第29話 マナンブルグ
「ごほっ!ごほっ。」
シロを抱きしめるロイの力が抜け吐血した。
だんだんと意識が遠のいていく感覚と全身を走る痛みが入り混じり瞼が重く視界が暗くなっていく。
「ロイ!ねぇロイ!起きて!死んじゃいやにゃ!」
体をゆすり声を張り上げロイを呼び続ける。
息はしている。
鼓動もある。
辺りからぐちゅぐちゅと異音がしている。
シロは周りを見渡す。
「嘘にゃ。。。。」
粉々に砕けた肉片が飛び散った内臓が一つの塊に集まっていく。
ダリウスの物だ原形をとどめない肉塊が徐々に集まり再生を始めている。
呼吸も浅く今にも死んでしまいそうなロイを抱えこのまま戦闘を嫌逃走すら難しい。
シロ自身もかなり重症だ。
血解により回復してるとは言え反動も大きく動くことなどできない。
「どうすれば。どうすればいいにゃ。」
震える体でぎゅっとロイを抱きしめ、ただ願う事しか出来なかった。
『助けて』と
「おい、大丈夫か?嬢ちゃん。」
声が聞こえた。顔を上げると白髪の男が立っていた。
「だ、だれにゃ。」
シロはロイをかばうように様子をうかがう。警戒は解かない
「まじか!ロイじゃないか!生きてるのかロイは」
ロイ。その名前を聞いた途端シロの警戒心は溶けて消えた。
「ロイを知っているのにゃ!助けてほしいにゃ。シロとロイはマナンブルグに向かう途中でダリウスって魔獣と戦いににゃって。いま、そこで再生しようとしてるのにゃ。シロも体動かなくてどうしようもできなくて早くロイを治療しないとなのに死んじゃいやにゃのにだからたすk」
「わかったから、落ち着いてくれ!ちゃんと助けるから、それに我はマナンブルグの人間だ。連れていくさ」
シロの止まらない言葉を途中で止め説明を行う白髪の男を見たシロは安心したかのように涙を流した。
「でかくなったなぁ。ロイ。。」
男はロイの頭を撫でた後シロとロイを担いだ。
「ま、まつにゃ。ダリウスはどうするにゃ。」
「今は無視だ、ロイの命が先だろ」
「わ、わかったにゃ」
「じゃ走るから、舌噛むなよ嬢ちゃん!」
「へ。。。。?。。!」
地面を蹴る音が聞こえた、顔に物凄い風圧を感じる。
気づけば先ほどまで居た場所もかなり遠くなっていた。
「は、はやいにゃぁぁああ!!!!!」
口が言うことを聞かない。
風圧のせいか口の中の水分が乾く
「おい!あまり口を開けるな!虫がはいるぞ!」
更に速度を上げる男。
頷き口を閉じるシロ。
ロイとシロを担いでこれほどまでに速度を出し走れる男に驚きを隠せない。
一体何者にゃんだと言わんばかりの顔でシロは男を見ていた。
「ん。。。。。こ、こは。」
ロイは目を擦りあたりを見渡す。
見慣れない室内、体に巻かれた包帯に上着は脱がされ壁に掛かっていた。
「シロ.....無事だったか。」
ローブを大事そうに抱えて椅子で眠るシロを見て安堵する
ドアの開く音がした。
目を移すと見知った男が立っていた。
「やぁ、久しぶり。ロイ」
聞きなれた声、見慣れた白髪に隻眼の男
かつては恨み殺してやりたいとまで憎んだ男
今は師と呼べる男の姿だった。
「ゾロア。なんで」
「なんでって、ここはマナンブルグだぞ!」
「そう、か。。助けてくれたのか、でもなんで。」
「たまたまだよ、リュウトゥーから来るはずだった商人が一向に来ないから赴いたら馬車は横転して血まみれ、馬は顔を食いちぎられ商人は腰から下しか残っていなかった。物資は無事だったみたいだが何があったのかとあたりを散策してたら、そこの嬢ちゃんがボロボロお前を抱えてたんだ。」
事の顛末を語るゾロア
「そうか。シロが。。」
シロを撫でるロイ。
「そんで、その嬢ちゃんはロイの女か?えらいかわいいじゃないか!」
ゾロアはニヤニヤとロイを見る。
「ちがう!昔助けた子がたまたまだ!」
真顔でゾロアを見るロイ。
「冗談だよ!」
お互い笑い合う。
「ところで嬢ちゃんから聞いたがマナンブルグになんの用事があったんだ?」
ゾロアは口を開く。
「あぁ。コルティーナの事だ。」
「!?」
ゾロアは息をのんだ
「ま、まってくれ。ロイそれは、王にも伝えなきゃならない。すまん、体は痛むだろうが共に来てくれ。詳細は王と共に聞く。それでいいか?」
ゾロアはロイの肩を掴んだ。
「あぁ。シロはもうしばらくここで休ませてくれ。頑張ってくれたから」
シロを見つめながらロイはそう言った
「わかってる安心してくれロイ。」
二人は部屋を後にし王室へと向かって行く。
第30話 フェルメール・エイフィア




