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30話 蒼い霞の浜で
白い砂浜、緑の海、真冬は寒い。
二人で家と学校までにある、国道を越えた海まで歩いた。
優妃のコートにあたる風がモコモコしている。
スマホで写真を撮りながら、時折見せる笑顔がたまらなく綺麗だ。
繰り返し波打つ音が見えない月のありがたみを覚えさせて近く、山の方から芦野目の陸部の声が聞こえる気がする。
悠は砂浜に座り込んで、優妃のはしゃぐ姿を見ていた。
しばらくすると優妃が息を切らして戻ってきた。
「てかさ、ここでよかったの?」
「うん。人のいないところで悠と何か喋りたかった。喋らなくてもいいから。」
「そか。」
「大学、東京だけど、気にせず連絡してね。」
「うん。」
「はあ、悠にきちんとチョコをあげられなかったから、後悔してる。来年は絶対渡すから。また会おうね。」
「今年のは、もしかして。」
「全部食べちゃった。」
「あははははは!そんなこったろうと思った。」
「笑いすぎ。」
優妃は悠を見つめて少し困った顔で笑った。
悠は今を噛みしめるかのように笑い、微笑んでいた。




