ルシャが?」


オルイーズ「ん?それがどうかしたか?」


ルシャ「え?私の事知ってるの?」


ルシャは意外な展開に驚いた。


時の魔物「まさか、こんな所で会えるとは…」


ルシャ「誰なの?」


時の魔物「シーグスだ!」


ルシャ「シーグス?」


オルイーズ「ルシャのお父さんだ」


ルシャ「お父さん!?」


ルシャは驚きと嬉しさで一瞬、胸が高鳴った。


シーグス「まさか会えるとは思わなかった」


ルシャ「何処にいるの?出て来て!」


ルシャはランプの光を掲げて辺りを照らす。


シーグス「俺にはもう実体は無い。この意識しか存在しないんだ」


ルシャ「じゃあお父さんは…」


シーグス「あの時、死んだんだ」


ルシャ「そんな…」


ルシャは悲しさの余り俯く。


シーグス「だが、俺はこの時計塔に住む『時の魔物』と意識だけが一体になり、あの事故の日から此処に留まる事になったんだ」


ルシャ「じゃあ此処に来ればお父さんと話が出来るのね?いつでも話せるんでしょ?」


シーグス「月が出ている夜ならな」


その話を聞いてルシャは少し目の前が開けた感じがした。


ルシャ「分かったわ。天気のいい時は会いに来るわね」


オルイーズ「ところでシーグス。ルシャの記憶がこれ以上消えない様に出来るのか?」


シーグス「それは出来る」


ルシャ「良かった」


オルイーズ「じゃあ、それだけ頼む」


シーグス「分かった」


その後、しばらく親子の会話をしてから、ルシャとオルイーズは帰宅の途についた。


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