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異世界トレード見聞録  作者: kanon
第一章 -見聞録その1-
25/26

25.(儲け話)

「ヨウ、隣お邪魔するアルよ…」


そうしているうちに、ふとセイヤの隣に黒い丸眼鏡を掛けた、小柄の白髪交じりの男が手を軽く上げながら

腰掛けてきた。チン金融の社長、チン・マオである。



「俺に何の用だ? 借金なら利息とともに耳を揃えてとっくに完済したはずだが。」

俺は警戒しつつ、横目で相手を見遣る。




「いやいや、今回はそんな話じゃないアルよ。良い話をアナタを見込んで持ってきてアゲタので

 話だけ聞いてみて欲しいアル。オイ、このオニイサンにキープしていた20年物のワインのボトルを

 開けて欲しいアル。」




そうチンはボーイに声を掛けると、カウンター後ろの戸棚から年代物のワインが運ばれ、セイヤのグラスへとなみなみ注がれた。



「それで話というのはネ、今回ワタシ主幹事の一人としてとあるバイオ系の魔獣研究所のIPO(新規公開株式)を

 手掛けることになったアル。モンスターを培養して魔石を採取するという事業内容の、

 トテモ将来有望で値打ちのある企業ヨ。


 あのカイザー証券相手にアレホド活躍したアナタならではのお話アル。どうアルかな?


 新規公開株を1000株ほど引き受けて欲しいアルよ。勿論オカネ足りなかったらワタシ融資するよ。


 2回目ご利用特典で、破格の利息は一日4パーセントネ。」

そうニヤリと満面の笑みを見せて、チンはセイヤにひっそりと語り掛けた。




…コイツ、俺とカイザー証券のロイドとのあの話をどこから仕入れたんだ。

相変わらず得体のしれないオッサンだと、セイヤは訝しがる。



しかし、もし本当なら悪い話ではない。事業内容的にも将来性のありそうな内容だ。精査する必要はあるが…。


もし何らかの企みがあったとしても、それを逆に利用して一枚噛めば、大儲けできるかもしれない。

カネの匂いはプンプンする話だ。逃す手もない…。




そう思慮を巡らせたセイヤは、グラスへと注がれたワインを一挙にゴクゴクと飲み干すと

「その話、詳しく聞かせ貰おうじゃないか…!」



隣のチン・マオへと力を込めて、ニヤリと笑いながら返答した…。













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