25話 旅館で卓球。
隣にメメがいたらどんな気持ちになるんだろう。その気持ちが、うどんのだしのスープにつのる。
目の前でラーメンを食べる雪子をよく見ると、メメより目がぱっちりしていて、まつ毛が印象的だった。
今、目の前にいる彼女の魅力はそれはそれで魅力的だ。
「悠くんって、本が好きなんだね。」
悠はその言葉にハッとした。
それはよく、メメがいつも言っていた言葉。
「悠ってホント本が好きやね。」
その晩はその言葉が、何度も頭にこだましていて、優妃と雪子の声が混じっていった。
なかなか寝付けずに寝返りを繰り返すと、隣に優妃がいてこちらを見つめていた。
悠と色違いの薄い桃色のパジャマ姿で、腕を胸の前に置きこぶしを覆っていた。
「馬鹿じゃないの。なんであの日、来てくれなかったの。」
「ココアシガレットよりいいものを、渡すつもりだったんだよ?」と静かに話した。
「ごめん。…………そうか、チョコレートだったんだ。二月だったもんな。」
そう詫びると、彼女は黙って強いまなざしを貫いた。
「いつまでダルダルやってんの。」
優妃が尋ねた。
「そろそろやめたいよ。」
「私に気にせず、好きなことしてよ?お願いだから。」
「ああ。俺は本を読みたいし、あとは優妃と卓球がしたい。」
どこからどこまでが夢だったか定かでないが、その後に旅館にいて、二人で卓球をした。




