26話 互いの愛の告白
悠の目が開いた。
「悠……!!」
「悠……!目が覚めた!」
「あ、優妃……だ。久しぶりじゃん……。」
「久しぶりじゃないよ。さっき坂で倒れてて大変だったんだよ。」
ストーブの懐かしいにおいがしてここがどこか分かってきた。
なぜか悠は高校の保健室のベッドで寝かされていた。
優妃の様子から察するに、しばらく意識を失っていたようだ。
「俺、何してた……?」
手を見つめていると、心臓が凍りかけた。
自分が学生服を着ているのだ。
「だから、帰りの時に坂道で倒れてて、大変だったんだよ。」
「何で帰っちゃったの。私、正面玄関で待っててってメモ渡したじゃんか。」
優妃の目が悲しそうで、素直に謝った。
「ごめん。」
「……まあいいや。今日、何の日かわかる?」
ため息をつきながら彼女はこちらを見て、一瞬怒るような顔をしてから、にやけた。
まさか。と思いカレンダーを見ると二月で、信じられないことだが、どうやら今までの大学生活は非現実のものだったのかもしれないと思った。
倒れる前に、大学進学の不安を募らせていたこともあったからか。
メメにそっくりな女の子がいたようなことは覚えているが、名前ももう思い出せなかった。
一秒ごとに大学で何をしていたのかがぼやけていく。
「え、くれるの。」
「当たり前じゃん。どんだけネガティブなの。最近変だよ。」
「私は悠が好き。悠も私のこと好きでしょ?」
「……うん。好き。優妃のこと大好き。」
「良かった。言ってくれなかったらあげないところだった。」
優妃が悠の手の上に自分の手を乗せて、乗り上げるように悠の頬にキスした。
悠は何も言えなかった。嬉しくてたまらなかった。
「あと、私、キス魔かも。我慢できなかった。」
そういうと、恥ずかしそうに笑った。優妃のこんな顔見るのは初めてだった。
「俺からもしていい?」
「いいよ。」
優妃は目を閉じて顎を少し上げた。
まさかの口にしないといけない感じかい。
初めてのことなので、どうやってしようか少し考える時間が生まれた。
その隙間を埋めるかのごとく、スリッパを早く擦る音がして、養護教諭と悠の親とが入ってきた。
さっざっさっざ。
優妃が目を開けて「また今度ね。」と小さな声で言った。
それから、優妃は保健室を出ていき、先生と親だけになった。さっきまで大学生だったような気がするといったことを、うっかり話してしまい、明日脳の検査をしに行くことになった。




