10話 同化率
難癖付けられたその日の夜
「雪璃さ~ん、いきなり絡まれましたよ~」
「そういうトラブルの懸念はありましたけど、初日の自己紹介の時とは流石に予想がですね・・・」
雪璃さんとは、こうしてその日にあった出来事や相談事をしている。
「しかし、同化率での証明ですか。」
「そうなんです、どこまでやればいいと思いますか?」
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ナノマシンとの同化率は試験にあった項目である。
試験用として用意したナノマシンとの同化率はナノマシンの開発・研究生を学ぶナノギの試験であっても最低限の同化率は自身を被験者として使用する場合もある為必要な項目であった。
通常の高校生では試験用ナノマシンでの同化率はよくて3~5%程度で、黒曜等の日本トップレベルの高校であっても10%あれば十分な同化率である。稀に20%を超える生徒がいるがそれは例外であり参考にはならない。
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「そうですねぇ、本気で同化してしまうと陽守君のナノマシンに取り込まれてしまって測定どころかエラーが発生してしまいますね。」
「そうなんですよ!逆にアダムを抑え込む方が困難というか大変というか・・・」
全てのナノマシンの始まりであるアダムはありとあらゆるナノマシンとの同化率が100%どころか完全に取り込んでアダムの一部にしてしまうのである。
その為、試験の際は雪璃さんに指導してもらっていたおかげで意識を集中すれば他のナノマシンとの同化率を抑えることが出来るようになった。
「試験の時は同化率は最低ラインぎりぎりの10%に抑えたのよね?」
「はい、本当にこいつじゃじゃ馬で少しでも気が緩むと取り込んじゃうんですよ」
「どうしようかしら、先生達は試験時の成績を知っているから下手に数値を上げていくのも不審がられるし10%ぎりぎりだと絡んで来た子が五月蠅いだろうし。
分かった!試験後からの成長という事で12%ぴったりに抑えておきなさい。
それなら特訓してたという理由にも使えるし、最低ラインぎりぎりじゃない事でその子も納得せざるを得ないでしょ。」
無茶なことを言ってくれるなぁ、12%ぴったりにするって逆にコントロールが難しくて難易度高いんですけどぉぉぉぉ。。。
「わ、わかりました。明日はそれで頑張って対応してみます。」
「大変だろうけど、陽守君はまだ高校1年生。その存在をおおやけには出せないの。
大人の都合で申し訳ないけれど頑張ってね。」
そう言われて通話を終えた。
確かに巻き込まれた事は間違いないが妹を救ってくれたのもこの人達だ。
感謝はすれど恨むことはない。
ソファで寝ている日向を見ながらそう思っていた。
翌日、クラスに入るとニヤニヤしながらこちらを見ている昨日絡んで来たヤンキーもどきが声をかけてきた。
「学校に良くこれたな、逃げたのかと思ったぜ。どうせ同化率もいかさまでパスしたんだろ?」
ハァ、朝から絡んできて鬱陶しい・・・なんでこんな僕を目の敵にするんだろ。
相手するのもバカバカしいと思いながら無視して自分の席に着くと、
ガン!!!
「おい!無視すんじゃねぇよ!てめぇに言ってんだよ!」
今度は机に八つ当たりとか高校生にもなってしかも、ここ黒曜に入ってそのマナーは逆に自分が恥ずかしい事をしていることに気づかないものなのかと考えていたら
「大狼君、朝から大声で話すのはやめてくれないか。読書に集中できない。」
お、優等生君が注意してくれた。ありがとう!
あのもどき君は大狼と言うのか脳の隙間位に詰めておこう。
「あぁ?!獅童は黙ってろよ!」
「ほら、朝から何大声出してるんだ。大狼、昨日に続いて問題起こすなら懲罰処分にするぞ~」
「チッ!」
そんな揉め事が拡大するかと思われた時に予鈴のチャイムが鳴り先生が入ってくることでなんとかトラブルを回避できた。
午前の授業が終わり昼休みになった時、またもどき君が騒ぎ出した。
「おい!田舎野郎!今日の放課後ちゃんとこいよな!」
「それとも同化率が低すぎるのがバレて怖いのかぁ?ん~?」
クラス中に響き渡る大きな声でまた難癖をつけ始めた。
「無視すんじゃねえよ、なぁ?化けの皮を絶対剥がしてやるからな?」
と近づいてきて耳元で囁くように言ってきた。
「あのさ~、彼にからむのは良いんだけど~いちいち大声出さないでくれる~?
気分悪いんだよね~」
「あ?」
「そんなにこのクラスで威嚇するような声出し続けてマウントとりたいの~?
逆に自分は大声出すしか能力ありませ~んって言ってるように見えるよ~?」
「な!?てめぇ!」
いきなり助け舟?を出してくれたのは白髪の蒼春 双樹だった。
まさかもどきにこんなハッキリ言うとは思ってなかった。
しかしグッジョブ!僕の溜飲もさがるってものだ。
「双樹ちゃん。。。だめそんなこと言ったら失礼・・・・」
「だってお昼ってメッチャテンションあがるじゃ~ん、台無しの気分にされるんだよね~」
「だとしてもだよ・・・本当のこと言っちゃだめだよ・・・」
もどき君をフォローしてると思った蒼春 沙羅だったがフォローどころか追撃していて思わず吹き出してしまった。
「!!!!!てめぇ!田舎野郎なに笑ってんだよ!くそが!」
扉を思い切り開けて、捨て台詞を吐いてもどき君は廊下に出て行った。
「災難だね~」
「いやいや、助かったよありがとう青春さん」
と、思わず双樹から話しかけられてお礼を言った。
「双樹でいいよ~、双子だから苗字だと分からないんだよね~」
いきなり名前呼びはいささか僕にはハードルが高いが、ここは思い切って
「ありがとう、ふ、双樹さん。」
「あっは~、名前呼びなれてないな~?まぁこれから宜しくね~」
そう言って双樹さんは片手を振りながらもう一人の沙羅さんの元へ戻っていった。
悔しい、まさか噛んでしまうとは・・・
そして放課後、ナギのナノマシン測定室にもどき君と僕とクラスメイトの何名かが来ていた。
その中にはオタクの大田原君と青春姉妹も来ていた。
「お前の無様な数値を皆にも見て貰うために俺がわざわざ声かけて集めたんだ、感謝しろよ!」
なんで公開処刑する気満々な台詞で感謝しないといけないのか・・・本当に黒曜を合格したのか逆に怪しくて仕方ない阿保さだ。
測定する先生が部屋に入ってきた。
「じゃぁ、陽守君の同化率測定ということであっているかな?」
「先生!そいつの測定値のいかさまさとか無しでお願いしますよ!絶対試験のときはインチキしてたんだ!」
「測定する機械は土方コーポレーションから直接国が購入しているもので測定のインチキなどできません。では始めますので陽守君、こちらにきて椅子に座ってください」
「はい」
そう言って、歯医者にある椅子に似た形のリクライニングシートタイプの椅子に座る。
両腕をアームレストに置き献血をしてもらう姿勢になる。
そこから測定用ナノマシンパッチを右腕の手首の内側に貼る、そうすることで汗腺や毛穴からナノマシンが体内に浸透する。
反対の左手首にナノマシン回収用吸引機を取り付け、心臓部に測定用シートを貼り付ける。
その後、測定用ナノマシンは体内を駆け巡り被験者の細胞との同化を開始する。
5分後に出た数値が同化率として心臓部に貼ったシートに表示される。
そして左手首から測定用ナノマシンを回収して終了だ。
「では、試験でもやったと思うから説明はいらないね。」
先生はそう言うとテキパキと僕にシートや吸引機などを取り付け測定を開始した。
「やっと田舎者の不正を暴けるぜ」
そうやって、もどき君はニヤニヤ話してた。
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ナノマシンとの同化率はいかに自分の中にあるモノを認識して意識下におけるかである。同化率が低い人は自分の中にあるナノマシンを認識することが出来ない。
それはそうである、赤血球の流れを一個一個認識できるか?と言われれば答えは否である。
それが汎用タイプであればさらに認識は不可能だ。
オーダー品は個人のDNAに密接に寄り添った設計をするため認識することに対して有利に働く。
そこで第一の関門なのが、ナノマシンを認識したらどうなるか?である。
酔うことになる、それも吐くほどに。
考えてみてほしい、赤血球より小さい機械が体中を駆け巡っているのを認識するのである。
その膨大な情報量に脳はパンクし認識するのを拒む。そこから酩酊して吐いてしまう。
始めて認識した人間は誰でもそういう状況になる。
頭の中にリアルタイムで世界中の道路を走る車を認識してしまったら処理が追い付かなくて壊れてしまう。
その為、初めて認識した人間は一度同化率100%に近い状況になってしまう。
そこから認識し、意識下における適正量というべきか認識していい許容量を低いとこから初めていく。
その為、同化率というのは
同化率=脳処理速度
となる。
パソコンで言うとナノマシンの質がメモリ、処理速度はCPUである。
体中にあるナノマシンは差し詰めソフトと言った所になる。
大量のデータがあるソフトを動かすためにナノマシンというメモリを増やしてもCPUである脳が処理出来なければ意味がない。
だから、脳処理速度が速いというのが大前提であるため黒曜のようなエリート高に入るということは脳処理速度が一般人たいしてずば抜けているのが前提になる。
こればかりは生まれ持った能力と環境によるものが多い為、一概にこうすれば大丈夫というのがない。
しかし、陽守はナノマシンの原初というべきアダムの後継者である。
鷹司に権限を譲渡されたあの瞬間、アダムはCPUである脳まで高速処理できるよう作り変えてしまったのである。
その為、陽守は同化率を最初の練習で吐いた一回のみでその後は常に100%の状態で同化してしまったのである。
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その為、逆にナノマシンを意識しないようにするのが難しいのが現状になっている。
まさに今意識しないように努力しながら目を瞑ってコントロールしている。
7%
8%
9.5%
9.8%
10&
10.3%
10.7%
11.1%
11.8%
12%
胸に表示されている数字を先生がその都度伝えてくれた。
12%の意識で5分間耐えた・・・耐えた・・・
良し!これで文句もないだろって思っていたら
「嘘だ!そんな訳ねぇ!田舎野郎が10%を超えて12%だとふざけんな!」
といきなり大声を出して僕が座っている椅子を蹴飛ばしてきて僕はびっくりしてしまい意識しないように意識してたのに緩めてしまった。
「あ」
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