第27話 魔獣討伐
リュウトゥーを出たロイとシロはマナンブルグに向かい進んでいた。
「なんだか嫌な風が吹いているな。」
「ロイなんか嫌な匂いがするにゃ」
シロは鼻をぴくぴくさせて辺りを見渡す。
「こっちにゃ!こっちに何かいるにゃ!」
シロの指をさす方を見ると
黒い影がうごめいていた。
「なんだ。あれは。。。」
おぞましい雰囲気と近づくにつれ強まる悪臭。
まるで腐敗の進んだ動物の死骸の様な。
「うっ。」
思わず口を押え吐き気を殺す。
黒い影が通った後には枯れ果てた草木が残る。
「今はやり過ごそう。」
「わ、わかったにゃ」
二人は囁くように意識をすり合わせ【あれ】が過ぎるのを待っていた。
草の中に隠れ数分が経ち次第に臭いも薄れていき姿が見えなくなった。
「ふぅ。なんとかなったか。」
ロイが一息ついているとリュウトゥーの方角から一台の馬車が来た。
商人だ
ロイは商人の方へ近づき先ほど見た【あれ】について話した。
「わかった、気を付けるよ。ありがとな兄ちゃん!」
手綱を叩き去っていく商人はすぐに姿が見えなくなった。
「一体あれは。なんだったんだ。」
理解できない生物を目の当たりにし、シロのために自分の身の安全のために一同リュウトゥーに戻るべきかを考えていた。
「ロイ、どうするにゃ。。。」
不安げなシロ。
こんなところで時間を喰っていてはまた奴が来るかもしれない。
そう思っていた矢先。
体が得体の知れない何かに舐められるような感覚が襲った。
その何かがすぐに理解できた。恐怖だ。
身に覚えのある悪臭と悪意に満ちた笑い声。
歩み寄ってくる音。
「シロ。。。。」「ロ、イ。。。。」
お互い顔を見合わせて。数秒
「走れぇ!!!!」
ロイは叫ぶ。
獣人の飛躍的な身体強化ともとの身体能力が掛け合わさり途轍もない速度で大地をかける。
また、ロイも鍛えぬいた身体強化を駆使し何とかついて行く
「すごいにゃロイ!シロについてこれくにゃんて」
「無駄口叩くな!もう追いかけてきてる。」
馬のような姿勢で走るあれは一体何なのか。
スピードを上げロイの後ろに迫ってきている。
「。。。え?」
ほんの一瞬だった、ただ瞬きをしただけなのに。
あれの姿は無くただ瞬間的に前を向かないといけないと思考は勝手に判断した。
シロが吹き飛ぶ。
「は?」
前を向いたときあれは居た目の前に。
全力で走っていたスピードは慣性を持ち止まれなかった。
「。。。うぐ!!!」
自身の体に加わる衝撃と口内に広がる鉄の味。
空中を舞い僅か数秒で地面に叩きつけられる。
体は痺れ、上手く呼吸ができない。
視界は歪み左腕がわからない形に曲がっていた。
致命傷ではない、だが痛い。痛みが増す。
「し。。。ろ。。。。」
ロイは辺りを見回す。まだしっかり動かない体で。
「ひゅーひゅー。」
か弱い呼吸音で倒れこむシロ。
何とか自分の体に鞭を撃ち駆け寄るロイ。
「じろ!」
口内に傷が多く上手くしゃべれない。
息はある、致命傷もないただ。足が折れまともに動けないだろう。
「くそ。」
ロイは着ていたローブをシロに被せあれを見る
笑っていた。歯茎を見せ見下し弱者で遊び愉悦を得て。
「わ、わがったよ、に、にににいちゃんん、、きをつけるよ、」
聞き覚えのあるセリフ。
「なんのつもりだ。見ていたのか。」
徐々に口が回るロイと
「い、いや、喰った」
同じく口の回るあれ
「お前は何なんだ。」
「俺は商人のダルス。さっき兄ちゃんに教えてもらったあれに喰われた男だ~」
声色もあの商人の声になりにんまり笑った。
「違う!お前の事を聞いているんだ。」
「自分の事なんか知らないが、前出会った人間はこう呼んでたな。【記憶喰らいのダリウス】って」
「なぜ人の言葉を話せる。」
「質問が多いな。喰ってるからだよ人も動物も植物だって。魔獣ってやつだからな喰ったやつのマナも記憶も能力も全部俺の物になる。」
相変わらずの笑みを浮かべるダリウス
「長々と話してくれてありがとう。スナイプショット!!」
ロイは手を振り払う。爆音と共にダリウスの脇腹に穴が開く。
「話してる間に魔法を練れた感謝するよお喋りさん」
ロイは過去に作ったアンチマテリアルライフルを改良し威力はそのまま形状を少し小型にしていた。
片膝を地面に着き開いた穴を抑えるダリウスは............笑っていた。
次第に脇腹は治っていきダリウスは言った
「さっきも言っただろう。記憶も能力も俺の物なんだ。植物やエルフの自然治癒力を喰ってるんだ舐めるな!」
言葉の終わりと同時にダリウスは目の前に現れ腹部を殴られる感覚が強まっていく。
「ぐはっ!」
強烈な吐き気に襲われる。
「お前すごいな腹を貫くつもりで殴ったのに。欲しい!ん?」
突然ダリウスはシロの方を見る。
「知ってる記憶だな。これはガキだ!あいつらのガキだ!最初は気付かなかったが!これはいい。上物が二つも最高だ!」
走りだすダリウス。
「立て!走れ!僕は何のために鍛えてきた!」
ロイは叫んだ。叫ぶ事しか出来なかった。
「やめ、やめてくれ!頼む、シロだけは。」
ロイは涙を流し懇願する。無意味だとわかっていても。
懇願するしかないのだから。
「さぁ俺の物だ!」
シロを持ち上げ口を大きく開くダリウス
力いっぱいにマナを練り残った力で放つ魔法
「スナイプ。。。ショット。」
放たれた魔法はダリウスの下あごに命中し吹き飛ぶ。
持ち上げられたシロは衝撃でロイの近くに転がった。
「し、ろ!シロ!目を開けてくれシロ!」
手を伸ばしても届かない距離と自身の無力さを呪った。
「たのむ!シロ!!!!!!!」
枯れ果てた力を使い叫ぶ
一瞬シロの手が動いた。
第28話 シロ・クリスタル




